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鶯のかたちで鶯餅の嘘 宇多喜代子

2017年02月05日 | 俳句
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宇多喜代子
鶯のかたちで鶯餅の嘘

良く出来た鶯餅である。本物の鶯っぽさがある。感心しながら口にすればほんのりとした品の良い甘さが口に広がる。こういう騙され方なら騙されてもまた幸せである。男女間の甘い嘘も佳しとするか。ところで年々生態系に微妙な変化を感じるのであるが、周辺のタナゴとかザリガニとかムギワラトンボなども風前の灯火となった。都市郊外に住んでいるのだが昨年あたりから鶯の鳴き声がぐっと少なくなった。この分だと鶯気分は鶯餅にしか残らないのではないかと心配である。:「俳句」(2014年1月号)所載。