政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

西松献金問題・漆間官房副長官の正体

2009-03-13 11:38:44 | 麻生太郎
政府側に一人。
そして検察高官に一人。
これでなんでも出来てしまう。
まさか、とばかりは言えない。
田母神航空幕僚長を思い出して欲しい。
国民のほとんどは、自衛隊トップの一人があのような思想・信条の持ち主であり、あのような挙に出る人物であったなどとは考えもしなかったはずだ。
一人の狂信者、一人の確信犯にどれだけのことができるか?
考えれば恐ろしいことである。
幸い田母神は論文を出しただけで、放逐された。
しかし、未だにひっそりと権力の中枢にいて、自分の妄念を実現させようと機会を伺っている人間がいるかもしれない。

漆間巌官房副長官についての示唆に富む面白いコラムに出会った。
”コラム・大気圏外”という。
冒頭部をみてみよう。

内閣官房に「権力の暗部」抱える麻生政権―警察庁出身副長官・漆間巌の存在理由  田中良太2009/02/04

麻生内閣の看板の公務員制度改革が人事院の抵抗で難航し、事務官房副長官の漆間巌が機能していないためだと指摘されている。だが、麻生首相が漆間に期待するのは政府全体の調整役ではなく、元警察庁長官として刑事と公安の両情報を収集し、警察権力を政治運営に利用することだとみられる。今後、漆間のこうした動きに注目すべきだ。


筆者の慧眼に感服する。
以下、要点だけを列挙するが、出来れば全文を読んでいただきたい。

まず公務員制度改革から始まる。
この政府の方針に人事院総裁が強硬に反対したことはまだ記憶に新しい。

どうして人事院がここまで抵抗するのか? 政府・自民党で浮かび上がっているのが事務官房副長官の漆間巌が機能していないという指摘だ。

 事務官房副長官は、事務次官会議を主宰し、議長役を務める。つまり各省庁事務次官のまとめ役なのである。行革が大きな政治課題として浮上して以後、官僚の抵抗の強い事項については、事務官房副長官が説得役となってきた。

漆間巌は、「天下り」抑制そのものに消極的であるといわれている。安倍政権時代の07年3月、当時の的場順三官房副長官が天下り抑制を中心とした公務員制度改革をとりまとめようとしたさい、事務次官会議メンバー(警察庁長官は事務次官扱い)の中で突出した強い姿勢で「絶対反対」を崩さなかったことで知られる。

◆警察官僚起用の意味は?
 なぜ漆間にはこのような行動が許されるのか。任命権者である麻生太郎首相が漆間に期待しているのは、官僚の世界の調整能力ではないからだ。


要約しようと思ったが、結局一部引用させて貰うことにする。筆者には断っていないがご容赦願いたい。

◆洞爺湖サミットが実現した理由
 安倍の漆間への信頼は揺るがなかった。2007年4月、翌08年日本が議長国となるサミット(主要先進国首脳会議)会場を、北海道・洞爺湖の「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」に決めたことは、それを示すものだった。警察庁長官の漆間が、「警備上最適」と推薦したのが、最大の理由だった。

 しかし漆間の推薦には、別の理由が指摘されている。ウィンザーホテル洞爺はもともと、北海道拓殖銀行系列のリゾート開発会社・エイペックス(本社・札幌市)によって建設された。しかしエイペックスは1998年3月に倒産、同年11月の拓銀破たんの一因となった。

 ◆会場のホテルは、「セコム所有」
 同ホテルはその後「ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル」(本社・東京)の所有となったが、同社は大手総合警備会社「セコム」(本社・東京)の子会社であった。

 警備保障業界は、すべての企業が警察庁の子会社のような様相になっている。とくに漆間は業界との関係が深い長官として知られていた。年齢の離れた実兄で、同じく警察キャリアだった漆間英治(最終ポストは中部管区警察局長)が綜合警備保障会社の社長となっていたからだ。業界トップのセコムにとっても、ウィンザーホテル洞爺でのサミット開催は、いわば起死回生の策であり、社長・会長を経て最高顧問となっていた飯田亮が熱心に動き回っていた。飯田の代理人となっていたのが漆間だったのである。


洞爺湖サミットまで絡んでいた。

◆起死回生の秘策を練っている?
 支持率低迷に悩む麻生政権が「起死回生の秘策」劇を演じるとすれば、シナリオを書き、プロデュースする人材は漆間巌以外にはいないはずだ。

 いずれにしても、後ろ暗い部分の大きい「国家の暴力装置」代表を内閣官房に抱え込んでいるのが麻生政権であることは強く意識しておく必要がある。その暴力装置代表が動き出すタイミングは何時かを注目すべきだ。


これが書かれたのは2月4日である。
小沢の秘書逮捕の1ヶ月前である。
漆間の「自民党には捜査は及ばない」発言の一月も前である。
その暴力装置代表が動き出すタイミングは何時かを注目すべきだ
まったく言うとおりであった。
多分、漆間と手を組んでいる検察高官がいるはずだが、それもそのうち分かってくるだろう。


