月と夜桜

　今日はとても月がいい晩なので、写真を撮るという娘のお供で散歩に行きました。野球の練習が終わった小学校のグラウンドは、夜間照明も消え、しいんと広がっています。真ん中を斜めに歩くと、二人の影がくっきりと付いてきます。満月の光ってこんなに強かったっけ。最後にこんな風に夜に散歩してから、ずいぶん経つような気がしました。
　校庭の隅の築山のところに八重桜が咲いていました。満開の桜は、花の向こうに輝く月光のためにほとんど白く見えて、やはり静かに咲いていました。娘はスローのシャッターで写真を撮りました。何枚も何枚も。その横で見上げる空には、月明かりに遠慮するように控えめに光る星たちがありました。あれは北斗七星。山際にあるときはひどく大きく見える七つ星も、中空にあってさかさまの柄杓に手が届きそうな大きさです。北斗七星から北極星を辿って、更に目を転ずるとありました、カシオペア。少し流れたＷがはっきりと傾いています。カシオペアって、「モモ」に出てくる亀の名前だよね、と娘と話しながらどのくらい見上げていたでしょうか。夜風に体が冷え始めたのを期に家へ帰りました。