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政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

おいしすぎるおまけつき・かんぽの宿とオリックス

2009-02-03 12:18:17 | 政治
鳩山総務相の提示した疑問は素朴な国民の疑問でもある。
今回だけは鳩山が正しい。
日本郵政は入札手続きの正しさだけを言っているが、国民の疑問をそらし、あるいは問題を矮小化しているだけにすぎない。
疑惑は入札手続きだけではなく、郵政民営化論議から始まる筋書きにある。
不思議なことがいっぱいある。

◎ かんぽの宿が簡易保険会社ではなくなぜ日本郵政の所有になっているのか?
西川が自分の手で売却できるようにしておいたのか?

◎ 資産評価を収益還元法で行っているが、赤字事業にこの評価法を使えば、評価額はとんでもなく低いものになるのは当然ではないか。
もともと収益還元法とは将来の収益予測をもとに現在価値を計算する評価法である。赤字の事業資産にわざわざこの評価法を適用するのはおかしかろう。
わざと評価額を低くするために用いたとしか考えられない。

◎ 毎年の赤字が40億円というが、これらの資産の簿価と償却費の内訳を発表してほしい。
取得費用は土地で400億円。建物・設備等に2000億円とか。
とすると年間償却費は30~40億円になっているのではないか。
(耐用年数を仮に50年、残存価額10%とすると年間36億円)
ということは、オリックスがこれを100億円程度で取得したとすると、償却費負担は限りなくゼロにちかづく(せいぜい1~2億円)。オリックスは何もしなくても初年度から利益がでてしまうのではないか。
もっとも耐用年数が短くなっているだろうから、償却費はもう少し大きくなるか。
かんぽの宿:売却額、対立深く 総務相・日本郵政、ともに譲らず (毎日jp 2/1)
日本郵政によると、70施設の土地代は約295億円、建設費は約2107億円。例えばさいたま市の「ラフレさいたま」(00年9月開業)は約286億円をかけたが、08年9月末時点の帳簿価格は約16億円。


普通に償却を続けていれば有り得ない簿価である。もともと、収益をあげることを目的としていない事業資産を、収益があがらないからといって、減損処理し、無理矢理簿価を下げたとしか思えない。
こんな巨額の減損処理を行えば、どんな事業でも赤字になるのは当たり前だ。
民間の営利事業資産の評価に適用されるべき評価法を非営利資産に適用した現在の簿価を見直すべきであろう。

◎ これはこの話の一番おいしい部分。こんなおまけまで付けて何で売り急ぐ?

Press Release

2008 年12 月26 日
各 位
オリックス株式会社
オリックス不動産株式会社

オリックス不動産株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:西名 弘明、
2009 年1月1日より山谷 佳之が就任)は、2008 年4 月1日付の日本郵政株式
会社による公募、および二度の競争入札( ※ 1)を経て、この度「かんぽの宿( ※2)」
の事業譲渡先に選定されました。本日、譲渡契約書への調印を完了し、2009 年
4 月1日付にて譲り受ける予定になりましたのでお知らせします。
※1 :日本郵政株式会社法附則第二条第一項により、2012 年9 月末日まで(民営化後5年以内)
に宿泊施設はすべて譲渡または廃止されることになっています。
※2 :かんぽの宿・かんぽの郷・ラフレさいたま、および各施設に付帯する社宅などの施設、首
都圏社宅を含みます。
オリックス不動産㈱は、別紙のように既に4つの温泉旅館(別府「杉乃井ホテル」、会
津若松「御宿東鳳」、熱海「ホテルミクラス」、鳴子「鳴子ホテル」)の再生事業に取り組ん
でいるほか、研修施設、水族館、ビジネスホテル、高齢者向け介護施設、京セラドームな
どの施設運営を手掛けており、これらの運営で蓄積したノウハウを「かんぽの宿」の運営
に生かしてまいります。さらに、全国36箇所でゴルフ場を運営するオリックス・ゴルフ・
マネジメント㈱
との提携商品の開発や、全国でレンタカー829店舗を運営するオリックス自
動車㈱
とも連携し、将来的にはカーシェアリングのサービス提供など、エコツーリズムの
普及にも寄与したいと考えています。加えて、オリックスグループの主要顧客である全国
50万社の中堅中小企業さま
に対しては、新しい福利厚生プランのご案内なども積極的に進
めてまいります。
また、団塊の世代を中心に現在110 万人を超える「かんぽの宿メンバーズ会員」の皆さ
まに、新たなリテール商品・サービスの提供も可能です。オリックスグループのみならず、
広く民間の英知・活力を結集し、会員の皆さまのご期待に沿えるよう努力してまいります。
オリックスグループは、本事業譲渡を受け国内最大規模の温泉旅館ネットワーク(総室
数4,200超、年間宿泊者数250万人超 ※オリックス不動産調べ)
をリテール・運営事業の新た
な柱と位置づけ、移籍を希望される全従業員の方々とともに、国民の皆さまに親しまれて
いる「かんぽの宿」をさらに発展させてまいります。
なお、新設分割による具体的な譲受けの仕組み、および取得後の各種施策・投資計画な
どについては、後日改めてご案内する予定です。
以上
オリックス不動産 「かんぽの宿」など全国70 施設+社宅9 施設の事業譲渡先に選定
~オリックス、リテールサービス・運営事業に本格進出~
【本件に関するお問い合わせ先】
オリックス株式会社 社長室 横井 河合 ℡:03-5419-5102
オリックス不動産株式会社 社長室 高橋 永井 ℡:03-3435-3411

(Press Release をクリックしてみてください。かんぽの宿を組み込んだオリックスの全国展開の地図があります)

「団塊の世代を中心に現在110 万人を超える「かんぽの宿メンバーズ会員」
一番お金を持っている世代が110万人。
金貸し・カード事業会社オリックスとしてはおいしすぎてよだれタラタラ。
これだけで100億円だしても惜しくないというものだろう。

本事業譲渡を受け国内最大規模の温泉旅館ネットワークを築く積もりでいるようだが、そのためにも一括譲渡はもってこい。むしろ一括譲渡でないとオリックスとしてはうまみがないのだ。個別に取得していたのでは、国内最大のネットワークの構築というわけにはいかないし、110万人の会員組織が手に入らない。

それやこれやでオリックスにはまさに100年に1度の大もうけ。
オリックスはそもそものはじめからかんぽの宿を狙っていたとしか思えない。
とにかく、うますぎる話には裏がある、とかんぐるのは庶民の常。

◎ 入札経緯について。
入札参加者ははじめ20数社。それが最終的に2社にしぼられ、その2社のうちの1社が辞退したそうだがこれも不透明な印象を与える。
その1社の辞退の理由も明らかにすべきだろう。

◎ 民間企業の取引について政府が口出しするのはおかしい、というようなことをいう連中がいるが、日本郵政は形だけは民営化しているが、民間会社ではない。100%政府保有の会社である。つまり国民のものである。株主(財務大臣一人だと思うが)の主人である国民が経営に口をはさむのは当然の権利であり義務である。

今回の払い下げは、「オリックスの、オリックスによる、オリックスのための」払い下げ事件というべきだろう。
日本郵政は資産を安く売るための努力をしているとしか見えないのも納得できない。
「入札価額は決して安くはない」などと言い訳するところはなお怪しい。




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茨城県医師会の良心と良識

2009-01-31 20:56:14 | 政治
相変わらず楽しませてくれる茨城県医師会。
今度は定額給付金で自民党を痛烈批判。
後期高齢者医療保険制度に対して、全国に先駆けて反対の狼煙(のろし)をあげたことで知られる同医師会。
茨城県医師会が変える政治風土
後期高齢者医療保険を世論が追いつめた

その後民主党支持を明らかにしていたが、更に自民党へ嫌がらせ。

定額給付金の寄付呼び掛け 茨城県医師会、民主候補に献金 (47news 1/26)
茨城県医師会の有志が26日、政府の定額給付金に抗議するため、会員の開業医ら約1400人に給付分の寄付を呼び掛ける団体を設立したと発表した。集まった資金は県医師会の政治団体、県医師連盟が次期衆院選で推薦を決めている県内の民主党候補に献金する

 団体名は「茨城から定額給付金で医療を変える会」。小松満代表(県医師会副会長)は同日、記者会見し「(定額給付金の)2兆円を本当に困っている人に使うのが筋。抗議のために自民党の政策で民主党に資金が回る一番皮肉なことをやろうと思った」と話した。


政治家が良識を持たず、良心を失っている。
茨城県医師会があげた声は、医師の良心にとどまらず、人としての良心の叫びである。
この医師会の優れている点は、果敢な発言をするだけではなく行動を伴っているというところにある。
後期高齢者医療保険制度に対する反対表明では、実際に反対のポスターを作り、反対署名を集めている。



これまで、医師会は自民党の大票田であった。
今でもそうであろう。
しかし、この茨城県医師会の動きは全国の良識ある医師の心に火をつけるきっかけになったことも事実である。各地で後期高齢者医療保険制度に反対の声を上げる医師や地方医師会が相次いだ。
今回の動きが自民党にどれだけの打撃になるかは不明である。
しかし、確実にこの国の政治風土が底流で変わりつつあることの一つの象徴であると、わたしは考える。

茨城県医師会の発展とさらなる活躍を願うものである。





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”一億総中流国家”はどこへ?

