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政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

溺れた犬はとことん叩け!自公連立野党+二つの医師会

2009-09-04 05:38:17 | 政治
自民党惨敗に「快哉!」を叫んだ人はさぞ多かったろう。
しかしそれに劣らぬ痛快事は公明党の、太田・北川・冬柴の落選である。
代表・幹事長コンビに加えて鉄仮面冬柴までとは!
そして更に……。
祝・小選挙区全敗!

東京都議選で自民党惨敗を尻目に全員当選を果たし、創価学会恐るべしとその実力を全国に知らしめたあの公明党が、わずか二ケ月足らずの後にこんなすばらしい結果を残してくれた!

公明党の太田代表、正式辞任表明 新代表は特別国会前に (asahi.com 2009年9月3日)
公明党の太田代表(63)と北側一雄幹事長(56)は3日午前の党常任役員会で、総選挙の歴史的敗北の責任を取って辞任することを正式に表明した。新代表は16日召集の特別国会前に選出。首相指名では新代表に投票し、自民、民主両党とは一線を画す「是々非々路線」に転じるとみられる。

 常任役員会では、太田、北側両氏に新代表選出を含めた今後の対応が一任される見通しだ。今後、水面下で人選を進め、来週中をめどに新代表選任の党内手続きを済ませ、国会議員や地方代表らでつくる全国代表者会議で正式に選出。新執行部が発足する。

 公明党は総選挙で小選挙区単独で擁立した8人が全員落選。選挙前から10議席を減らす21議席にとどまり、太田、北側両氏は先月31日の記者会見で「責任を痛感している」と述べ、辞任する意向を示していた。


救いは学会のあのお方がどこぞの病院でスパゲッティ状態だとか。
叱られずに済んだ、と全員胸をなで下ろしているだろう。
是々非々路線に転ずるとは早くも連立解消とみえる。
所詮、政権に擦り寄っていただけの関係である。
政権を失った自民党などくっついている価値などまったくない。
まして選挙ではクソの役にも立たないときてはなおさらである。
仲良く後任党首選びというのも笑える。

「政治と金」問題を声高に叫び、鳩山故人献金問題や小沢の西松献金事件で民主党を非難し、揺さぶりをかけていた公明党だが、今度は「政治と宗教」で脅される番になってしまった。
公明党が生意気なことを言ったら「矢野元公明党委員長を国会に呼ぶぞ」と脅してやれる。
ホントは、脅しだけではなく、実行して貰いたいところである。

日本医師会の厚顔無恥

まだ政権交代の真の意味が理解できていない連中も多い。
こんな連中を頼りにしていた自民党が消えていくのも時代の流れとして当然のことである。

医師会、「自民9割」献金見直し…民主軸に?(2009年9月3日 読売新聞)
「票」と「カネ」の両面で長年、自民党を支えてきた日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟」が、政権交代が実現したのを機に、政治献金の配分を見直すことを決めた。

 献金の大半を自民党本部や同党の国会議員に集中する方針を転換し、与党への発言権を確保するため、民主党に軸足を移すことも検討する。「票」についても、今回の衆院選で、「社会保障の充実」を掲げた民主党候補を地方の医師連盟が積極的に支援する例が相次いでおり、医師たちの離反は、復活を期す自民党に大きなダメージを与えそうだ。


日本医師会もついに自公離れに踏み切るようだ。
しかし、よくこんな手のひらを返すようなことができるものだ。
この厚顔さには驚かされる。
だいたい、茨城県医師会が民主党支持を表明したとき、自公支持を大声で叫んで、茨城県医師会を抑えようとしていたのは日本医師会であった。

日医連盟「与党を推薦」表明 地方を牽制 (asahi.com 2008.9/18)

次期衆院選での対応について、日本医師会の政治団体・日本医師連盟は18日会見し、47都道府県の医師連盟に対して「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」との基本方針を示し、「その趣旨に沿った行動をお願いする」と指示したことを明らかにした。

民主党を推薦する方針を17日に決めた下部団体の茨城県医師連盟を牽制(けんせい)した形だ。日医連盟の羽生田俊・常任執行委員は「連盟規約に処分や罰則がなく、茨城県の方針は容認できないが反対もできない」と話した。日医連盟は、茨城県内の選挙区から立候補する自民党公認候補から支援の要請があった場合、県医師連盟とは別に直接支援を決めることもあるという。

 羽生田委員は、自民党側から再来年度予算では社会保障費の2200億円抑制方針を凍結するという麻生太郎幹事長の意向を伝えられたと明らかにし、「医師会の医療政策を最も理解し、政策実現能力を有するのは与党だ」とした。


業界利益を優先する姿勢ばかりが目立ち、医療行政に対する理念のカケラも感じられないのが日本医師会である。
族議員や官僚と組んで日本の医療を崩壊させてきたその責任は重い。
性懲りもなく、また金を使って政権与党に擦り寄ろうとしている。
もうそんな政治は終わりにしよう、というのが有権者の思いだというのに。
こんなやつらは万が一自民党が政権の座に戻ることがあれば、真っ先に駆けつけることだろう。

