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鳥まり、参る!

ご覧いただきありがとうございます。
日々のいろいろなことを記録しています。

映画『アイ・フィール・プリティ!』。

2020年09月17日 | 感想文
※大いにネタバレしてるので、ネタバレ嫌いな人は読まないでください※

【評判どおりの良作】

ちょっと前の深夜に評判の良かったアメリカ映画『I Feel Pletty』=邦題『アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング』。が放送していたので録画して鑑賞しました。

wikipediaは→コチラ。


ぽっちゃり体型で自信がない主人公が頭を打って、なにも変わってないのに(ここポイント)目が覚めたら

「わ、私、絶世の美女になってるー…!!!!」

と思い込んでしまうというオープニングの作品。

いや~コメディではあるけど、時代の流れをよく考えた感動作でした。

てっきり主人公・レネーが見えている“絶世の美女になった自分の幻”がちゃんと映像として流れるのかと思いきや、それは一度も流れません。

というかレネーは最初からおしゃれ好きな女性なので、ファッションも変わってないんだよね。

変わったのは思い込みだけ。

他者はレネーをそのままの“ぽっちゃりレディー”としてみていて振舞うので、それをどうレネー本人が受け止めることで変わるのか…というのが何度も何度も描かれます。

「それこそが大きな問題なのだ」

と教えてくれる作りになんだよね。

【全て能動的で、自分から取りにいく主人公】

「現代の物語だな~」

と思うのが、レネーが全て能動的で自分から幸せをとりにいっていることです。

これ昔だったら

「全て受動的」

だったと思うんですよ。

王子様に見初められて、大スターになるチャンスに勝手に巻き込まれて~というような。

でも彼女は全然違う。

「自分で」

憧れのオフィス(同じ会社ではある)の受付係に応募し、面接を受け合格する。

相手役となるヒーロー・イーサンにも

「私をナンパしてる…っ!!?」

と勘違いするところから始まってはいるけど、連絡先を教えるのも自分だしデートに誘うのも自分からです。

告白~初体験(二人のな)までも、実に彼女が能動的に動いています。

いや~新時代だなぁ~。

そして、彼女は仕事ができる!

勘違いだけでは信頼は勝ち取れないもんね…実力があるヒロインがいきいきと働くのはとてもカッコいい。

あと、金持ちのイケメン当て馬にせまられながらも彼氏であるイーサンへの想いをつらぬき一線を越えないのが現代だな~って思いました。

浮気者とか二股とかもはや現代では“ダサい”んだもんね。

いいことだわ~。

【「男らしくなくてもいいんだよ」というメッセージである相手役・イーサン】

相手役でありヒーローであるイーサンも現代ならではのキャラクターです。

日本もそうだけど、特にアメリカといえばゴリゴリの男らしさを礼賛してきた歴史のある国。

タフネス!

男らしさ!

強さ!

強くてカッコイイ言葉と強引さで女を落とす!

いきすぎれば暴力性!!

こういう要素があってこそアメリカのヒーローでしたが、イーサンは

「男社会が苦手」

とはっきりセリフがあるくらい、それの真逆をいくキャラ。

口下手で大人しくて自信がなくて、でも誠実で芯の強さがある…前時代では

「ダサい」

「弱い」

の象徴みたいなキャラをこの映画では魅力的に描いています。

彼らしいままで、レネーの明るさと自信にひかれてどんどん素敵になるのです。

【パーフェクトな美女、の生き辛さを描く】

レネーと対比させる美女キャラとしてエイヴリー(創業者の孫娘で痩身の美女かつMBA持ちの努力家)とモデルのお友達がいます。

エイヴリーは英語圏の女優さんにしてはめずらしく甘~く優しい声で

「おお、めずらしい」

と思って聞いてたら

「バカっぽい声がコンプレックス」

という設定のためだったんですね。

あと緊張するとバカっぽい言い間違いを連発してしまうという。

(例:資本金を軍資金と言い間違え)