2008-12-31 17:47:03 | 政治
まさか麻生で年越しとは、想像もしていなかった。

1990年頃からバブル経済が崩壊し、それまでの”一億総中流”意識に変化が現れだした。
気がつけば、”格差社会”、”ワーキング・プア”などという言葉に取り囲まれた社会になっている。
”一億総中流”とはやや自嘲的、揶揄的な響きを持った言葉であった。
しかし、今となっては何とも懐かしい言葉ではある。

ホームレス支援施設の利用急増、ネットカフェ難民ら入所 (YOMIURI ONLINE 12/31)
 「派遣切り」など非正規労働者に厳しい年の瀬となっている中、就労を希望するホームレスに無料で宿泊場所や食事を提供するホームレス自立支援センターの利用が急増している。


麻生は「バブル崩壊とそれに続く金融危機を克服した日本の経験を世界に伝えたい」というようなことを繰り返し言っている。
しかし、危機を乗り越えたはずの日本の姿がこれか。
これまで”難民”なんていう言葉は、国内では大きな自然災害の時だけ使われる言葉かと思っていたが……。

トヨタ・キャノン・ホンダ等々超一流企業が利益維持・競争力維持のために大量首切りを行っている。これらの会社は現在の雇用を維持していても企業の存続が危うくなるというような恐れは全くないというのに。

もともと人件費を安く抑えたい企業の要望に政治が応えて今の流れができあがってしまった。
政治は、民間の職業斡旋を禁止していた職業安定法を変え、あるいは関連する法律を作ったりいじったりして、口入れ屋による賃金ピンハネを認めその範囲を広げてきた。おかげて企業は、安くてしかもいつでも首を切れる便利至極な労働力に頼るようになってきた。
テレビで竹中平蔵が、このような形態は多様な働き方に対する需要に応えたものと言っていた。
しかし、一握りの需要に応えるために社会のシステムをここまで変えてしまっては本末転倒であろう。
悪乗りした企業は、非正規社員を増やすことばかり考えてきた。
求人誌をみれば、非正規社員の募集がほとんどではないか。
多様な働き方どころではない。非正規雇用しか選べないという状況になってしまっているのだ!

自民党からは非正規労働者の失業についてはせいぜいが一時的な住居の確保程度の対策しか出てきていない。この非正規雇用という形態の大幅な規制とか改革とか言う声はまるででてこない。
これを放っておいてはいずれまた同じような問題が繰り返し持ち上がる。
だが財界に×××マを握られている自民党には改革の意志も能力もない。

株式会社麻生は九州最大と言われるピンハネ会社”アソウ・ヒューマニーセンターグループ”を持っている。これではなにもできなくて当たり前だ。

「発言に問題があったなあ」=麻生首相、閣僚と忘年会  (時事コム 12/25)
麻生太郎首相は25日夜、首相公邸で閣僚との忘年会を行った。首相は「皆さんのおかげで政策が順調にできた。世界同時不況から抜け出し、経済の回復を果たす最初の国になる。来年もみんなで頑張ろう」と決意を示した。
 首相は支持率が急落したこの1カ月を振り返り、「わたしの発言でご迷惑をお掛けした。若干、発言に問題があったなあ」と照れながら陳謝。自ら閣僚の席を回って酒をつぎ、政権発足から3カ月間の労をねぎらった。(2008/12/25-22:53)


この脳天気さには言葉もない。

今年後半、「よく戦ったかな?という感じ」 12月26日夜 (毎日jp)
おかげさんで予算も我々の考えているところ、それなりのものが出来上がったと思いますし、ずいぶんいろいろ反対もありましたし、いろいろ言われもしましたけれども、最終的に、地方が大事だということで地方の交付税1兆円というものはきちんと対応が出来ましたし、また、いわゆる社会保障とか、年金とか、例の2分の1の話も予定通り、一応の道筋が出来ましたし、また、消費税含めて2011年までに税制の抜本改革やります、景気を向上させてというところも、そういったところが一応、できた形になりましたんで、これ、今年後半の部分から言ったら、そうですね、よく戦ったかな?という感じ、よく戦ったという感想でしょうか


 9月末に総理大臣になってから、麻生は解散を要求する国民の声と戦い、数多くの失言にたいする批判と戦い、ホテル通いへの非難を無視し、漢字の読み間違いにたいする嘲笑にも耐えてきた。
そう、国民と戦い続けた3ヶ月であった。
そして麻生はまだまだ国民との戦いを続けていく意欲十分と見える。



麻生の3ヶ月がよくまとめられています。
クローズアップ2008:麻生政権、迷走3カ月 満身創痍で年越し




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裁判員制度への素朴な疑問

2008-12-09 17:51:14 | 政治
裁判員制度というものに関心がなかったので制度についてよく知らないままでいたが、なんだかこれは大変なことなのではないか、と思い始めている。

最大の疑問

まずこの制度を作った理由がよく分からない。
最高裁のホームページの説明を読んでもやはり分からない。

裁判員制度の紹介

 国民のみなさんが刑事裁判に参加することにより,裁判が身近で分かりやすいものとなり,司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながることが期待されています。国民が裁判に参加する制度は,アメリカ,イギリス,フランス,ドイツ,イタリア等でも行われています。


制度創設の理由はどうやら三つあるらしい。
1 裁判を国民の身近で分かりやすいものにする。
2 司法に対する国民の信頼を向上させる。
3 外国でも行われている。

おなじくQ&Aのページ。

●どうして裁判員制度を導入したのですか。
類似 これまでの裁判に何か問題があったのですか。

 専門的な正確さを重視する余り審理や判決が国民にとって理解しにくいものであったり,一部の事件とはいえ,審理に長期間を要する事件があったりして,そのため,刑事裁判は近寄りがたいという印象を与えてきた面もあったと考えられます。また,現在,多くの国では刑事裁判に直接国民が関わる制度が設けられており,国民の司法への理解を深める上で大きな役割を果たしています。
(中略)より国民の理解しやすい裁判を実現することができるとの考えのもとに裁判員制度が提案されたのです。

●裁判員制度が導入されることで,どのようなことが期待されているのですか。

裁判員が参加することにより,裁判官,検察官,弁護人とも,まず国民に分かりやすく,迅速な裁判とするように努めることになります。また,法律の専門家が当然と思っているような基本的な事柄について,裁判員から質問や意見が出されることによって,国民が本当に知ろうと思っているのはどういう点なのかということが明らかになり,国民の理解しやすい納得のいくものになると思われます。
一言でいうと,裁判の進め方やその内容に国民の視点,感覚が反映されていくことになる結果,裁判全体に対する国民の理解が深まり,司法が,より身近なものとして信頼も一層高まることが期待されています


”裁判員が参加することにより,裁判官,検察官,弁護人とも,まず国民に分かりやすく,迅速な裁判とするように努めることになります。”

裁判員がいてもいなくても、”裁判官,検察官,弁護人が,国民に分かりやすく,迅速な裁判とするように努め”ればよいではないか。

ホントにこれだけなのか?
まさかこんな下らない理由でこんな大げさな制度を作ったのか?
ほかに何かちゃんとした理由があるのではないか?