茨城県医師会の原中会長の言葉を紹介したい。
ここには医療に対する理念、医師としての立脚点そして政治に対するスタンスが明瞭に示されている。

原中茨城県医師会長「国民に貢献できたと思える日が来ればいい (2009/09/02 キャリアブレイン )

茨城県医師会の原中勝征会長は9月2日、キャリアブレインの取材に応じ、「今の官僚中心に政策を作っている自民党に何を頼んでも効果はない。民主党は自分たちで政策を作ろうということなので、これは違うよ、これは正しいよということを言える立場にあるだろうと思う」などと述べ、今後も民主党を通じて、医療政策の改善に積極的にかかわっていく考えを示した。また、「鳩山由紀夫民主党代表が言う心の通う政治が実現し、今回の選挙で民主党支持のために頑張ったわれわれも、国民に貢献できたと思える日が来ればいい」と民主党への期待感を表した。



日本医師連盟が自民党支持を打ち出しながら、茨城県医師連盟として民主党候補者を支持したことについては、「医療を破壊したのは自民党」と指摘した上で、「盲目的に日本医師連盟の決定を支持するということであれば、自民党の部会政治と同じ」と強調。医師としての基本的な態度に立ち返った上での決断とした。

 原中氏は今後、民主党に対し「わたしたちの持っている知識をできるだけお伝えして、最終的には老後に安心できる医療介護の制度に直すことなどと、それに必要な財源を説明して、積極的に改善してもらうというお話をしていく」と述べたが、同党への入党は否定した。その理由については、「医師として公平な意見を言うというのは、政党にこだわらなくても十分にできる。政党人にならない方が、わたしは正確な意見をきちんと言えるだろうと思っている」と述べた。
 一方、昨年離党した自民党との関係については、「今のところ修復は考えていない」とした。その上で、「今の官僚中心に政策を作っている自民党に何を頼んでも効果はない。民主党は自分たちで政策を作ろうということなので、これは違うよ、これは正しいよということを言える立場にあるだろうと思う」と述べ、今後も民主党を支持していく考えを強調した。


茨城県医師会は昨年、会員の意思を確かめた上で、離党の意思を表明した医師が集団で自民党を離党している。
日本医師会は自民党を離党するのか?
日本医師会の医師の大部分はまだ自民党員であろう。
その人たちから集めた金を民主党に献金してしまってもいいのか?

理念もなくただ自民党が握っていた政権というものに群がっていた金と票がこんな風にどんどん離れていく。





祝!政権交代


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ついに日本も国連選挙監視団派遣要請か?

2009-08-27 20:25:25 | 政治
民主主義の基本は選挙である。
選挙の中立・公平さが保証されなければ、民主主義は死ぬ。
そして今、この国の民主主義が死のうとしている。
「何を大げさな」と言われるかも知れない。
しかし、冗談で言っているのではない。
この投票時間短縮の影響がどれほどの票数となって現れるかは分からない。
だが問題は票数に現れる影響の大きさではない。
このような選挙管理委員会の姿勢である。
たとえその影響が小さいものだとしても、結果的に選挙結果の正統性を疑わせることになる。
これでは日本も国連に選挙監視団の派遣を養成する必要があろう。

総選挙の投票終了時刻、繰り上げる投票所3割に (asahi.com 8/25)
30日の総選挙の投票の終了時刻を、本来の午後8時よりも早める投票所が3割に及ぶことが、総務省の25日の発表でわかった。その理由について、自治体側は「期日前投票が浸透してきたことに加え、職員の超過勤務を減らせる」(岩手県大船渡市)などと説明するが、有権者の投票の機会を奪うとの指摘もある。

 発表によると、早めるのは全国5万978カ所の投票所のうち1万5414カ所(30%)。24%だった05年の前回総選挙よりも広がっていた。投票開始を本来の午前7時より遅くする投票所も113カ所(0.2%)あった。

 終了時刻を早める投票所の割合を都道府県別に見ると、高かったのは鹿児島(91%)、秋田(89%)、高知(88%)の順。50%を超える県は13で、05年の7からほぼ倍増した。

 公職選挙法では、特別の事情があれば投票開始時刻を最大で2時間繰り上げ・繰り下げでき、終了時刻も最大で4時間繰り上げられる。


多分自民党や官僚どもはこのくらいのことはやってくると思ってはいた。
それにしても総務省の発表が25日というのは遅すぎるのではないか?
これでは反対も抗議もできない。

公職選挙法
(投票所の開閉時間)第40条 投票所は、午前7時に開き、午後8時に閉じる。ただし、市町村の選挙管理委員会は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情のある場合又は選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限り、投票所を開く時刻を2時間以内の範囲内において繰り上げ若しくは繰り下げ、又は投票所を閉じる時刻を4時間以内の範囲内において繰り上げることができる。