たった一人、彼女が認めてくれたからレネーは受付係として働けるようになり、プレゼンに意見できるようになるんだよね。

モデルのお友達っていうのは頭を打つ前のレネーに

「一度でいいからあなたみたいな美人になりたい…」

って言われてた優しい美女ですね。

もちろん物語後半でレネーにかかった魔法(自分の体、鏡にうつった姿が絶世の美女に見える)が解けてしまうわけですが、

「もとの姿の私なんかに価値ない」

と“本当は何も変わってないから問題ないのに”自ら築き上げたものを投げ出そうとしてしまう。

「いや、もう一度あの姿に戻れば全てがうまくいくはずだ」

ともがくレネーはあのジム(頭打った場所)でこのお友達に再会し、

「私が彼氏にふられたの」

「私は自尊感情が少ないの」

と思いがけない胸のうちを知ります。

「私には何不自由なく見える美人だって、同じように苦しんでいるんだ」

と知るわけです。

いや~大事な場面だなー。

美人も、自称“美人じゃない”も、同じように頑張って生きてる人間なんだと表現してる場面。

人間として向き合った瞬間だよね。

ところで、舞台となる会社リリー・ルクレアってマリー・クレール(マリ・クレール?)を意識した名前なのかな?

あれは雑誌だけどはるか昔プチプラコスメ作ってたんだよね~ライセンスとって日本の会社が作っていたのでしょうが。

【ぜひ観て欲しい、ラストの演説場面】

ここからはぜひ映画を観てほしいところですが、クライマックスの演説はまさに時代に求められた言葉だと思います。

私達はみんな完璧ですばらしい!というメッセージが綺麗ごとでなく確かな体温をもって描かれていると私は思ったので、実に見終わってすがすがしい気持ちになったよ。

最初から最後まで思わぬ場面で名言が出てくるので油断なりません。

「美人になるのが夢だなんて悲しすぎる」

という言葉を観て

「あー…日本とアメリカはとても似てるといわれるけど、やっぱり日本のほうが前時代の呪縛強いわ~」

と思いました。

日本は権力者であるおじいさん達に人権意識が欠けているので、これは言わせないだろうなぁ。

とにかく、良かったですよ。

時代をしっかり読んで作った作品って感じ。

ただ、どなたかも指摘されていたように

「レネーの笑いは差別的ではないか」

ってのは賛成。

でも2018年ならこんなものじゃないですかね。

【この物語が日本ではまず作れない理由】

この映画、日本語吹き替え版ではスーパースター・渡辺直美さんがレネーの声を担当されたそうです。

途中でレネーが見事なダンスを披露するところもあるので

「日本版だったら渡辺直美さんに演じてもらいたいなぁ」

と思ったものです。

でもねー…この物語は、2020年の日本を舞台にしてもまず作れないだろうね。

だってさ。

レネーが受付係の面接に辿りつけたのって、

「アメリカの履歴書には写真をはらせない」

からでしょ?

日本は写真ぜったいつけさせるよね、花形職といわれるものはなおさら。

そして、レネーが採用されたのはたった一人エイヴリーが気に入ってくれたからだった。

でも、採用に決定権をもつような要職に日本の会社はまず女性がいない。

「そんなバカな」

と思った若きレディース&ジェントルメンはこれでも読んでくださいませ。
  ↓
※世界における日本の男女共同参画 ~ジェンダー・ギャップ(男女平等)指数2020~


まあ、現実がこうであってもです。

この作品に

「いい」

と思う人がいるなら、日本の未来も希望があるんじゃないかなって私は考えてます。

世界は変わってる。

自分はどうか。

コメディーだけど、ある種リトマス試験紙みたいな作品だと思う。

おすすめ~。





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『メイクはただの魔法じゃないの ビギナーズ&テクニック』。

2020年02月25日 | 感想文
【新刊出てました~】

六多いくみさんのメイクレッスン漫画『メイクはただの魔法じゃないの』の新刊が出てました~。

初心者向けのビギナーズも良かったですが、今回も良かったです

美しい絵とわかりやす~い図解で真似するのが簡単

こういう本は少し大きめだとありがたいので、それもいい感じだと思います。

※メイクはただの魔法じゃないの ビギナーズ(アマゾン)


※メイクはただの魔法じゃないの テクニック(アマゾン)

特にいいな~と私が思ったのは、グラデアイシャドウだけでナチュラルな囲み目メイクをする~ってやつです

簡単!