裁判を国民の身近なものにするのなら、ほかに方法はいくらでもあるだろう。
広報活動をしっかりやるとか、傍聴をしやすくするとか……。
学校での教育を充実させるとか。
一般人には理解しにくい法律用語などは言葉を換えれば済むことだし。

裁判に一般市民の常識を、というのなら、裁判官を教育すればいいことではないか?
裁判官に一般常識が欠けているというのは、多くの国民が知っている。
しかし、常識に欠けているなら、裁判官に実社会での経験を積ませればいいことだ。
何年かごとに三ヶ月くらい介護の手伝いをさせるとか、福祉施設の手伝いをさせるとか、方法はいくらでもあるだろう。

外国でも似たような制度があるからその真似をする?
これも理由にはならないだろう。

わたしの疑問は依然疑問のままである。

第2の疑問

なぜ刑事裁判なのか
なせ一審だけなのか

● 裁判員制度ではどんな事件の裁判をするのですか。
裁判員制度は,地方裁判所で行われる刑事裁判について導入されます。裁判員裁判の対象事件は,一定の重大な犯罪であり,例えば,殺人罪,強盗致死傷罪,現住建造物等放火罪,身代金目的誘拐罪,危険運転致死罪などがあります(詳しくは,「裁判員制度の紹介」のコーナーを参照してください(刑事裁判の控訴審や民事事件,少年審判等は裁判員制度の対象にはなりません。)。

刑事裁判は,全国で毎日行われており,平成18年には地裁だけで10万件以上の刑事事件の起訴がありました。すべての刑事事件に裁判員制度を導入すると国民のみなさんの負担が大きくなるため,国民のみなさんの意見を採り入れるのにふさわしい,国民の関心の高い重大な犯罪に限って裁判員裁判を行うことになったのです。


何故刑事裁判だけなのか。

”国民のみなさんの意見を採り入れるのにふさわしい,国民の関心の高い重大な犯罪に限って裁判員裁判を行うことになったのです。”

各地で行われている行政訴訟、環境や人権問題等国民の関心は多岐にわたっている。
なぜ刑事裁判に限るのか?
しかも一審だけに限るのか?
国民の常識を生かすに最もふさわしいのは最高裁判所での裁判ではないか?
最高裁が変われば自然と全国の裁判所も変わる。

司法にも国民主権を、という観点もあるらしい。

確かに司法における国民主権は最高裁裁判官の国民審査だけと言っていいし、その国民審査もまったく機能していないのも事実である。
しかし、司法における国民主権の実現という目的のために、裁判に参加することが必ずしも唯一の方法であるとは思わない。
国民審査のやり方を変えるのも一つの方法であろう。
現在、不適切と思う裁判官に×をつける方法で行われているが、それを変えて信任する裁判官に○をつけるやり方にする。○が過半数に届かなければ罷免する。
憲法の規定では難しいのかも知れないが。
幸い憲法では最高裁長官は内閣総理大臣が指名するとだけ規定している。
内閣総理大臣が指名するのに先立って国民投票、選挙で選ぶことはできるのではないか?
それだけでも大分違うだろう。
最高裁の裁判官もただ威張っているわけにはいかなくなる。せっせと宣伝に努めることになろう。

裁判所を変えるにはこの方がずっと手っ取り早そうに思えるのだが……。

先日最高裁判所長官の人事があった。
最高裁長官に竹崎氏 14人抜き、裁判員制度導入を推進 (asahi.com 10/29)

政府は28日、11月21日に定年を迎える島田仁郎(にろう)・最高裁長官(69)の後任となる第17代長官に、竹崎博允(ひろのぶ)・東京高裁長官(64)を起用する方針を固めた。島田長官が近く、麻生首相と会い、了承を得たうえで、今週にも閣議決定される見通しだ。

 最高裁長官は、現職の最高裁判事の中から選ばれることが続いており、最高裁判事を経ずに長官になるのは1960年に就任した横田喜三郎・第3代長官以来、48年ぶり。現役の14人を飛び越す、異例の人事となった。現職の判事と比べると、9月に就任した行政官出身の桜井龍子判事(61)に続く若さとなる。

 竹崎氏は来年5月に始まる裁判員制度の導入に向けて、積極的にリードしてきた。最高裁長官に起用するのは、刑事裁判の大変革となる制度が始まるにあたって、経験や手腕を生かした強力な指導力に期待したためとみられる。竹崎氏が70歳の定年まで長官を務めた場合、任期は約5年8カ月となるため、司法のトップが長期にわたって安定することも考慮した模様だ。


慣例的に、最高裁判所長官は定年の70歳に近づくと、内閣総理大臣に対し、次期最高裁判所長官として誰が適任であるか意見を述べる。内閣総理大臣がその意見を了承すると、閣議により内閣が次期最高裁判所長官を指名する。そのため、実質的に最高裁判所長官の指名権があるのは、前任の最高裁判所長官といえる。
(ウィキペディアより)


新しく最高裁判所の長官となるのは、裁判員制度をつくるのに功績のあった人物らしい。
長官の椅子はそのご褒美というわけだ。

思想・信条の自由。
信教の自由。
身体の自由。
こういうものを根拠に裁判員制度が憲法違反と考える人もいるかもしれない。
しかし、最高裁長官・憲法の番人が裁判員制度の守護神である。
たぶん、司法の場でこの制度について違憲判断が出される可能性は永遠にないであろう。

人を裁くことには精神的負担が伴うだろう。
その負担の軽重は人によりちがうものであろう。
裁判官はそれを職業として選んだ人間である。
報酬も得ている。
精神的負担は覚悟の上である。
しかし、一般市民はそうではない。
重すぎる責任と精神的負担。
それを国民に強いるだけの価値がこの制度にあるというのだろうか。
国民は裁判という仕事・役割を報酬を払って裁判官に委ねたのではなかったか?

市民が裁判に参加する制度がある国もあるそうだが、それはその国の歴史・文化に根ざしているものだろう。
日本では裁判権は常に支配者のものだった。
ごく一部の時代、一部の地域で自治が行われていたことがあるが、それはこの国全体の歴史・文化としては育たなかった。
外国の制度に学ぶことはいいことだろうが、真似することとはまた別であろう。

いくら考えても裁判員制度に、国民に重い負担を強いるだけの価値があるとは思えないのだが……。

ホントは素人のわたしなどには分からない、深くて大きな意義のある制度なのか?





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田母神問題の本質

2008-11-21 17:03:30 | 政治
今回の問題は本人の職務・身分もあって様々な問題を提起している。
問題が多岐にわたっているので、次の三点についてのみ考えてみたい。

問題1 田母神論文の評価
問題2 論文が文民統制に抵触するか
問題3 定年退職というやめさせ方は妥当だったか

① 論文の評価について

これは歴史論文ではなく宗教宣伝文のようなものである。
”日本教”とでも言ったらいいか。
教義は、”日本は正しい国である。だから日本は悪いことをしたはずがない。日本の歴史は世界に誇れる歴史である”
そして歴史はそのことを証明するために奉仕させられる。

田母神論文の結論の部分の一節にもそれが明示されている。

 日本というのは古い歴史と優れた伝統を持つ素晴らしい国なのだ。
私たちは日本人として我が国の歴史について誇りを持たなければならない。


「日本がなぜすばらしいのか」という点についての検証はなし。
「我が国の歴史について誇りを持たなければならない」というが、この連中の”歴史”とは、どういうわけか、明治以後と古事記・日本書紀の時代に限られる。
しかも、軍事・戦争にからんだ問題だけに異常に情熱を燃やす。
田母神はいう。
「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である。」
明治以後の日本の侵略行為の弁護にはこれだけ情熱を傾けるのに、豊臣秀吉の朝鮮出兵にはまったく触れようとはしない。
頼まれもしないのに他国に出かけ、その国の住民相手に武力を行使すれば、それは侵略である。
こう言うと、この連中は、”××のときには相手国の要請があった”というようなことを言いだす。軍事的圧力のもとに相手国に”要請”を強要しているにも拘わらずだ。

自分たちの”信仰”の妨げになる”歴史”は”自虐史観”というような勝手なレッテルを貼って攻撃する。
過去に侵略を行い、非人道的な行為を行っていたことを認めたとしても、わたしたちは、現在の日本が侵略国家とも思わないし、非人道的な行為をするような国だとも考えない。
自分の国に誇りを持てるかどうかは、過去に侵略を行ったかどうかではなく、現在この国が、誇るに足る国かどうかということに尽きる。
そういう意味では、「日本という国を誇りに思え」と言われても、この国の現状を考えると、首をひねってしまうが……。