投票時間の繰り上げ終了を決めた各地の選管の理由は果たしてこの規定に合致しているのか。
選挙事務に駆り出される職員の労力を減らす。
そして残業代などを減らす。
投票箱を開票所まで運ぶのに時間がかかる。
開票結果を少しでも早く国民に知らせる。
というようなところがこれまでに言われてきている主な理由のようだ。

しかし、そんなことがこの法令にいう「特別の事情」に該当するのか?
今回選挙に限って特に費用が増えるわけではあるまい。
投票箱を一時間早く運ぶことが、有権者の投票の権利を奪う正当な理由になるのか。
数年に一度の選挙ではないか。
有権者の利便を考え、その権利を生かせるように努力するのが選挙管理委員会の務めであろう。

全国15000カ所余りの投票所が投票締め切り時間を一時間繰り上げることによって投票の機会を奪われるのは、一カ所あたり10人とすれば、全国で15万人。
50人とすれば75万人。
100人とすれば150万人にのぼる。

期日前投票という制度があるのだから、当日行けない人は事前に投票を済ませればいい、などということなかれ。
当日行くつもりでいたのが、急用で遅い時間にしかいけなくなるかもしれない。
あるいはレジャーの帰りが交通混雑で遅くなるかもしれない。
人生何が起こるか分からないのである。
投票時間の変更は十分に周知徹底を図っている、というかもしれない。
しかし、いつもの通りだろうと思いこんでいて、注意書きなどに目を通さない人もいるだろう。

法律を厳格に守った処置というならともかく、法律を恣意的に拡大解釈し、有権者の権利を侵害する。
善良な公務員のとるべき態度ではあるまい。

今回の時間繰り上げの裏に何があるか、証拠は何もない。
総務省からの指示があったのか。
自民党からの圧力があったのか。
市町村の職員の自発的な自民党応援なのか。

残念ながら、有権者に対する善意は微塵も感じられない措置である。
そして自民党・行政側の悪意の匂いがする。
それはこれまでの自民党や行政側のやり口が放つ悪臭なのである。

言い忘れたが、自公にとっては高投票率は不利である、という前提でこう言っている。
「無党派は寝ていてくれればいい」と言ったのは、確か森喜朗だったか?
今回は心の底から、痛切にそう思っていることだろう。

痛くもない腹を探っているのかもしれない。
しかし、そう思われても仕方のないことを続けてきたのが自公政権なのである。

選挙が公正に行われること。
選挙が公正に行われているという信頼がなければ、民主主義は成り立たない。
まさかこの国でこんな心配までするようになるとは夢にも思わなかった。

先の参院選でも既に問題になっていた。

投票時間、工夫の差? 繰上げ急増、理由強弁さまざま (asahi.com)
2007年06月20日

 年金問題や憲法改正が争点になりそうな参院選で、投票権は本当に保障されているのか――。平成の大合併などを機に全投票所で繰り上げている津、伊賀、志摩市など、12市町の選挙管理委員会は「期日前投票があるから」「一部の投票所だけ繰り上げるのは不公平だ」「開票作業を早める方が重要」などと理由を説明する。一方で、開票時間を遅らせたり、離島からの船をチャーターしたりして、投票時間を極力繰り上げまいと工夫を重ねる選管もある。

 昨年1月の10市町村合併以後、全投票所で午後7時までに繰り上げた津市選管は「遠隔地だけ早く繰り上げるのは、候補者の地盤という観点からも問題。10カ所で期日前投票を午後8時までしており、投票の機会を奪っているとは考えない」。

 明和町は、01年の参院選から町内全域で投票終了を午後6時に繰り上げた。「夜間の投票者が少なく、投票所の立会人の拘束時間が長くなる」と同町選管。当初は「報道では午後8時まで投票といっている。どうなっているのか」と苦情もあったが、今はないとしている。
(中略)
◆短縮は本末転倒
 小林良彰・慶応大教授(政治学)の話 各政党の主張の差が鮮明ではなくなり、有権者の態度決定も遅くなっている。今回は改憲もテーマにもなっている。戦後60年の大選択をするのに、1~2時間あせる必要はない。有権者にできるだけ投票の機会を与えるのが選挙の大前提のはずで、開票を早めるために投票時間を短縮するのは本末転倒だ。


そして民主党もこのような流れに抗議はしていたようだが。

(日経記事より)
2007/07/25(水)
民主、投票時間繰り上げに反対

 民主党は24日、参院選で全国の投票所の約3割が午後8時の投票締め切り時刻を
繰り上げることについて「公職選挙法の規定をはるかに逸脱しており、到底容認できない」として、
各自治体の選挙管理委員会に見直しを通知するよう菅義偉総務相に申し入れた。

 総務省は「市町村選挙管理委員会は公選法の趣旨を踏まえ適切に判断し、
決定されているものと考えている」と回答した。


民主党は、こんな回答で引き下がったのか?
その後の決着は耳にしていない。

それにしても民主主義国家の政権与党が投票率が低くなることを望むという現象は何を意味しているのか?