意外に落ちにくい!

実際に買えるコスメを高級品からプチプラまで紹介もしてくれているのですが、あきらかに某コスメブランドのものが多いので、きっとメーカー自ら大量にプレゼントしてるのかな~と思ったりして。

でも偏りすぎないように紹介してくれてる気がするよ、うんうん。

テクニック編には小さな子どもたちを持つワーキングマザーのキャラも登場していて、彼女に紹介されるテクニックは特に手軽で取り入れやすくていい感じです。

現代人は暇ないからね~どんな状況であろうとも。

ネットで試し読みもかなりできるはずなので、そんなところから入ってみるのもいいかもしれません






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『パティシエさんとお嬢さん』。

2019年11月06日 | 感想文
【疲れたとき、辛いとき、優しさで満たしてくれる作品】

重い記事だけでは気分ひきずりそうなので、こんな時こそ読みたい!そんでもって癒やされたい!

と私が思ってる漫画を紹介します。

銀泥さんの漫画『パティシエさんとお嬢さん』

全二巻です。

試し読みができる本屋さんで見つけて、パラパラしたら

「かっ…可愛い

 そして尊い…

とキューンときてしまったのでそのまま買いました。

ツイッター生まれ・ウェブ育ちの作品みたい。

(ピクシブ…このリンクで読めるかな?

 読めない人は“パティシエさんとお嬢さん”で検索してみてください。
  ↓
 ・『パティシエさんとお嬢さん 銀泥』 )

ヒロインは、一人暮らし・出版社勤務・ぽっしゃり・おしゃれ大好き・ケーキ大好きな“お嬢さん”。

ヒーローはヒロインが

「毎週のご褒美にケーキを買いに行く素敵なお店」

で働く“パティシエさん”。

男らしい美貌(筋肉ムキムキで長身)と輝く笑顔がチートすぎるイケメンキャラ。

「素敵なあの人の笑顔を週に一度見られるだけで幸せなの…」

というお嬢さんと

「かわいすぎて…今日も名前が聞けなかった…」

というパティシエさんの、両想いなのに片想い。

つまりはハッピーラブストーリーです。

主人公二人をはじめ、嫌な奴が一人も存在しない世界はとても幸せで温かくて、とにかく癒やしてくれるんだなぁ…試し読みで気に入った人は全巻読むのがオススメです。

現代設定だけど古き良き少女漫画・少年漫画テイストも強い感じ。

数多く登場するオリジナル・ケーキはどこかに必ずレトロ可愛い素朴なエッセンスが入っていて、

「いいわぁ~」

です

短い作品ですが、作者さんがしっかり創り上げた世界観はお見事ですよ。

お店の名前、お嬢さんの外見、兄弟の特徴…ぜんぶぜんぶつながっていくのだ。

作者さんはきっと旅行(というか、世界各国の文化?)・お菓子・ファッション・なつかしい世界が大好きでよく勉強なさってるんでしょうね。

いちいち教養高さがわかります。

2巻はちょっとだけシリアスになったり、キャラクターの人生が短いけど深く垣間見できて、2巻もとってもオススメ。

美しすぎるシャーロック・ホームズ激似の“店長”はじめ、脇役たちも大変魅力的。

私が特に好きなのはお嬢さんの親友・聡子さん。

メガネからセクシーコスプレまで変幻自在に着こなす優雅な美女なんだけど、作家さんとかなのかな?

聡子さんのサブストーリー読みたい~って思います

店長もね!

