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萍を動かすものが下にゐる:大関貴子
水面の浮き草を眺めていると突然ゆらゆらと揺れた。下に何者かがゐる。鯉だろうか亀だろうか。水底の不思議な世界は覗けない。暫し佇んで待ったが犯人は不明であった。諦めて立ち去る。一吹きの風が涼を運んで来た。ふと我が身を萍に重ね見る。惰性で何となく漂っては来たが心の底に何かが疼いている事も知っている。我が下心測り難きかな。<萍や大波小波ゆらゆらり:やの字>:読売新聞『読売俳壇』(2021年8月2日)所載。
萍を動かすものが下にゐる:大関貴子
水面の浮き草を眺めていると突然ゆらゆらと揺れた。下に何者かがゐる。鯉だろうか亀だろうか。水底の不思議な世界は覗けない。暫し佇んで待ったが犯人は不明であった。諦めて立ち去る。一吹きの風が涼を運んで来た。ふと我が身を萍に重ね見る。惰性で何となく漂っては来たが心の底に何かが疼いている事も知っている。我が下心測り難きかな。<萍や大波小波ゆらゆらり:やの字>:読売新聞『読売俳壇』(2021年8月2日)所載。
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