ともかく、じぶんの独りよがりな理想に酔って、正確且つ客観的な現状認識の出来ない男に軍の指揮権など預けられるわけがない。

田母神論文は結論がまず存在し、それに合わせて都合のいい二次史料・三次史料を引用し、自身での史料批判も検証もなしにつなぎ合わせただけのものである。幼稚な作文としか言いようがない。

次に、②文民統制という観点からの批判に移る。

現憲法には”文民統制”という言葉は現れてこない。
憲法9条で軍隊の不保持を言っている以上、軍に対する文民統制という概念は憲法には存在しないと言えよう。
”文民”という語は66条第2項の一カ所だけに現れている。
「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」
そしてこれが文民統制の根拠とされているようだ。
現在では、この文民統制という概念は国民共通の認識となっているといっていいと思う。
そこで今度の田母神航空幕僚長の行為が、この観念に抵触するか、ということが問題になる。
”文民統制”とは、軍がその強力な力を、国民の意思に反して、あるいは国民の意思を無視して行使するすることを防ぐことを目的とする概念であると思われる。
田母神論文は、村山談話に反する主張であることは明白だが、果たしてそれがすなわち文民統制に抵触するか、ということになるといささか疑問無しとしない。
すなわち、この論文だけでは現実的に軍の力を行使したことにはならないし、軍の力を行使しようとする意志も認められそうにない。
過去の歴史に関する認識が政府の認識と異なることを理由に文民統制に反するとまで言えるかどうかは疑問である。

一方、自衛隊法では政治的行為を禁止している。
この論文発表が具体的に、自衛隊法の禁止する政治的行為に該当するかどうかはいまひとつ明瞭ではないのがこの問題の悩ましいところだろう。
ただし、自衛隊では入隊にあたり、”政治的活動をしない”という誓約書を書かせているらしい。田母神がその誓約書を書いているかどうかは分からないが、隊員にそれを強制しているからには、それは田母神にも適用される規範となるであろう。
そこで懸賞論文に応募したことが政治的活動にあたるか、ということが問題になる。
現在、政府は村山談話に現れた歴史認識に基づいて活動している。
田母神は村山談話の存在も知っていたろうし、政府がその認識を踏襲していることも承知しているはずた。
賛否いずれにしろそれを外に向かって発表することは政治活動にあたると言えよう。
このことはひとり田母神ばかりではない。
わたしがごくわずかな読者に向かって駄文を書いているのも、ささやかに過ぎるが、これも政治的行為と言えないこともない。
軍・自衛隊は政治的活動をしてはいけない、という規範があれば、田母神の行為は、明らかにこの規範に抵触する。
わたしなどとは比べようのない大きな政治的活動である。
政治活動の禁止という面からは田母神は当然処罰されねばならない。
文民統制に抵触するとは明言しにくいが、政治活動の禁止という規範・規則には明らかにひっかかる。
文民統制と公務員・自衛隊員の政治活動の禁止ということは分けて考えなければならない。

ただし、次の記事は明らかに文民統制に抵触する事件である。

クラスター弾「搭載可能」 空自また政府と異なる見解 (中日新聞 11/18)




航空自衛隊が先月19日の航空観閲式で、政府が廃棄方針を決めているクラスター爆弾を空自の戦闘機に搭載可能な兵器として紹介、展示していたことが分かった。

 当時の観閲式実施責任者は「侵略戦争」について政府見解と異なる論文を発表し更迭された田母神俊雄前航空幕僚長。田母神氏は当初、同爆弾の禁止に反対だった。取材に対し、空自広報室は「(3年前の)前回も展示していたので淡々と展示した。特に意図はなく、田母神氏の指示もない」としている。

観閲式は茨城県の空自・百里基地で、一般市民を含む招待客ら約7000人を集めて開催。麻生太郎首相や浜田靖一防衛相、田母神氏ら自衛隊幹部が出席した。


政府が廃棄方針を決めている武器を展示しているとなると、これは制服組の独走、政府無視ということになる。
もし田母神が意図的にやったこととなると重大な文民統制違反である。
事実を明らかにして、断固たる処分をしなければなるまい。

しかし、”文民統制”というものは制服組だけに責任を押しつけるものではない。

麻生太郎首相や浜田靖一防衛相も自衛隊幹部とともに出席していた。

麻生が気がつかなかったのは仕方ないかも知れない。しかし、防衛大臣の浜田は言い訳できない。事務次官以下の防衛官僚達の責任も重大である。
文民統制とは統制される側の問題でもあるが、統制する側の問題でもある。
コントロールする側がかくも無能では、文民統制は穴だらけ、有名無実ではないか。
この場合は制服組の独善的な判断も問題だが、それを見逃して当たり前のような顔をしている文民の側の責任のほうがより重いといえよう。


長くなってしまったので、③ 処分の妥当性についての感想は稿を改めて後日投稿したい。




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最高裁長官人事に異議あり!

2008-10-29 18:56:39 | 政治
完全な論功行賞人事か?
評価の定まらない、というかこれから制度の詳細が国民の間に知れていくにつれ反対が大きくなるであろう裁判員制度導入の先導者をいきなり長官に据えるとは!
これではまったく法務省と裁判所の二人三脚ではないか!
言い換えれば、行政と司法のなれ合いではないか。

最高裁長官に竹崎氏 14人抜き、裁判員制度導入を推進 (asahi.com 10/29)

政府は28日、11月21日に定年を迎える島田仁郎(にろう)・最高裁長官(69)の後任となる第17代長官に、竹崎博允(ひろのぶ)・東京高裁長官(64)を起用する方針を固めた。島田長官が近く、麻生首相と会い、了承を得たうえで、今週にも閣議決定される見通しだ。

 最高裁長官は、現職の最高裁判事の中から選ばれることが続いており、最高裁判事を経ずに長官になるのは1960年に就任した横田喜三郎・第3代長官以来、48年ぶり。現役の14人を飛び越す、異例の人事となった。現職の判事と比べると、9月に就任した行政官出身の桜井龍子判事(61)に続く若さとなる。

 竹崎氏は来年5月に始まる裁判員制度の導入に向けて、積極的にリードしてきた。最高裁長官に起用するのは、刑事裁判の大変革となる制度が始まるにあたって、経験や手腕を生かした強力な指導力に期待したためとみられる。竹崎氏が70歳の定年まで長官を務めた場合、任期は約5年8カ月となるため、司法のトップが長期にわたって安定することも考慮した模様だ。


憲法では、最高裁判所の長官は内閣が指名し、天皇が任命する、とだけ規定している。

慣例的に、最高裁判所長官は定年の70歳に近づくと、内閣総理大臣に対し、次期最高裁判所長官として誰が適任であるか意見を述べる。内閣総理大臣がその意見を了承すると、閣議により内閣が次期最高裁判所長官を指名する。そのため、実質的に最高裁判所長官の指名権があるのは、前任の最高裁判所長官といえる。
(ウィキペディアより)


なんかずいぶんいい加減ものだ。
”慣例的に”、実質的には指名権は前任の最高裁長官にある。
慣例的なものである以上、その指名のやり方には保証がない。
前長官の指名を内閣は拒否できるのか?
内閣の意志を前長官の推薦に優先させることができるのか?
前長官は内閣から完全に独立して判断している、という保証はあるのか?

長官の指名に至る手続きを、法であるいは明文化したやり方というものをちゃんと決めておく必要があるのではないか?