「自分が好きなものを素直に好きだと描いたら

 それをいいと言ってくれる人が

 世界にいるのだと

 この作品は教えてくれました」


と書いていらっしゃることにホロリ…美しいわ~!

オススメです

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ミュージカル『エリザベート』2019・感想その2。

2019年07月06日 | 感想文
その1はコチラ。

(↑タップで飛べるはず)

【ルキーニ…成河さん】

ソンハさんと読むそうです。

ベテランミュージカルファンのお友達がホメていたので、期待大。

かなり狂った役づくりで、けっこう好みの解釈でありました。

(宝塚版の中だと、愛月ひかるさんルキーニに一番近いかな?)

宇宙人のように感情が少ない古川雄大さんトートに対して、不安定にいつも爆発してるルキーニ。

一番よかったのは終盤、なぜエリザベートを殺害したのか?という問いに無気力になりながら答えるシーン。

とてもリアルで良かった。

怖い役だけど人間が好きな感じがあふれていて、なんか観終わったあとは友達になったような不思議な気分になりましたね。

【フランツ・ヨーゼフ…平方元基さん】

とにかく声が美しくエレガント。

男の人の声をこんなに

「綺麗~…」

って思ったのは初めてかもしれません。

私の記憶が確かなら、古川雄大さんがロミオを演じられた時の『ロミオ&ジュリエット』でベンヴォーリオ役をされていたような。

あ、あってたわ。
  ↓
※ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2013~全体~

6年前かあ…この時もお上手だと思ったけど、こんなに美しい声じゃなかったような…磨いておられますね。

幕間で他のお客さんたちが口々に

「リアルディズニープリンス!」

「王子様~

とおっしゃっていたのに納得です。

とにかく全てが美しく気品あふれているので、マデレーネと浮気する描写とか

「ええ?本当か??」

と思ったほど。

宝塚版と違って絡む場面ないし。

お歌もお芝居も抜群にうまいんですけど、フランツのやってることと演じられる平方さんのエレガンスが全然合ってなくて

「このフランツだったらそもそもゾフィーのいいなりにならないし、シシィもルドルフもああはならないのでは…」

と個人的に思った。

夜のボートの場面とか、フランツがイノセントな王様にしか見えないんだもん。

「もしかして全てはシシィの妄想だったのか??」

と思ってしまうくらい。

難しいね。

魅力的なのをとるか、ストーリーとの整合性(無矛盾性)をとるか…。

私はエレガンスの金粉をバシバシ飛ばして発光してる“男性が演じるフランツ”を見られて嬉しかったな

【ゾフィー…香寿たつきさん】

私が観劇した日に一番大きな拍手をもらっていたのは香寿さんでした。

大雨が降ってるみたいだった。

香寿さんのゾフィーは平方さんのフランツにちょっと似ていて、とても気高く美しく知性を感じました。

だからこそ劇中繰り返されるゾフィーの奇行・愚行とちぐはぐで…

「このゾフィーだったらそんなことしないのでは…」

と思ってしまいました。

エカテリーナ2世とか、アントワネットの母君マリア・テレジアさまに比べるとゾフィーってあまりにも愚かで実力のない女性だからね…でもそれをリアルに追及して役作りしてしまったら見世物としてダメダメだろうし。

う~ん難しい。

重厚な存在感と美貌を姿と歌声で体現してくれるゾフィーでした。

【ルドルフ…三浦涼介さん】

フランツ・ゾフィーとは真逆で、展開に全て納得がいく矛盾がない役作りをされてるな~と思ったのが三浦涼介さん。

舞台に現れた瞬間、とても若い方に見えて

「おお、ルドルフの俳優さん幼げだな~もしかしてまだ10代?」

と思ったら今32才なのだそうで…ビックリです。

不老枠の方かな?