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櫻井よしこ氏の産経での主張について

2009-08-13 18:05:17 | 政治
これまでわたしは、櫻井よしこ氏の書いたものを読んだこともないし、読もうと思ったこともなかった。
間接的に他の人が櫻井よしこ氏に言及したものを目にしたり、あるいはテレビでの発言を耳にした限りでは、わたしにはまったく関心外の存在であった。
しかし、総選挙を目前にして麻生や自民党の傍若無人とも言える右傾化発言が際だってきていると感じていたところに、彼女の主張を産経が載せているのに行き当たった。
この低俗な、思想ともいえない思想の持ち主を保守論壇のスターともてはやす勢力が存在することには驚く。

反論と言うほどのものではなく単なる感想程度のものではあるが、わたしの思うところを彼女の書いているところに沿って述べたい。

【櫻井よしこ 麻生首相に申す】名誉挽回に死力尽くせ (msn産経ニュース 2009.8.13 )
今月末の総選挙に向けた自民・民主両党の主張は日本における政治の矜持(きょうじ)の喪失と保守勢力の凋落(ちょうらく)を痛感させる。日本はいま、歴史を重ねて蓄えてきたすべての力を使い切ろうとしているかのようだ。


「保守勢力の凋落」と彼女は嘆いているが、それが具体的にどのような状況を指して言っているのか、残念ながら彼女の主張にろくに触れたことのないわたしには分からない。
「日本はいま、歴史を重ねて蓄えてきたすべての力を使い切ろうとしているかのようだ」という部分についても同じである。

日本のすべての力は、歴史のなかで先人たちの苦労によって培われてきた。にもかかわらず、麻生太郎首相も鳩山由紀夫民主党代表も、あまりにも日本の土台を構築する価値観や歴史に無神経である。両党首の下の自覚なき政治で、先人の残した諸々の価値観がいまや消し去られてしまいそうだ。

「日本の土台を構築する価値観や歴史」、「先人の残した諸々の価値観」が失われることに懸念を抱き、怒っているらしい。
ただしここで言う、”消し去られてしまいそうな価値観や歴史”が何を指しているかは、やはりまだわたしには明らかでない。

8月15日、麻生首相も鳩山代表も靖国神社には参拝しないらしい。首相の言い分は「国家のために尊い命を捧(ささ)げた人たちを政争の具にするのは間違っている。(靖国神社は)政治やマスコミの騒ぎから最も遠くにおかれてしかるべきもの。もっと静かに祈る場所だ」というものだ。

「日本の土台を構築する価値観や歴史」、「先人の残した諸々の価値観」というのは靖国神社に象徴されるものであるらしい。
彼女が靖国好きであることはうすうすわたしも知ってはいた。
どうやら彼女は麻生や鳩山が靖国にお参りに行かないと言ったことに腹を立てているらしい。

本気であろうか。靖国神社参拝は長年「政争の具」にされてきた。中国が靖国参拝を日本抑圧の切り札とし、切り札を突きつけられた日本側が砕け続けてきた。政争の具にしないためには、まずこの構図を打ち破り、靖国参拝を巡る状況を正常化することだ。日本の首相が「国家のために尊い命を捧げた人たち」を慰霊するのに、外国政府に言われてとりやめるという異常からの脱出が正常化への第一歩だと気づき、熱い心をもって全力で臨まなければならない。そのこともなしに参拝を避けるとしたら、それは、無気力の極みである。異常を是として、異常を継続することにほかならない。

彼女は「政争の具」という言葉を使うことによって、靖国を政治から切り離したところに置きたがっている。
というより政治の上におきたがっているようだ。
しかしこの認識は間違っている。
靖国は政治と宗教という憲法上の問題でもある。
政争の具ではなく政治のテーマである。
議論・論争は当然のことである。

彼女は、”「国家のために尊い命を捧げた人たち」を慰霊する”ことを絶対的に正しいと考えているらしい。
そして、「国家のために尊い命を捧げた人たち」の霊が靖国にあると考えているらしい。
「国家のために尊い命を捧げた人たち」を慰霊するのは総理大臣の義務であると考えているらしい。

しかし、「国家のために尊い命を捧げた人たち」という定義そのものに既に櫻井よしこの情緒が色濃く入り込んでいる。
「過去の戦争で死んだ軍人」ではなく「国家のために尊い命を捧げた人たち」と表現した時点ですでにその態度は決まってしまっている。
「国家のために尊い命を捧げた人たち」という表現・定義に対して彼女は聊かの疑問も抱いていない。

彼女が8月15日にこだわるのも理解しがたい。
8月15日は太平洋戦争の終わった日である。
靖国神社には幕末以来の戦死者がまつられている。
太平洋戦争とは関わりない人たちも多いはずである。
「国家のために尊い命を捧げた人たち」の慰霊というなら、他の日でもいいのではないのか?