今回のような人事の報道に接すると非常に不透明な感じを受ける。
手続きの不透明さ以外にも疑問がある。
このような人物つまり裁判員制度の導入を先導した人物を最高裁長官に据えた場合、今後この制度に反対するような訴訟は一切勝つ見込みがなくなる。
場合により、人により裁判員制度を違憲とする訴訟を起こすことがあるかも知れない。
しかし、もうそのような訴訟はほぼ100%敗訴ということになる。
国民は、訴訟を通して裁判員制度に反対する権利を実質的に奪われたことになる。

近く行われるであろう衆議院議員選挙と同時に最高裁判所裁判官の国民審査が行われる。この竹崎という人物も審査の対象になるが、国民審査でやめさせられた裁判官は皆無である。
国民審査のやり方にも問題があるが、こんな竹光にも劣る武器を与えただけでは国民の人権を保障しているとは到底言えまい。


今度の国民審査では対象の裁判官全員に×をつけよう!
総選挙まで名前を覚えていられる自信がない。
全員罷免ということになれば、政府も裁判所も少しは考えるだろう。




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石原親子のデタラメ・新銀行東京

2008-10-28 17:22:33 | 政治
石原慎太郎東京都知事と石原伸晃自民党幹事長代理親子。
親の不始末を息子が尻ぬぐいか!
普通ならほめられるところだが、税金を使って尻ぬぐいというのではそうもいかない。

金融強化法改正案:新銀行東京にも資本注入は可能--石原・自民幹事長代理 (毎日jp 10/27)

自民党の石原伸晃幹事長代理は26日のNHK討論番組で、金融機能強化法改正案について「(資本注入先の)銀行に区別はない」との認識を示した。民主党の菅直人代表代行は同番組で東京都から400億円の追加出資を受けて再建中の新銀行東京が対象となる可能性に言及。徹底審議を求めていく考えを強調した。【三沢耕平】

新銀行東京は、慎太郎はぐだぐだいっているが、紛れもなく慎太郎が作ったものである。これは慎太郎の都知事選に際して慎太郎自身がその設立を公約として発表している。

2003年東京都知事選挙の際の石原慎太郎の公約
       2 中小企業の能力を引き出す「新しい銀行を創設」


東京都が1000億円を出資、外部からの出資と合わせ、資本金1187億円で、2005年にスタートした。
そのデタラメ経営はもうすでにさまざま報道を通して広く知られているところである。
審査のデタラメさ。
周辺に群がる口利き屋の存在。
都議や伸晃の秘書達の暗躍も報道されている。
「知人に頼まれたら紹介ぐらいしますよ」
これは慎太郎がぬけぬけと言った言葉である。

そしてデタラメの一端がまた明らかになった。
新銀行東京:渡部容疑者、審査甘いと元同僚誘う 詐欺事件 (毎日jp 10/28)

新銀行東京は05年4月の開業以来、「無担保・無保証」をうたい、書類審査中心の異例のシステムを採用するなど、ずさんな融資を積み重ねたと指摘されている。


初年度200億円強の最終赤字。
翌年2007年3月において累積赤字は849億円。
2007年中間決算で累積赤字は936億円にふくれあがっている。
2008年3月では1016億円に積み上がる。
石原はそれまでの代表者をクビにして、都庁幹部の津島隆一を責任者に据えた。以後石原と津島は赤字の責任をすべて前経営陣に押しつけてきたのである。
今年3月、東京都は大方の反対を押し切って400億円の追加出資を行った。
「民間人に任せたらこんな事になってしまった」
「ボクが経営してたらちゃんとやっていますよ」
「追加出資をしなければ損害はもっと大きくなるんですよ」
そのころこの男が並べ立てていた言いぐさである。
しかし、慎太郎お気に入りのこの津島という男は、もともと新銀行の設立本部長を務めている。はじめからこの銀行は石原・津島主導で設立され運営されてきたのである。
前任者に責任をなすりつけられる立場ではない。

幸いなことに麻生が銀行に10兆円の公的資金注入を言いだした。
幸いなことに息子は自民党幹事長代理だ。
幸いなことに麻生は友達だ。

これだけ条件が揃っているのだ。
せめて1、2パーセントでも貰おうか、と慎太郎は皮算用をしているか。

どうも今回の公的資金注入話はうさんくさい。
農林中金にも資金を入れられるようにするらしいが、農水省の天下り金融機関を新たに対象に入れるところを見ると、すでに損害額をつかんでいるのか?
新銀行東京も金融庁の調査が終わったばかりである。
結果はまだ公表されていないが、どうせ叩けばほこりがモウモウの銀行だ。

しかし、この2つの金融機関は公的資金注入の本来の目的である金融システムの維持という点からは、今回の対象にすべきではなかろう。
特に新銀行東京は特異な営業形態をとる、東京都の直営銀行である。他の金融機関との関係も薄い。銀行の連鎖破綻の心配はない。
400億円の追加出資のときにもいっそ潰して精算したほうが安くつく、という議論もずいぶんとあったではないか。
石原はそれらの声を無視して出資を強行したのである。
ここにだけは国の税金を入れるべきではない。
まして今回は経営責任を追及しない方針らしい。
ここに国の税金を入れたりしたら、究極のモラルハザードということになる。
東京都民には気の毒だが、東京都が都の税金でなんとかするほかない。
都の財政規模からすれば、なんとかなるだろう。
これもとんでもない男を知事に選んでしまった都民の悲劇といえようか。
(本当は自業自得といいたいところだが、東京都民全部に、「石原慎太郎がどんな男か理解していなかったあんたが悪い」とは言いにくい)





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不毛なのは桝添の頭…ネズミ男の変節と食言

2008-10-12 08:12:42 | 政治
この男を話題にするのも嫌なのだが、”厚生労働大臣”という権力を握っている以上、放っておくわけにもいかない。
こいつが自己保身と自己宣伝だけの人間だということを知っている人は多いが、知らない人もまた多い。
ただこんな奴を厚生労働大臣などという要職、ある意味国民の命を握る最重要ポストにいつまでもつけておくことは、国民の不幸である。

安倍内閣・福田内閣・麻生内閣と三代に渡って唯一大臣の座を確保している処世術の達人、それが桝添である。
ポスト維持に賭ける執念は本職の政治家以上のものがある。
饒舌とパフォーマンスが桝添の武器である。

参院選惨敗にもかかわらず続投を表明した安倍を「アホ、バカ」とののしり、責任追及の先頭に立っていたと思ったら、間もなく安倍改造内閣に入閣していた。
次には福田へのすり寄り。
安倍のあとの総裁選、告示日早々福田支持を打ち出し、猟官運動。

そして今度の総裁選。
麻生への擦り寄りも早かった。
手みやげは、後期高齢者医療保険制度の廃止。

舛添厚労相、高齢者医療制度の見直しを検討 (asahi.com 9/20)
舛添厚生労働相が75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(後期医療)について、廃止も含めた見直しを検討していることが19日明らかになった。後期医療は今年4月に制度が創設されたが、年金からの保険料天引きなどに批判が強く、政府・与党が今年6月に改善策を打ち出したばかり。10月15日の天引きや次期総選挙が近づくなか、大胆な見直しで国民の支持をとりつけたい考えだ。

関係者によると、舛添厚労相は自民党の麻生幹事長らと批判の強い後期医療について、改善ができないか検討を進めていたという。


これは自民党総裁選投票日の三日前。
という訳で、めでたく留任。
しかし、さすがの桝添もそのつけを払うのに四苦八苦する羽目に。

自分の発言に党内および公明党から批判が続くと、発言は後退に次ぐ後退。
厚労相、後期高齢者医療制度「制度の根幹は変えず」 (NIKKEI NET 9/25)

後期高齢者医療見直し 発言先行、舛添流  (asahi.com 10/11)
舛添氏は福田政権時代、「若者4割(の負担割合)を決めたことに意味がある。大事なのは高齢者もちゃんと負担すること」(6月26日の政府広報オンライン)と75歳以上を切り離した現行制度を擁護していた。

 しかし、後期医療に懐疑的な麻生太郎氏が首相就任直前の9月20日、突然、75歳以上の線引きを改めることを柱とする大胆な見直しを表明。だが、「廃止ではない」と強弁し、10日の会見では「『廃止する』とか『廃止しない』と言うのは全く不毛」と語った。老人保健制度が行き詰まり、後期医療導入まで約10年かけた議論についても「もっとクリエーティブに新しいパターンを考えればいい」と切り捨てた。


自分で言いだした制度廃止およびその後の自分の発言後退に対する批判が高まると今度は、
『廃止する』とか『廃止しない』と言うのは全く不毛
と、仰天発言。
もっとも、仰天しているのは小心なわたしたち庶民だけ。
”変節こそが生き方”のこの男にはどうってことないセリフか。

嘘と自己弁護が政治家の特性とするなら、桝添はすでに紛れもなく政治家中の政治家である。




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茨城県医師会と歯科医師会 それぞれの民主主義

2008-10-10 06:43:29 | 政治
特異な活動を続ける茨城県医師会。
ご存じない方のために簡単に触れておきたい。

茨城県医師会が全国的な注目を集めることになったきっかけは、例の後期高齢者医療保険制度に反対の意志を全国の医師会のうちで最初に宣言したことであった。

『後期高齢者医療制度』に対する茨城県医師会の取組み   2008年3月31日(月)

今日の我が国を作り上げた高齢者の生活は、社会が支えなければなりません。
この度の後期高齢者医療制度は、医療費抑制だけの目的で我が国伝統の親子関係まで分裂させて、わずかな年金から新たな保険料を徴収し、さらに年齢により人間の価値を差別する制限医療を目的とすることが明白であります。このような政策は、文化国家政府の許される行為ではありません。
茨城県医師会は、「後期高齢者医療制度」の撤回を求め、次のように運動を展開することといたしました。

後期高齢者医療制度は、高齢者に大きな負担をもたらし、医療を制限する萎縮医療そのものであり断固反対する。


後期高齢者医療保険制度の本質を指摘し、かつ格調高い宣言文となっている。
この茨城県医師会の動きは全国の医師会にも少なからず影響を与えてきた。
これまで鉄板の自民党支持組織と思われていた医師会の一部から公然と政府の政策に対して異議がしめされたのである。
茨城県医師会の印した最初の一歩は輝かしい一歩であった。

(事業内容)
1.後期高齢者医療制度に反対であり、撤回を求めて運動する。
  1)ポスターの作成
  2)署名活動


そして実際にポスターを作成したのである。



後期高齢者医療制度の撤廃を求める署名、遂に20万突破す!