思い詰めて緊張したような瞳、ガクガク振り回されるようなダンス、心が定まらないような不安感漂うお芝居とお歌…。

「すごい、すごい納得しかないルドルフ」

でした。

あ、もちろん帝劇の舞台に立たれている方だからお上手なんですよ。

自分を認めて必要としてくれる場所を渇望していて、革命に自らすすんでいくのが自然。

しっかり解釈してお稽古されたんじゃないのかな~と思う。

フランツの前では怯えた子どもに、シシィの前ではすがりつく子どもになっていた。

うまいなぁ。

トートとの男同士のキスは歓喜する人も多そうだけど、ルドルフの気持ちに入っていたのでなんか、真っ暗な闇へ身投げするような感覚になりました。

あれ本当に唇同士でキスするのかな?

宝塚式のフェイクキスでいいんだけど…男女でも…。

【ヘレネ…彩花まりさん】

エリザベートのお姉さん・ヘレネを演じられたのは、宝塚出身の彩花まりさん。

抜群の歌唱力、大人っぽい美貌、そして優しいお色気が溢れてる娘役さんだったんですけど、ヘレネ役最高でした~。

気合いをいれすぎたお見合いシーンのお花つけすぎヘアーとドギマギした表情が

「ヘレネ…頑張りすぎたんだよ…」

と思っちゃって。

ヘレネ役以外でも色んな場面に出ておられて、美しいのですぐわかりました。

実力派の方がこうやって卒業後成功されているのを見るの、とっても嬉しい

【マダムヴォルフのコレクション】

これは役者さんがどうこうじゃないとは思うけど…宝塚版でも思ったけど今回はさらにさらに。

娼館だというのに全く色気がなくて

「え~?」

でした。

お衣装はとんでもアバンギャルドで露出大でセクシー系なんだろうけど、全員硬派でプロ意識の高いダンサーたちって感じで全くセクシー感も商売感も私は感じなかったの。

全員カッコいいけど特にマデレーネのカッコいいスタイルは抜群でした。

(「その谷間の描き方、教えて!」って感じ)

でも…あれエロいの?

ディータ様とかマリリン・モンロー様の動きみたことある?

あの溢れる受容感、やさしさをまとってこその色気だと思うのだが。

いや、ミュージカルにリアルは求めなくていいのか。

失礼しました。

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ミュージカル『エリザベート』2019・感想その1。

2019年07月04日 | 感想文
【奇跡は与えていただくもの…】

どういう奇跡が起きたのか全くわからないのですが、帝劇版ミュージカル『エリザベート』を観劇する幸運を授けていただきました。

実は帝劇版の『エリザベート』観劇は何度となく申し込んだけど毎回当選率ゼロ。

「DVDが出ることを願うしかないね…」

と今年はあきらめて、申込みしていませんでした。

そしたら

「『エリザベート』のチケット買った~鳥まりと行きたいから、行こうよ

と誘っていただけて…というミラクル。

何が起こったのでしょうか…。

とにもかくにもありがたく観てまいりました

記憶が鮮やかに残っているうちに感想を描いておきます

私が観た回は

・エリザベート(シシィ)…花總まりさん

・トート(死)…古川雄大さん

・ルキーニ…成河さん

・フランツ…平方元基さん

・ゾフィー…香寿たつきさん

・ルドルフ…三浦涼介さん

・少年ルドルフ…陣慶昭さん


の組み合わせ。

ではではババ~っと書かせていただきます

【全体的な感想をさらっと】

宝塚版とはちょいちょい違うところがあり、あちらもこちらも良かったですね。

特に帝劇版の魅力となるのが、シシィが島で父親の魂(幻かも)と再会して心の内を吐露する場面。

あと、フランツがみた悪夢。

フランツの親族たちがどんなに不幸な死に方をしたか…というのをトートがみせてくるのだけど、とてもいい。

このふたつがあることでとてもストーリーがわかりやすくなっていますね。

シシィがフランツ(夫)の不貞に気付くのが性病をうつされたから…というあまりに辛い描写は

「それはゆるせないよね」

とずっしり重く…現代においても妻が離婚を決意する理由の上位だもんね。

(夫がやられても同じようにゆるせないだろうけど、人体の構造上女性がもらいやすい場合がある)

「それいるか?」

と思ったのはシシィの父親と家庭教師が不倫してる描写。

ウィーン版もこうなの?