 吉田茂以来、不幸にも戦後日本に根を張った政治風土の最も深刻な欠陥は、この種の、異常を正常と思い込む価値観の倒錯である。総選挙を前に国民に訴えるべきは、返済不要の奨学金や農家への戸別補償の効用ではなく、靖国参拝に象徴される日本人の心の問題である。

「この種の、異常を正常と思い込む価値観の倒錯」を「戦後日本に根を張った政治風土の最も深刻な欠陥」と言うが、そうは思わない人たちも多い。
政官業の癒着構造、国民をないがしろにした政治、力を頼んで民主主義を蹂躙してきた政治の在り方、そんなものこそ「最も深刻な欠陥」と考える人たちも多いのである。
もちろんわたしも後者に属する。

「国民に訴えるべきは、返済不要の奨学金や農家への戸別補償の効用ではなく、靖国参拝に象徴される日本人の心の問題である」
なぜ「日本人の心の問題」が靖国に象徴されるのか。
明治に作られた靖国神社になぜ「「日本の土台を構築する価値観や歴史」が象徴されるのか?
「日本の土台を構築する価値観や歴史」の出発点をどこに求めているのかは分からないが、少なくとも明治維新あたりにそれを求めるのは少々近視眼的に過ぎよう。
もし、それまでの歴史を凝縮したものが靖国でありそれが現在に繋がっているというようなことを言う人があれば、それは詭弁というものであるし、日本の歴史に対する無知を表していると言うべきである。

 だが、首相が国民に語りかけていることのほとんどが金銭、物質に関する事柄でしかない。国家の基本的な問題点、たとえば安全保障、増大する中国の脅威、激変する米国外交こそを訴えるべき時、バラ撒(ま)きから透視される有権者への迎合こそ見苦しい。首相は日本の最も深刻な欠陥である安全保障の不備に関して、集団的自衛権さえも打ち出せていない。

以前から不思議に思っているのだが、”靖国好き”と”戦争好き”は”ぴったり”と言っていいほど重なる。
”靖国が好きだから戦争が好きなのか”それとも”戦争が好きだから靖国が好きなのか”
”戦争好き”という言葉が気に入らないと言うのなら”軍隊好き”と言い換えてもいい。

 占領下、吉田は日本の再軍備に抵抗し、ついにまともな軍隊を作らせずして引退した。米国のダレス特使に対しては、「日本を広い意味で米国にインコーポレート(合体)してほしい」とさえ述べ、米国の庇護(ひご)の下での経済優先を貫いた。吉田は引退後、軍事をないがしろにしたことを悔いたが、冷徹に言えば、それは繰り言にすぎない。物事をなすべき地位にあるとき、政治家は国益だけを考えて全力で事をなさなければならない。それなくしては、辞した後の言葉は虚(うつ)ろである。

「物事をなすべき地位にあるとき、政治家は国益だけを考えて全力で事をなさなければならない」というが、吉田が経済優先を貫いたのはそれが国益であると考えたからではないのか。
中国や諸外国との摩擦を避けて靖国参拝をしない、という判断も国益を考えた判断ではないのか?
櫻井よしこ氏は靖国参拝こそが何者にもまさる国益優先の態度であると考えているらしい。
しかし、国益の判断は人により、状況により異なるものであろう。

 麻生首相は、就任直後の2008年9月、ニューヨークで集団的自衛権について「基本的に解釈を変えるべきものだ」と語った。

                   ◇

 だが、首相は集団的自衛権の解釈を変更するどころか、その件に触れることもなく、選挙に臨もうとしている。首相は祖父と同じ間違いを犯し、後世に憂いを残すのか。

 そのうえ、「静かに祈る場所」と言って、靖国神社には近づかないのか。静かな祈りは口実か。「保守」の首相のそんな祈りを英霊たちは喜びはしないだろう。


今度は”英霊”である。
「国家のために尊い命を捧げた人たちの霊」を「英霊」と言い換える。
「首相のそんな祈りを英霊たちは喜びはしないだろう」
まるで霊媒師か巫女さんのようだ。
”霊”の存在を信じるかどうかは個人の自由に属する。
不思議なことを言う人だ。

 首相以上に、鳩山代表の靖国についての考え方は奇妙である。氏は8月11日、党本部で、「(靖国神社に)参拝するつもりはない」、民主党内閣が誕生する場合、「閣僚にも(参拝を)自粛するよう言いたい」と明言した。

 「村山談話」に関しては、「尊重し、談話の思いを十分に受けた政権にする」と強調した。先の大戦について、日本が間違っていたとし、ひたすら「心からのお詫び」を強調する「談話の思い」を鳩山氏は「十分に尊重」するそうだ。

 次期政権をうかがう二大政党の党首がいずれも、国家のために努力し、戦い、敗北し、命を落とした人々の魂を、慰め、鎮め、感謝の祈りを捧げることを、他国に気兼ねして行わないと表明したことに、私は深い喪失感を抱く。日本はここまで大事な価値観を失ってしまったのか。精神の支柱を腐らせたかのようなこんな国がほかにあるだろうか。