宣言に終わらずに実際の行動にでていたのである。
この行動力は賞賛に値する。

医師会の行動としてはこのへんが精一杯か、と思われるところであるが、彼等は更に動き続けたのである。

茨城県医師連盟、民主推薦を表明 自民有力支持団体が反旗 (産経ニュース 9/18)

茨城県医師会の政治団体「茨城県医師連盟」(原中勝征委員長)は17日、次期衆院選の県内全選挙区で、民主党候補を推薦することを明らかにした。自民党の有力支持団体である医師連盟が民主党支持を打ち出すのは全国初。医師会は政府・与党が導入した後期高齢者医療制度に反対しており、今回の対応も「政策として、制度反対を表明する民主党への支持を決めた」と説明。社会保障政策などへの不信を背景に、蜜月関係にあった自民党に対して“実力行動”に打って出た形だ。

 「自民党県連とは長年、深い協力関係にあった。ただ県政と国政は別。今の自民党に変化は望めない」。自民党員でもある原中氏は、同日の記者会見でこう強調した。

 県医連は8月、立候補予定者全員に対し医療政策などのアンケートを実施。民主党では全員が後期高齢者医療制度に反対を表明。一方、自民党では「党議拘束による回答留保を含め、反対に踏み込む答えはなかった」(原中氏)という。

原中氏(県医師会会長)は「国民生活無視の社会保障制度に対して行動を起こすべきと意見が一致した。天下りや、特別会計の無駄遣いも正す必要がある」と指摘した。


さて、一方同県歯科医師会である。

歯科医師連盟は自民推薦 民主推薦の医師連と“ねじれ” 茨城 (産経ニュース 10/8)

こちらは古色蒼然。
なんと言っても保守王国の茨城県。
これが当たり前の姿なのである。
だからこそ、県医師会の特異さが際だつ。
とりあえず記事を読んでいただこう。

茨城県医師会の政治団体「県医師連盟」(原中勝征委員長)が次期衆院選の県内全選挙区で民主党候補を推薦したことが波紋を呼ぶ中、「県歯科医師連盟」(鈴木明夫会長)は7日、つくば市内で記者会見を開き、県内全選挙区で自民党候補を推薦することを明らかにした。会見には日本歯科医師連盟の永山一行会長のほか、県薬剤師連盟や県看護連盟など、県医師連盟を除くすべての医療関係の政治団体代表が同席。民主支持を打ち出した県医師連を強く牽制(けんせい)した格好だ。(篠崎理)

 政治団体が記者会見を開き、改めて自民党推薦を強調するのは極めて異例。会見で鈴木会長は「9月21日の理事会、10月1日の評議会で県内全選挙区で自民党候補を推薦することを決定した。政治的立場を鮮明にするため、この場を設けた」と強調した。

 日本歯科医師連盟の永山会長も「(茨城の)医師連が民主党を応援することは今まで例がない。日本歯科医師連盟はあくまでも自民党を支える大きな組織として、あえて医師連盟とは違うことをアピールするため(茨城に)来た」と同席した理由を説明した。

 永山会長は自民党を支持する理由を「民主党は未知の党であり、彼らの医療制度への考え方は首をかしげるところもある。組織としては自民党と公明党を応援する。各都道府県にも理解いただくよう通知を出した」と述べた。

 県医師連が民主党を推薦し、県歯科医師連盟とその他の医療関係政治団体が自民党を推薦するという“ねじれ”現象に、医療現場での混乱も予想される。

 鈴木会長は「(県医師会の)原中委員長の所へ行って県民の福祉や医療などのために連携を申し入れた。医療の目的は一つ。対峙(たいじ)しているように見えるがこれからもおつきあいしていく」と述べた。


こういう人間と組織が自民党政治を支えてきた。
次の原中県医師会会長の言葉とは対極に位置する。
 「自民党県連とは長年、深い協力関係にあった。ただ県政と国政は別。今の自民党に変化は望めない」。自民党員でもある原中氏は、同日の記者会見でこう強調した。

原中氏(県医師会会長)は「国民生活無視の社会保障制度に対して行動を起こすべきと意見が一致した。天下りや、特別会計の無駄遣いも正す必要がある」と指摘した。

医師会側の主張には自立した人間としての自覚と意志が感じられる。
歯科医師会の主張には、残念ながらそんなもののかけらも見いだせない。

ただし、歯科医師会のうちにはこんな動きもある。せめてもの救いか。
「民主党茨城県歯科医師会支部」を設立 (2006年7月3日)
せっかく作った組織だ。しっかり活動しなさい。




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民主党のジレンマ・逃げ水国会

2008-10-09 08:02:20 | 政治
昨日の日経平均952円安で雲行きがおかしくなってきた。
為替相場も1ドル100円割れの大幅ドル安。
経済・金融問題が政治に奇妙な影を落としだした。
麻生が、緊急事態だ、追加補正やさらなる経済政策が必要だ、と騒ぎ立てるのも仕方がないという状況になってしまった。
民主党にしても苦しいところだ。
解散総選挙を急がせたいが、あからさまにそれを叫びにくい。国の緊急事態に選挙、選挙と叫んでいてもいいものか?国民の反発があるのではないか?
しかし自民党にこのまま政権を預けたままでいいのか。
どうせ大した経済対策など打ち出せない。
ガソリン暫定税率一つ動かせない内閣では出来ることはたかが知れている。
原油相場も大幅に下がっている。ここで一気に暫定税率をなくせば、物価抑制、減税効果の一石二鳥。簡単かつ最大の景気刺激策になるのだが……。

日銀総裁は協調利下げに及び腰というより拒絶の会見をしていたが、よく意味の取れない不思議な日本語だった。もっともこの低金利では利下げ余地はほとんどなかろうが……。せっせと流動性供給には励んでいるが、効果はほとんど現れてこない。
しかしこの日銀の態度は問題ではなかろうか?昨日のアメリカほか10ケ国の協調利下げに加わらなかった日本銀行の姿勢が見えてこない。
白川・中川コンビで10日に開かれるG7で何かメッセージが発信できるのか、はなはだ心許ない。

白川日銀総裁記者会見の一問一答 (10/7)

 ──協調利下げの可能性があるのとの見方が浮上している。 

 「協調利下げ云々については、先ほど申し上げたことに尽きている。景気については、下振れ方向のリスクが高まっていると先ほど申し上げた通りだ。一方、もちろん上振れリスクもあるが、変化という意味では下振れリスクが高まっている。物価については、上振れリスクというものを意識しないといけないということも申し上げている。金融政策の効果波及のラグを考えてみると、現在の調節方針を維持するのが適当であるという判断であった。金融政策の協調という場合に、各国の経済物価の状況からすると、本来は望ましくないことを協調して行うということが協調という言葉のニュアンスだと思われるが、そういう意味での協調はむしろ望ましくないと思われる。たまたま各国が判断して、金利の変化の方向がそろったケース、それは協調という言葉で表現できるものではなく、そのような政策が適当と判断したということなので、あえて協調という形容詞を使う必要はないと思われる」

麻生内閣には経済の分かる人間がいないし、こいつらに経済対策など任せたら火事場泥棒を働きそうな奴ばかり。

参院本会議場で一緒にワンセグ視聴 2閣僚が議長に謝罪 (asahi.com 10/8)

たいしたことではないが、2閣僚というのがやや問題。
中川財務・金融大臣と与謝野経済財政担当大臣。
今回の臨時国会は麻生が緊急経済対策・補正予算成立を最優先課題とした国会。いわばその中心人物の二人ではないか。内閣の本気度が分かるわ!

