政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

”議院内閣制”で弁解を統一?……資料提出事前検閲問題

2008-10-04 06:05:46 | 自民党
麻生をはじめ、大臣どもも役人どももいい加減なごまかし弁解を言っているので、もう一度書く!
ボヤボヤしているとこいつらにバカにされっぱなしで終わってしまう。

「野党の資料要求、事前提示を」 自民が全省庁に要請 (asahi.com 10/2)
昨日も引用した記事なのだが、あらためて次の部分を取り上げたい。

財務省の杉本和行事務次官は2日の記者会見で、事実関係を認めたうえで「議院内閣制なので、国会対策などで政府と与党が連絡を取ることは特に問題はない」と強調。


実はこれと全く同じ事を言っている奴がいた。

「おかしな話ではない」 資料提供問題で国交相 (産経ニュース 10/3)

野党から資料要求があった際に相談するよう自民党が各府省庁に指示していた問題について、金子一義国土交通相は3日午前の会見で「資料提供に関するルール作りの一環で、省庁側の負担などの実態を調べる趣旨。議院内閣制なので与党側に協力するのは決しておかしな話ではない」との認識を示した。


ところがこれはおかしな話なのだ!
問題点を整理してみよう。
第一は議院内閣制のもとでは役所・役人が与党に協力するのは当然である、ということが正しいか?
答えは、否である。
「議院内閣制」でいう議院とは、国会を指し、べつに与党を指しているわけではない。
さらに内閣とは、内閣総理大臣と国務大臣を指す。英語のcabinetにあたる。
個々の省庁や公務員を指しているわけではない。
議院内閣制とは、国会と内閣との関係に関する概念であり、省庁の役人などとは無関係の概念である。
内閣は国会に対して責任を負っているが、個々の省庁・公務員が国会に対して責任を負っているわけではない。
各省庁・公務員は内閣の指揮を受けて行政に当たるのであって、国会や国会議員の指揮を受けるわけではない。

議院内閣制を理由に、今回の自民党国対と各省庁の対応を正当化することはできない。
まったく見当違いの論理である。
金子国交相の他にも、石破農水省も”議院内閣制”という言葉を使って弁解していた。
どうやら自民党は、”議院内閣制”を根拠に今回の騒ぎを乗り切ろうと、見解を統一したものとみえる。


さて金子国交相の話のおかしな点の第二。
「資料提供に関するルール作りの一環で、省庁側の負担などの実態を調べる趣旨」
”省庁側の負担などの実態を調べる”のなら、事後でも十分なはず。むしろそのほうが数量的な把握はしやすいだろう。

金子国交相の記事では触れられていないが、先に挙げたasahi.comの記事には、
”野党から資料の請求があったら自民党国対筆頭副委員長に報告し、その許可を得ること”という趣旨の文言が載せられている。
こうなると、”議院内閣制”も”実態把握”もまったく関係なくなる。
民主党が言うように、これは事前検閲そのものであるし、自民党と役人が協同して、情報隠し、情報操作をしているということになる。

『議院内閣制』を無理矢理取って付けたような自民党の詭弁を許してはならない!



暫定税率廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


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