「国家のために努力し、戦い、敗北し、命を落とした人々の魂を、慰め、鎮め、感謝の祈りを捧げること」
戦争での死をどう考えるかも、個人の思想の自由に属する。
あるいは死そのものについても同様である。
櫻井よしこ氏に押しつけられることではない。

 鳩山氏はまた、非核三原則について、8月9日、「法制化を党としてしっかり検討する」と述べた。2日後には「本当に(法制化が)なじむかは検討の中で議論したい」と後退したが、そもそも「非核三原則は法律を超えた国是」というのが氏の考えだ。

 北朝鮮が核を保有し、日本を射程にとらえ得る中国の核ミサイルはすでに1000基を超えた。核抑止の担保は日本の安全保障上、死活的重要事だ。結果、非核三原則はいまや守るのではなく、見直しこそが必要である。鳩山氏の三原則論は日本を脅威の前に裸で立たせるようなものだ。


急に文章の格調が下がってきた。
言ってることが麻生並みであれば仕方がない。
以下、保守の論客とは思えない低俗な主張が続く。
読む価値もないものであるが、ついでだから載せておく。
麻生批判以外は、自民党の連中がすでに散々言ってきたことである。

 一方、政と官の関係を新たに規定する公務員制度改革について、麻生、鳩山両党首の言葉は共に、国民を騙(だま)すものである。麻生内閣の改革案は、結局、政治に対する官僚支配を強める内容となった。同案は廃案となったが、民主党案は、おそらく、自民党案より酷(ひど)い内容になる。鳩山氏は、幹事長だった今年6月30日、政権をとれば「局長クラス以上は辞表を出していただき」、民主党の大胆な官僚改革を行うとした。だが、いま「法的には難しい。辞表という形に必ずしもならない」と語る。長年、人事院と労組の連合の間には協調関係があった。民主党はその連合の支持を当てにする。大胆な公務員制度改革を阻む構図のなかに民主党が存在するのであり、事実、改革案の後退が早くも始まっているのだ。

 こうしてみると、民主党の政策には多くの疑問符をつけなければならない。だが、麻生首相のふがいなさゆえに、自民党に期待することも難しいのだ。そのふがいなさを、首相はいま、だれよりも深く肝に銘じよ。名誉挽回(ばんかい)に死力を尽くせ。


標題は「麻生首相にもの申す」となってはいるが、最後は麻生への叱咤激励である。
結局は「血は水よりも濃い」ということか。

読み終えた後のわたしの感想

櫻井よしこ氏は、思想家というよりは宗教家と呼んだ方がいいのではないか。





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「地方分権」という名の虚構

2009-07-12 15:18:08 | 政治
「地方分権」がにわかに総選挙の最重要争点に躍り出てきた感がある。
今や「地方分権」は無条件に正義である、という論調が日本を覆おうとしている。
たかが二人のお笑いタレント知事に振り回されるこの国の政治基盤の脆弱さにはあらためて愕然とする。
彼等の主張する「地方分権」に対する批判や反論は、自民党からも民主党からもまったく出てこない。

自民も民主もひたすら二人の知事の意を迎えようと見苦しい争奪戦を国民の目の前で繰り広げている。
もっとも、見苦しさという点では自民党の方が数段上ではある。

彼等は都道府県知事会の要請を、踏み絵として各政党に突きつけている。
「中央集権」は悪、「地方分権」は正義、という対立の構図を作り出し、あたかもそれを自明の前提として行動している。

しかし、彼等の言う「中央対地方」という構図は、彼等の勝手な理屈であり、思いこみである。
わたしたち一人一人は、この国の国民であり、それぞれの地域に暮らす地域住民でもある。
わたしたちの目には、彼等の言う「中央対地方」という対立の構図も、「中央の為政者」と「地方の為政者」との対立にしか見えない。
統治する側の論理だけで、統治される側の視点はまったく無視されている。

わたしは現状での「地方分権推進」には反対である。
地方分権を推進するためには、条件がある。
「情報公開」である。
「徹底的な情報開示」を抜きにした「地方分権の推進」はむしろ弊害の方が大きくなるのではないかと危惧するからである。

全国知事会の要請の基本は、財源と権限の移譲である。
しかし、今のままの地方自治体に財源・権限を移譲することが、国民・住民の利益に繋がるのか?

