政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

うさんくさい補正予算・117億円の漫画喫茶・国立メディア芸術総合センター

2009-04-30 08:23:31 | 麻生太郎
21年度予算が通ったのが3月27日である。
そして4月27日、補正予算案が国会に提出され、審議が始まった。

しかしこの補正予算案は、すでに本予算案審議中からその提出が確実視されていたものである。
筋から言ったら今回の補正予算は、本予算案を組み替えて提出すべきものであろう。
補正予算を前提にした予算案など本来認められるべきものではない。

09年度補正予算案構想が浮上 「麻生降ろし」を牽制 (asahi.com 1/12)
政府・与党内で09年度予算案を成立させた後、追加の経済対策として、今国会中に09年度補正予算案の成立を目指す構想が浮上した。切れ目ない財政出動で景気回復に取り組む姿勢をアピールするとともに、予算成立後の「麻生降ろし」を牽制(けんせい)する狙いがあると見られる。予算成立後の経済状況などを見て麻生首相が最終判断する。

 本予算を成立させたばかりの通常国会の会期中に補正予算を編成するのは異例。景気回復を最優先課題とした小渕内閣が99年、通常国会の会期を大幅延長し、7月に緊急雇用対策を柱とする第1次補正予算を成立させた例などがある。


「景気回復に取り組む姿勢をアピール」
「予算成立後の「麻生降ろし」を牽制(けんせい)する狙い」
国の政治をなんと心得ているのか!

衆議院における予算関係の経過を整理してみよう。
1月 5日  通常国会召集
1月 5日  20年度二次補正案提出
1月13日  可決
1月19日  一般会計予算提出
2月27日  可決(3月27日成立)
4月27日  21年度補正予算案提出

上の朝日の記事は1月12日である。
本予算提出の前にすでに補正予算は既成事実化していた。
本予算の不備・欠陥を認識しながらも麻生は二段階の手間をかけたわけである。
最大の理由は朝日が指摘している通りであろう。
「景気回復に取り組む姿勢をアピール」
「予算成立後の『麻生降ろし』」を牽制(けんせい)する狙い」

そのほかにも本予算と補正予算を分けて出す理由はいくつか考えられる。
が、なんと言ってもその規模であろう。

2008年度 当初予算 83兆0613億円
2009年度 当初予算+補正予算 102兆4736億円

一挙に20兆円近くの大増額である。
おとなしい国民も目をむく巨額予算である。
これをじっくり予算委員会で審議されたら面倒だ、というところで二段階提出。

麻生首相、10兆円超の補正予算指示 過去最大規模 (Jcastニュース 4/7)
麻生太郎首相は2009年4月6日、与謝野馨財務相に対し、国内総生産(GDP、約500兆円)比で2%以上の09年度補正予算を編成するように指示した。補正予算は10兆円を超える規模になる見通しで、98年度3次補正(7.6兆円)を上回って過去最大規模となる。


ポイントは”過去最大規模”。
まず規模ありき。
中身は後から。
なんでもかんでもぶち込んで積み上げたのが、
過去最高13兆9256億円 政府、補正予算案を国会提出 (chunichi web 4/27)
政府は27日、先にまとめた「経済危機対策」の裏付けとなる2009年度補正予算案を閣議決定し、国会に提出した。雇用対策や中小企業支援、環境関連などを手厚くし、補正総額は13兆9256億円で過去最大。一方、財源として国債を10兆8190億円(うち赤字国債は3兆4870億円)発行する。景気回復を最優先とするが、財政は悪化する。

 与謝野馨財務相は閣議後の記者会見で「今回の補正の財政出動は極めて臨時異例的なものだが、委縮(いしゅく)的な財政出動は避け、率直かつ大胆な財政出動をした」と述べた。当初予算と合わせた補正後の一般会計総額は、102兆4736億円となり、初めて100兆円を突破する。税収でどれだけ歳出を賄えているかを示す税収比率は45・0%となり、初めて50%を割り込む。

 逆に国債依存度は当初段階の37・6%から43・0%に上昇。09年度の国債発行額は44兆1130億円で初めて40兆円台に乗る。うち赤字国債の発行額は29兆2020億円で過去最大

 追加的歳出は、計14兆6987億円。就職支援など雇用対策に1兆2698億円、中小企業支援など金融対策が2兆9659億円、環境対応車への買い替え補助など環境関連に1兆5775億円などとなっている。

 財源は国債発行のほか、財政投融資特別会計の積立金から3兆1000億円を転用、当初予算に計上した「経済緊急対応予備費」(1兆円)のうち8500億円を取り崩す。


中身をみると背筋が寒くなるような巨額歳出である。
麻生が規模優先、中身は不問、という補正予算案を組んだのはこんなものまで潜り込ませているという事実からも明らかである。

お台場にアニメ美術館=11年度完成、目標は年60万人-文化庁 (jiji.com 4/28)
文化庁は28日、アニメ、漫画、映画などの作品を展示するための美術館「国立メディア芸術総合センター」(仮称)を新設する構想を発表した。東京・お台場が候補地で、来場者数の目標は年間60万人。2009年度補正予算案に建設費用117億円を計上しており、11年度の完成を目指す。
 有識者による検討会が今回まとめた構想では、延べ床面積約1万平方メートルの4-5階建てとなる見通し。館内にスクリーンを備え、常設・企画展示などを行う。将来を担う人材を育成するため公開講座も実施するという。


今回の補正予算は経済対策が主眼であるはずだ。
この施設が不要とは言わないが、不急であることは明らかである。
本来なら、本予算に織り込むべき性質のものである。
117億円には土地取得費用も含まれている。
どうしてこれが国債を大量発行してまでの補正予算に入り込んでいるのか?
補正予算規模をとにかく大きくするために、なんでもいいからぶち込め、という麻生の指示のもと、役人が悪乗りしたものであろう。
あるいは「出せ」と言われて、出してみたら通ってしまった。
役人の方が驚いているかも知れない。

アニメやゲームに国の「殿堂」 東京都内に設立構想
国がアニメやマンガに特化した施設をつくるのは初めて。センターではアニメなどの映像作品を鑑賞したり、マンガを読んだり、ゲームを体験したりできる。政府の新経済対策の一つとして、設立に向けた予算117億円を盛り込んだ。交通の便がよい東京都心に施設を建てる方針だ。


あらためて言う。
正統性のない内閣に史上最大の予算を組む権利はない!





暫定税率廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!

古書 那珂書房

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