補正予算の次は新テロ特措法、その次は消費者庁そして追加補正予算と、一つクリアすればまた一つと麻生は解散引き延ばし策を持ち出してくる。
だれかが”逃げ水国会”と言っていたが、まさにピッタリの表現だ。

ここは公明党にがんばって貰うしかないか。
”ぐずぐずしていると矢野前公明党委員長を国会に呼ぶぞ”と脅かして、公明党から解散をせっつかさせる。
公明党が一番恐れているのは、池田大作に傷をつけることだ。それを避けるためにはどんなことでも聞き入れる。

野党、「政教分離」で公明に圧力 「矢野氏招致」へ準備 (asahi.com 10/8)

民主党としては当を得た戦術だ。しっかり進めるように。
自民党は解散先送りと総選挙対策の両面作戦。

政策減税を柱に追加経済対策 自民、総選挙向け検討着手 (asahi.com 10/8)
(抜粋)
所得税と個人住民税の「定額減税」は8月の経済対策に続き、年度内実施を改めて盛り込む。ただ、規模や実施方式は自公両党間で隔たりがあるため書き込まず、年末の税制改正論議に先送りする。


規模や方式は書き込まない?
公明党の顔を立てただけ!
当然、財源も示せない。
国民には匂いだけでもかがせてやろうってか!


どうにもまとまりのない文章になってしまった。
ジレンマはわたしにも及んでいる。



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大野病院訴訟無罪判決をめぐる動きについて

2008-08-30 09:37:14 | 政治
医療ミスをめぐる裁判に政治が介入している。
確かに検察は行政機関の一つである。
検察への圧力が司法権の独立に触れるかというと、それはまた別物ということもできよう。
しかしそれでもなお、政治家が検察に控訴断念を迫る構図はなにか釈然としないものを覚える。
実際に当の医師に医療ミスがあったのかどうかは素人には分からない。
だが、それはこの政治家連中も似たり寄ったりだろう。
ようするにこの連中の言い分は、医師不足に対処するため医師のミスで人が死んでも目をつぶるということだ。

超党派議員、法相に“大野病院事件”の控訴断念を要請 (YOMIURI ONLINE 8/27)

超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の尾辻秀久会長(元厚労相)らが27日午前、保岡法相と法務省で会い、福島県立大野病院で起きた医療事故で業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医に無罪判決が出た裁判での控訴を断念するよう要請した。

 議連は「事件後、ハイリスクな医療では刑事訴追される不安がまんえんし、産科空白地帯が急速に拡大した。控訴がなされないようお願い申し上げる」とする要望書を法相に手渡した。保岡法相は「(控訴については)現場の判断に任せる」と述べた。

(2008年8月27日10時52分 読売新聞)


行政にかかわる民事訴訟で、政治家が介入することはよくあるが、刑事裁判でのこのようなあからさまな介入は、そうあることではないのではないか。
確かに産科医師不足が深刻な問題になっていることは耳にしている。

福島県立大野病院産科医逮捕事件(ふくしまけんりつおおのびょういんさんかいたいほじけん)は、2004年12月17日に福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた産婦が死亡したことにつき、手術を執刀した同院産婦人科の医師1人が業務上過失致死と医師法違反の罪に問われている事件である。

医師は2006年2月18日に逮捕、翌月に起訴された。2008年8月20日、福島地方裁判所は、被告人の医師を無罪とする判決を言い渡した──ウィキペディア・大野病院事件 より。




ちょっと見にくいが、赤い折れ線が産婦人科医師数の変化である。
グラフは1984年から2004年までのものである。
過去20年間で15%の減少となっている。
産科医の減少は今に始まったことではなかった。
この傾向は更に進み、産科医不足に対する何らかの対策が必要なのは明らかである。
大野病院事件が医師不足に拍車をかけかねないことも確かだろう。

議員連盟の動きの前にすでに政府も動いていたようだ。

医療事故捜査慎重、適切に…警察庁長官 (YOMIURI ONLINE 8/22)

福島県立大野病院で2004年に起きた医療事故で業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医に無罪判決が出たことについて、警察庁の吉村博人長官は21日の記者会見で、「医療行為への捜査については判決を踏まえ、慎重かつ適切に対応していく必要がある」と述べた。警察庁長官が、確定前の判決に踏み込んで言及するのは異例。

 吉村長官は「警察として医療の場での事件、事故への対処は簡単ではない部分がある」とし、「警察の捜査活動が(医師に)消極的な影響を与えてはならない」との考えを示した。民事訴訟や行政処分との兼ね合いについても言及し、「刑事だけが突出してはおかしくなる。総合的に判断する必要がある」と述べた。

(2008年8月22日 読売新聞)


医療事故やミスについての捜査活動の消極化を打ち出している。
医療における事件・事故に関しては、被害にあった国民にとって警察はあまり頼りにならなくなりそうだ。

大野病院医師に無罪判決…検察側、控訴断念へ (YOMIURI NLINE 8/28)

福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に無罪を言い渡した福島地裁判決について、検察当局が控訴を断念する方向で最終調整していることがわかった。


私は今回の無罪判決の妥当性について判断する知識は持ち合わせていない。
また、検察に勇み足があったのかどうかも判断できない。
しかし、医師や医療機関を相手にした訴訟では圧倒的に素人の被害者側が不利な立場に置かれ続けていたことは間違いない。
この一連の動きの中で、国民の人権がないがしろにされる流れが強まることを懸念するものである。
そして行政や議員の恣意的な訴訟介入が検察や警察の活動に影響を与えることにも懸念を抱く。
同時にこのことは、社会的要請から司法(あるいは検察・警察を含めて)はどれだけ独立しうるか、あるいは独立すべきかという素朴な疑問も抱かせる問題であると感じている。
そしてなにより死亡した女性の家族の無念さに同情を覚えるものである。




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役人の思い上がり コンビニ深夜営業は悪か?

2008-08-23 08:24:57 | 政治
この発想の安直さにはあきれるというより腹が立つ。

コンビニ深夜営業規制に反発 業界団体が自粛拒否

地球温暖化防止のため二酸化炭素(CO2)削減が叫ばれる中、京都市などがコンビニエンスストアに深夜営業の自粛を求めた問題で、業界団体の日本フランチャイズチェーン協会(土方清会長=サークルKサンクス会長)は22日、京都市内で記者会見し、深夜営業を継続する方針を明らかにした。


コンビニの深夜営業の自粛が地球温暖化対策になるのか!
大体何故コンビニなのだ。
全国平均で考えれば町内にせいぜい2,3軒程度のコンビニが深夜営業をやめたからといって、地球規模でどれほどの効果があるというのだ?

コンビニの深夜営業については京都市のほか、6月に先鞭をつけた埼玉県や神奈川県、東京都でも「CO2削減」と深夜型生活の是正を理由に再考を促す機運が高まっている。

『深夜型生活の是正』?
要するに、一般国民の生活パターンがけしからんという思いと温暖化防止とを都合よく結びつけただけのことに過ぎない。
多分この連中は、”人は昼活動して夜は寝ていろ”という生活を国民に押しつけようとしている。
そしてそれが”人としての正しい生活”だと思いこんでいる。
役人どもに生活の仕方まで指図されたくない。
もし、どうしても自分らの考えを押しつけたければ、法律でも条例でも作ってみろ。
”自粛を要請”などと、権力をかさにきたこそこそしたやり方をするな。
テレビやラジオの深夜放送もやめさせろ。
吉野家の深夜営業もやめさせろ。

コンビニは負けるな!




暫定税率廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


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消費税引き上げに賛成の人間とは

2008-07-21 09:17:46 | 政治
消費税増税「反対」が過半数=「賛成」42%-時事世論調査 (時事ドットコム 7/20)




驚きは、反対が過半数を占める、ということではない。
賛成が42%もある、ということだ。
過半数までもう少し。
諸外国に比べて、日本は税率がずっと低いという財務省等の宣伝に、”良識ある庶民”がすつかり洗脳された結果か?
なんで日本人はこんなにものわかりがいいんだ!