国家公務員より高い地方公務員の給与。
お手盛りで引き上げられ続ける議員報酬。
地方には地方の天下り。
行財政の無駄と無責任。
まったく機能しない監査委員会等。
政官業の癒着構造

中央・地方ともに、情報公開はまったく不十分である。
しかし、中央集権的であればあるほど、監視の目は集中される。
今はまったく不十分であるが、それは国民世論・政治の力で今後改善されていく可能性がある。
これが地方においてはどうか。
監視の目つまりその代表である新聞・テレビ等は当てに出来ない。
地方政治の監視など彼等の利益には繋がらない。
多分販売部数の増加、視聴率のアップにはつながらないだろうから。
オンブズマン制度や市民の活動組織なども、地域によってバラツキが大きすぎる。

わたしたちの回りにいる地方議員を見て欲しい。
市町村レベルでみれば、町内会代表、業界・組合の代表、商店主、建設・土木会社の経営者、地域の名士、大抵は、別に本業を持つ兼業議員であろう。
都道府県レベルでみても大差はあるまい。

こんな連中に今のままで、財源と権限を増やしてやればどうなるか、考えるまでもない。

「地方分権推進」は、せめて「完全情報公開」を達成してからの話である。
情報公開を阻む理由として利用されているのが、「プライバシー保護」である。
それは当然尊重されるべきではあるが、恣意的な解釈を排する規定は厳格に設けられねばならない。
黒塗りだらけの、情報公開の名にまったく値しない資料開示が横行している。
外交・防衛を担当しない地方自治においては秘密にしなければならない情報など、原則的に存在しない。

情報公開と監視機関。
地方分権を推進するためには、不可欠の前提である。

地方自治体の一つの典型として、福島県矢祭町が頭に浮かぶ。
「平成の大合併」に対する抵抗で一躍全国の注目を集めた自治体である。

矢祭町(黒字部分・ウィキペディアより引用)

2001年10月31日 - 市町村合併をしない矢祭町宣言を町議会が可決。


1999年(平成11年)3月末に3,232あった市町村の数は、2006年(平成18年)4月には1,820にまで減少した。
1412の市町村数の減少である。
合併は少なくとも2つ以上の市町村によって行われる。つまり最大で1412×2=2824の市町村が合併を経験したことになる。
(3つ4つの合併もあるから実際にはこれよりいくらか少なくなろう)
3232-2824=408 つまり、合併した側、合併された側、対等合併のいずれも行わなかった市長村数は最小で408ということになる。
(同様に実際はこれよりいくらか多い数になるだろう)

全体の8~9割前後の市町村が国の要請に唯々諾々と従ったのである。
一体彼等に、地方自治体としての自負と能力があるのだろうか?

住民基本台帳ネットワークシステムに非接続
2002年7月、全国で最初に離脱を宣言。個人情報保護の観点と、利用者が年10人足らずだったことから。

新規採用停止(2003年以降)、嘱託職員削減、「収入役」廃止
議会定数削減(18人から10人へ、2002年9月)

町議会が議員報酬を月額制から日当制に変更
月額20万8000円を廃止し議会に1回出席するごとに日当制の3万円とし、ボーナスに当たる期末手当も廃止

2006年には図書館(矢祭もったいない図書館)設立のため蔵書の寄贈を一般に募り、約1年で全国から約43万5000冊の寄贈を受けた(収納容量に到達したため図書の募集は終了した)。建屋は古い武道館を改修した。

削減するだけでなく、住民サービスは格段に向上している。また、大規模で破格的な条件で企業・住宅誘致を行うことで町税の増収を図っている。
介護保険料は福島県で最も安い。


これらは前町長・現町長と継続した動きである。

「地方分権」を叫び、財源と権限の移譲を要求するなら、せめてこれぐらいのことをやってからにしてほしい。





裁判員制度廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


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産経の世襲擁護論に反論する

2009-07-06 17:37:51 | 政治
産経が堂々たる世襲擁護論をぶち上げている。
言い分は麻生の世襲擁護論に少々調味料を加えた程度のくだらなさである。
前回、小泉の息子について触れたばかりなので、この産経の論文まがいの記事について反論したい。

【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】世襲は悪か(上)世襲制限は本質論ではない  (msn産経ニュース 7/4)

わたしはこの高橋昌之という人物については何も知らない。
探してみると、【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】という標題でいくつかの記事を書いている。
シリーズ第一作で自分の紹介をしている。
【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】毎日新聞北方領土報道の不可解さ 5/2
初めまして。政治部遊軍キャップの高橋昌之です。政治部は首相官邸、与党、野党、外務省、防衛省などと担当が分かれていますが、「遊軍」はそうした枠を超えて取材し、記事を書くのが仕事です。その中で得た「とっておき」の情報を、MSN産経でお届けしたいと思います。


さて本題の世襲擁護論はこのように始まる。

今回は国会議員の世襲について、私なりの見解を述べてみたいと思います。次期衆院選を前に自民、民主の2大政党では、世襲を制限するかどうかが、大きな議論になりましたが、私はそれは本質的な議論なのか、と疑問に思います。先にずばり結論を言えば、私は「世襲は悪いことではない」との意見です。

「私はそれは本質的な議論なのか、と疑問に思います」という、そもそもの認識からして間違っている。
ここまで世襲議員がはびこっているのは、この国の民主主義の特異性の表れである、とわたしは考えている。
「世襲は悪いことではない」という認識に至っては、なにをか言わんや、である。