なんかスキャンダラスな要素入れればいいって思ってない?

花總さんのシシィは勝気すぎず繊細すぎず、とても共感しやすい等身大の女性で、シシィに心を重ねて泣いたり喜んだりできました。

キャストの組み合わせ(それぞれの物語解釈があると思うので)や演じた日によって違うのでしょうけど、私が観た回は

「シシィが逃げながらも辛い人生を耐え、死ぬそのときに現世への執着と死の恐怖に打ち勝つ物語」

だと感じました。

トートとの愛の物語だとは思わなかったな。

皆さまとても美しく歌もダンスもステキで、あっという間に観終わってしまった。

悠久の昔を一瞬でタイムトラベルした気分です。

スピっぽい体験もしたのですが、それはガチスピ記事で。

【エリザベート…花總まりさん】

宝塚で12年トップ娘役をつとめた伝説の娘役・花總まりさん。

『1789』のマリーで大好きになっちゃったのです…花總さんのシシィに劇場で会うことができるなんて…感激でございます

上に書いたとおり、勝気すぎず繊細すぎずとても感情移入しやすかった。

少女時代の違和感全くなし。

宝塚でいえばある程度経験をつんだ娘役さんが演じられている、という感じ。

とても幼く愛らしく色気や気品はちょっぴり。

白羽ゆりさんがガラコンサートでシシィを演じられていた時も思ったんだけど、宝塚の元娘役さんってむしろ卒業して大人の女性となられてからの方が幼く愛らしく若返った演技ができる気がする。

自分自身が本当に少女の頃って実は

「幼さ」

「かわいらしさ」

ってリアルな少女性じゃないからだろうな。

大人になってはじめて幼女っぽさだけ抽出して披露できるようになるのかも?

嫁いで、ゾフィーにいじめられて、娘をとりあげられたあたりから

「私は戦う!」

という決意を秘めた大人の女性に変身。

ゾフィーが初夜のベッドの掛布団(カッコいい言い方ないのか)をはぐ場面が死ぬほど気持ち悪かったのでシシィの

「私を妬んでる!」

という言葉が

「そのと~り…」(タケモトピアノ)

でしかなかった。

どんな衣装でもとても美しかったですけど、美しさだけに気負わされる感じはなくて、どの時代のシシィとも友達になれそうな親しみやすさが良かった。

有名な鏡の間のシシィスター×白ドレスの場面は合わせてらっしゃるネックレスが最高に好みだった。

ああいうのがいいと思う。

衣装さんグッジョブ

最後のダンスにせよ、私が踊るときにせよ、トートと歌い踊る場面は自分の心に向き合ってる時間なのかな、と。

「嘘よ!!!」

「私の人生を愛し始めたの、邪魔しないで」

「まだ貴方とは…踊らない」

どれも自分の心との対話に見えたよ。

(これは古川さんのトートが相手だからなんだろうなぁ~井上さんだと全然違うんじゃない?)

今回の公演で一番ビリッときたセリフが花總さんの

「エーヤン、ハンガリー!」

で、一番感動したというか心にせまった言葉がこれまた花總さんの

「少なすぎるくらいよ」(夜のボート)

でした。

さすがです…本当に良かった…。

今の私が考えることだから昔や未来の私が同じように考えるかはわかんないけど、強さも弱さも併せ持ってる、感情も色々変わって安定しない、それが生きてるってことだと思うんだよね。