そして検察の悪辣さはこれだけにとどまらない。

二階氏側も聴取へ 西松に838万パー券 東京地検特捜部、規正法違反容疑 (msn産経ニュース 3/6)
小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」が、準大手ゼネコン「西松建設」(東京)から事実上の企業献金を受けていた政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は5日、西松に多額のパーティー券を購入させていた自民党の二階俊博経済産業相側の政治団体についても、規正法違反容疑で捜査する方針を固めたもようだ。捜査関係者によると、特捜部は二階氏側が小沢氏側に次ぐ金額だった点を重視。二階氏側の会計責任者らから事情聴取を行う方針とみられ、来週にも特捜部以外から応援を得て検事を増員するという。


待てど暮らせど二階側の聴取が行われたという報道はない。
検察は二階聴取を匂わせながら国策捜査という批判をかわしていたようだ。
そして二階の代わりに民主党の石川議員の参考人聴取を敢行した。

国会の場で恥知らずにも「記憶にない」を連発した漆間のことである。
どんな下劣なことでもやれる人間であることは証明ずみである。
そして残念ながら、せっぱ詰まればどんな汚いことでもやりかねないというのが今の自民党である。

漆間にしてみれば、必ずしも逮捕した秘書を有罪に出来なくてもかまわない。
あるいは罰金で済むような程度でも十分である。
要は、総選挙を控えて小沢や民主党のイメージダウンが図れればそれでいいのだから。

検察という組織も一人二人の狂信者によってどんなことでも出来る危険な組織になってしまう。
今回の事件は、国民の検察に対して持っている漠然とした信頼感を大きく損ねる暴挙と言えるかも知れない。





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6 コメント

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自分で可笑しいと思わない? (nono)
2009-03-13 15:05:16
>田母神航空幕僚長を思い出して欲しい。

官邸-検察の疑惑を語るにもかかわらず、総理大臣が最高指揮官である自衛隊の話を持ってきているのは意図的なのでしょうかw?
ブログ主さんは行政権が司法権に圧力をかけたと仰っていますが、そんなことは現在の日本ではありえませんよw
第一、そんなことが出来るなら与党議員(総理大臣も)が逮捕されたロッキード事件・リクルート事件・佐川急便事件など戦後司法史に燦然と残る疑獄事件は存在し得ないじゃないですかw
陰謀論も結構ですけど、知的水準が低すぎると思いますよw

nono様 (亭主)
2009-03-13 17:24:37
漆間官房副長官の答弁や会見での言を信用するというのならしょうがありません。

>そんなことは現在の日本ではありえませんよ

それなら結構なことです。

>知的水準が低すぎると思いますよ

わたしも自分が”知的水準”が高いとは思っておりません。
麻生人事 (ara)
2009-03-13 20:27:02
私も、麻生さんが元警察庁長官を官房という、情報が集まる機関の責任者にしたことを非常に危惧しています。
つまり、裏工作というものが自在に出来てしまう立場であるからです。この人事は、治安維持法を厳格に運用する特高警察のようなおもむきを感ぜずにはいられません。
小沢さん云々や二階さん云々やマスコミ云々などという問題よりも、根の深い問題だと思われます。
正に、麻生さんの「悪質」のなにものでもありません。このような人事を絶対許してはならないのですが、ほとんど多くの民衆はその危険性には全く無知です。どうして知らしめたら良いのか?暗中模索です。
どうあっても禍根を残します・・・・・
知的水準 (連太)
2009-03-13 22:53:45
話題を戻しますが、知的水準とは、世界レベルの話ですか?
少なくとも日本内レベルは、低すぎて全く基準にはなりませんよ(笑)
民度も、戦後最悪に低下しています。
それに、麻生太郎首相なら、やりかねない。三人も駒にしてやっと奪った王座を易々引き渡す人間ではない。
nonoさんは、視野が狭いのでは?

人を馬鹿にする時は、事前に幅広い良識が必要ですよ。

まあ、言っても無駄でしょうけど。

ara様 (亭主)
2009-03-14 05:52:45
>このような人事を絶対許してはならないのですが、ほとんど多くの民衆はその危険性には全く無知です。

わたしも含め、ほとんどの国民は表に出てこないうちは、内部で行われていることに無知のままでいます。
無知であることにも気がついておりません。
間にはいるべきマスコミが国民の代わりに権力をチェックすべきですが、実際には権力の広報機関となっている状態です。

>どうして知らしめたら良いのか?

気がついた人がそれぞれ小さな声を上げていくほかないのではないか、と思います。
連太様 (亭主)
2009-03-14 06:13:16
>麻生太郎首相なら、やりかねない

おっしゃるとおりです。

どんなことでもやりかねない総理。
どんなことでもやりかねない与党。
どんなことでもやりかねない役人。

そして羊のようにおとなしい国民。

しかし、少しずつ声を上げる個人も増えてきているのではないかと感じています。