ガソリン税で作った高速道路を走ればまた馬鹿高い料金をとられる。
たばこを吸えばたばこ税。酒を飲んでも酒税。
車を買えば自動車取得税。ようやくの思いで家を建てれば不動産取得税。
電気料金も馬鹿高い。NHKだって税金と同じ。
5%以外にとられている物品税・間接税はかなりの額になるはずだが、財務省は都合のいい数字しか発表しない。

社会保障や環境が錦の御旗。
いつの間にやら、消費税増税が正しい道で、消費税を増税しないのは無責任、という訳の分からぬ理屈が出回っている。

申し訳程度に、無駄を省くと言ってはいるが、根本的な変革をやる気はまったくなし。組織内でのちっぽけな無駄探しでおしまいにする積もり。
体制そのものの無駄には目をつぶったまま。
特殊法人等にもほとんど手つかず。
最大の無駄を生んでいる根源は”天下り”なのだが、それも知らん振り。

”天下り”を禁止するだけで数年で消費税全部に相当するぐらいの節約は可能になるはずだ。
役人は天下りできない法人に、無駄な仕事のために金を払わなくなる。ほとんどの特殊法人は潰れることになろうが仕方がない。
失業対策はハローワークに任せて、不要な組織には潰れて貰おう。

消費税増税に賛成という層には二つありそうだ。
一つは政府・与党のデタラメ宣伝を真に受けて”良識的な判断”をする層。
もう一つは、どうせ増税になるのなら、直接税を上げられるよりは間接税を上げて貰った方がありがたいという層。
法人税を上げられるよりは消費税のほうがまだ増しだ、と考える企業は多いだろう。
累進税率を上げられると困る高所得者層もある。

政府としては直接税を上げるよりは、間接税のほうが上げやすい。一度上げれば取りはぐれがない。


消費税増税に賛成する人間は俺たち貧乏人の敵だ!



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一箱千円、ようやくたばこがやめられる

2008-06-12 17:34:52 | 政治
「たばこ1箱千円」で超党派議連 消費税アップけん制も(共同通信) - goo ニュース

「たばこ増税議連」、超党派で13日設立

世間知らずの議員どもが勝手なことを言っている。
「1箱千円」は日本財団の笹川会長が「約9兆5000億円の増収になる」と提唱、中川氏らが着目した。
よくこんな話に飛びついたものだ。9兆5000億円!それを”捕らぬ狸の皮算用”という。

ところでこんな調査があった。
たばこの価格が500円に上がれば、半数が禁煙
禁煙広報センターというところが2005年12月に発表した調査

たばこ価格が500円に上がれば、51.2%が禁煙し、71.5%が吸う本数を減らす。1,000円になれば、73.4%が禁煙する。


そうするとJT(日本たばこ産業)はどうなる?
会社は倒産。4万5千人の従業員は失業。
全国たばこ販売店 約30万店。
タスポなんて訳のわかんないカードを財務省が思いついたおかげで高い自動販売機に置き換えたばかり。そこに売り上げ激減間違いなしの増税話。泣きっ面に蜂。

JTの売り上げは90%以上がたばこ。国内たばこ売り上げが全売り上げの70%。食品・製薬部門の売り上げなど、たばこに比べれば微々たるもの。たばこの利益で支えられているようなもの。
会社の時価総額4兆7500億。
財務大臣持ち株比率50.02%。
倒産すれば株券は紙くず同然。残余財産を処分しても国の損失は2兆円近く。

増税で見込んだ9兆円どころか、毎年のたばこ税2兆円もパー。国に入る利益配当もパー。

しかし、一箱1000円という話が出てきてから、JT株は4万円弱しか値下がりしていない。7~8%程度である。株式相場全体が弱い中で意外と値を保っている。悪い冗談だという程度の受け止め方なんだろう。しかしだんだん冗談では済まなくなる雰囲気が出てきた。増税話が現実味を帯びてくると暴落は必至だろう。

JTは、たとえ倒産は免れても、固定費もまかなえないので、国内生産をやめて、海外子会社からの輸入に頼る。あるいは国内では一部超高級品一箱2000円程度のたばこだけ生産するようになるか。

卵を産む鶏を殺して元も子もなくす。こちらは”虻蜂取らず”
しかし、馬鹿なことを思いついたものだ。世間知らずの政治家というのはまったく始末が悪い。(国内からたばこを追放しようという意図があるのなら話は別だが)
反面、たばこをやめたくてもやめられない多くの人にとっては、願ってもない機会だ。これで心おきなくたばこがやめられる。




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『鉄のトライアングル』は死語になったのか

2008-05-28 11:37:06 | 政治
『鉄のトライアングル』という言葉を、最近聞かなくなったことにふと気がついた。
これは政・官・財の癒着の構造を示す言葉であった。この言葉は死語となったのか?この構造は消滅したのか?
変質はしたが消滅はしていない、というのがこの連環のそとにいる一市民の目に映る風景である。
変化の主たる要因は企業にある。かつて国内産業の中心は建設、鉄、電力そして金融であった。内需産業である。産業政策は海外企業の攻勢から国内産業を守ることに重点が置かれた。そして議院内閣制のもとで政治と行政は一体化していた。本来の三権分立のシステムが、この国の社会的、歴史的背景のもとで特異な変容を経た結果であろう。日本株式会社と揶揄された形である。

政と官との関係も少しづつ変わってはいるが、力関係の変化にとどまり、本質的な変化があったとは言えそうにない。
それに対して、政・官と企業の関係は大きく変わりつつある。要因は内需から外需への変化であろう。
自動車、電機、機械、素材等主要産業の多くは外需産業である。売り上げの半分以上を海外に頼り、株主の半分近くが外国人という会社も数多い。
このような企業に政・官が自分たちの論理を押しつけようとしても、そうおいそれとは言うことを聞いてはもらえまい。
ソニーや日産では最高経営責任者が外国人である。こんな会社に天下りを押しつけるのはそう簡単ではなかろう。

建設業は政・官と利害が一致する希少な業界であろう。ガソリン暫定税率の廃止、道路特定財源の一般財源化にあれほど政・官挙げて抵抗したのもむべなるかなである。
また最近ではJパワー問題もその表れであろう。経済産業省はなりふり構わず外資の株式買い増しを拒絶した。ここにも経産省の天下り役員がいる。

かつて財界の総本山と言われた経団連では、その会長を最も多く出していたのが新日鉄である。現在はキャノンから出ている。人物はあまり感心しないが、主要業種の変化を表した人事と言えるだろう。

企業の姿勢も大分変わってきている。橋梁談合が指弾されると、さっさと橋梁事業からの撤退を表明した企業があらわれた。少しばかりの利益のために危ない橋を渡るくらいなら、いっそ撤退したほうがプラスになる、という判断だろう。企業経営者は株主からの訴訟を常に意識した行動をとらなければならなくなっている。株主に合理的な説明のできない経営は行えなくなっている。天下りの受け入れなどますますしにくい状況になっている。こういう状況では政・官・業の癒着は起こりにくくなりつつあるのは確かだと思われる。
もう一つ、外国の目も意識しなければならないということがある。政・官はともかく企業は外国企業との競争にさらされている。国際標準という経営基準が要求されている。もちろん彼等も政治に求めるところは大きいだろう。だが同時に、政治に足を引っ張られたくない、という意識も強いようだ。

本来は、『鉄のトライアングル』などという構造は、その構成員の内部からの意識的な行動によって壊すべきものだろうが、外的な力によってであるにしろ、弱体化しつつあるのはいいことだ。
完全に崩壊させるのは難しいが、残っている分野においても早く消えていってくれるのを願うものである。
まだまだ巨額な税金が流されているのだから。

(政官業の間には、個別の企業というより、産業界全体として、法人税率とか租税特別措置、各種の補助金等の問題もあるが、こういうものも政策として堂々と透明性のある論議を経て決定していくように努めて貰いたい。とくに民主党には、企業や資本をただ敵視するのではなく、企業や資本の論理と国民の幸福との調和という視点も持つように強く望みたい。結局それが国民全体の利益ともなり、政権獲得にもつながっていくことになろう。)

政治家は票のためでなく、お金のためでもなく
官僚は権益維持のためでなく、天下りのためでもなく



自民党から政権を取り上げようと思う方は