そしてそんな人間は不器用だけど愛おしい。

そんな主人公を生きてくれたのが花總まりさんだと思いました

歌も演技もダンスも上手いとか下手とか考える必要がないくらい安定していらっしゃったし。

よかったです

あ、忘れずこれも。

島でお父さんの魂(幻?)に会う場面は、私はあれがお父さんの魂だとは思わなかったな。

シシィの心が見せる幻。

だってあまりにもお父さんを理想化しすぎてるんだもん。

シシィは

「パパみたいに、なれない…」

と泣いていたけど、パパそのものですよ。

逃げて旅して子ども傷つけてる。

虐待の連鎖ですね。

シシィがパパを理想化したようにルドルフが母を理想化したのも一緒。

どんなに大人になっても、心に傷ついた子どもの自分が住まう。

わかるなぁ…。

カーテンコール?の優しい微笑みとふか~いおじき、あふれる愛情は相変わらず最高でした。

ずーっと花總さんばかり見てしまうよ。

生命(いのち)いただいている感じなの~。

もう大好き…。

【トート(死)…古川雄大さん】

そのまま宝塚の舞台に立てそうな、とってもとっても美しいトートでした。

「美しいものを見るのは、価値がありますもの」

を体現してくれてましたね。

本当にどの場面も綺麗。

マイクのこととかよくわかんないんだけど、声量があってよ~く響いて、お歌上手だなって思いました。

で、ここから書くことはもしかしたら人によっては否定に聞こえてしまうかもしれないけど否定してないということをまずはわかっていただきたい。

ではいきます。

古川さんのトート、私は

「これもアリだな。

 宇宙人トート」

と思った。

どういうことかというと、あらゆるものが薄いの。

(薄いって言葉がネガティブに聞こえてしまったらごめんなさい)

存在感、感情、何もかも。

歌とダンスは上手いんだけどさ。

オープニングでどどーんと歌ってくれてるし、何度も何度も

「お前が愛してるのは俺だ」

と言ってるけど、違うのよ。

宇宙人が地球旅行したら可愛い女の子みつけて

「これかわいい、持って帰る」

「これ持って帰れなきゃやだも~ん」

くらいの軽い気持ちに見えるの。

だから

「愛してる」

も人間キャラとのそれとかけ離れてる感じで。

それがとても良くて、トップスターが演じる宝塚版のトートじゃアウトだろうけどエリザベートが主役の帝劇版なら有りだな、わかりやすいし、ストーリーの展開も納得できるところ多いなって思いました。

「エリザベートが打ち勝つ物語」

にふさわしいです。

ラストでシシィがトートに穏やかな喜びをたたえた笑顔で飛び込んで、抱き合って、キスする。

それが

「私はこの命、生き抜いた」

という感じでトートという存在を愛するだのって次元に見えないのね。

主人公と象徴のやりとりという感じ。

対してトートはキスして抱き合ったとき悲しそうというかショック受けたというか絶望したような目をした。

それが

「エリザベートを手に入れたんじゃない、自分は永遠にエリザベートを失ったんだ」

って気づく表情に私は見えたな。

だから、シシィが勝利する物語。

古川さんはどういう解釈で演じられていたんだろう?

話してるインタビューあったらないいのにな~。

そ、れ、で。

こんな風に感じたので、さらに言えば…トートがあくまで主役の一人として描かれてるのだからもう少し作り込むとステキだったんじゃないかな?と私は勝手に思ったんだよね。

このときのトートだと

「だったらこの場面いらないんじゃないか?」

と思ってしまうところができてしまって、その分シシィ・フランツ・ルドルフに場面をふってほしくなっちゃう。

『ロミオとジュリエット』でいう死のダンサー的な立ち位置まででしょって思っちゃうんだよ~。

宇宙人トートでいくならこれはこれでとってもステキだから、もっと氷のような冷たい無機質さ・人間のはかりしれない異次元感と無邪気な残酷さを研ぎ澄ませてほしい。

悪魔じゃなくて、宇宙人だから…。

最後の表情がすごくステキだったからさ~期待ふくらんじゃうのですよ~。

おそらく今後再演されるとしたら1回はまたトート演じられるでしょうから、頑張ってほしいなぁ。

【今日はここまで!】

さらっと1記事にまとめるつもりだったけどやっぱり長くなっちゃうので1回ここで切りますね。

他のキャラクターについては次で。

頑張って書くぞ!

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