高橋記者は、世襲問題を次のようにとらえている。

国会議員の世襲をめぐっては、古くから「政治家という特権階級の独占だ」「有為な人材が政界に進出するのを阻害している」などといった批判がありました。今回、次期衆院選を前に世襲の問題がクローズアップされたのは、「自民党をぶっ壊す」と叫んで首相になった小泉純一郎元首相が、次期衆院選で引退するのに伴い、次男の進次郎氏を後継に指名し、「小泉さんまで世襲をするのか」と、国民を落胆させたのが始まりだと思います。

 また、安倍晋三、福田康夫という大政治家の世襲国会議員が首相となったものの、わずか1年で政権を投げ出す形で退陣、吉田茂元首相の孫の麻生太郎首相も内閣支持率低迷であえいでいることから、「世襲議員は大政治家になれない」という見方が広がったことも一因にあると思います。


従来からの世襲批判の存在を認めながら、現今の世襲批判を安倍・福田・麻生と続いた世襲の総理の問題に矮小化している。
「世襲議員は大政治家になれない」
そんなことで世襲批判をしているのではない。
大政治家になるかどうかなど、関係ないのだ。

しかし、世襲制限は政党のあるべき姿として本質論なのでしょうか。私は甚だ疑問です。世襲議員でだめな議員もいれば、優れた議員もいます。一方、世襲ではなくてもだめな議員はいますし、立派な議員もいます。つまり、国会議員の質を向上させるには、世襲を制限することが本質ではなくて、政党の候補者選定制度を厳格なものにすることこそ重要だと思うのです。

この連中が必ず持ち出すのが「本人の能力が問題である」という論法である。
「世襲議員でだめな議員もいれば」と記者氏も認めているように、駄目な人間でも議員になれるシステムが問題なのだ。
「一方、世襲ではなくてもだめな議員はいますし、立派な議員もいます。」
いかにも、公平・客観的な見方のように言うが、「世襲ではなくても駄目な議員」と「世襲で駄目な議員」とには明らかな差がある。
「世襲ではなくても駄目な議員」は議員になるために努力したが、「世襲で駄目な議員」は努力しないで議員になれたのである。
この差を無視するのは卑怯である。

【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】世襲は悪か(中)機能すればよいシステム
私は世襲そのものについて、きちんと機能すれば、悪しき慣習どころか、良きシステムだと思っています。とくに日本の伝統、文化、技術などは、世襲が進化のもとを築いてきたと言えるのではないでしょうか。子が親の仕事にあこがれ、尊敬し、それを引き継ぎ、親を超えようとすることは素晴らしいことです。歌舞伎をはじめとする文化、さまざまな伝統工芸、世界に冠たる中小企業の技術力は、良き世襲のシステムによるものです。


世襲が日本の伝統文化を守り、伝えてきたことは事実である。
しかし、歌舞伎や茶道や生け花と政治を同じ次元で扱うこと自体まったく的はずれであろう。
「子が親の仕事にあこがれ、尊敬し、それを引き継ぎ、親を超えようとすること」はすばらしいことだというが、これは世襲の一面だけをとらえた言い方である。
こういったものの世襲には、親が子に芸や技を伝えるために、子供がごく幼いときからそれらを厳しくたたき込む努力があるのである。
政治には、子供にたたき込むべき神髄があるのか!
また歌舞伎や茶道・華道を日本の誇るべき伝統文化として手放しで賛美しているが、考えてもみてほしい。
それらはすべてそれらが生み出された時代背景・社会状況があったのだ。
出雲の阿国によって始められたと言われる歌舞伎踊りは、次第にわいせつなものも増え、ついに女性が舞台に上がることが禁じられたという。
ためにあの薄気味悪い女形が登場することになったのであろう。
それが江戸時代を通じて庶民の数少ない娯楽の一つとして生き残ったものである。
映画もテレビもない時代の娯楽であったのだ。
たまたま現在それが外国人のエキゾティシズム・東洋趣味に合ったがために高い評価を得ているに過ぎない、と言えなくもない。
いまや歌舞伎は多くの庶民の娯楽ではなく、”高尚な趣味”に堕している。
そんなものを維持していくことに価値を見いだしている人も多いのは確かである。
それはそれで結構である。
個人の趣味の問題であり価値観の問題であろう。
伝統文化・伝統芸能においては、多少の変化・発展はあろうが、基本的には過去の価値の保存が重視される。
逆に言えば、世襲でもしなければ残っていくことができないとさえ、言えるかも知れない。

「子が親の仕事にあこがれ、尊敬し、それを引き継ぎ、親を超えようとすることは素晴らしいことです」
麻生とまったく同じ水準の発想である。
「世襲がんばれ」首相が都議選応援で立候補予定者の子供に持論? (msn産経ニュース 6/9)
麻生太郎首相は9日夜、7月の東京都議選のてこ入れのため、東京都品川区の自民党の立候補予定者の事務所を訪れた際、候補予定者の子供に「おまえも後を継ぐのか。世襲頑張れ。親の後を継いで悪いことは何もない」と声を掛けた。


しかし、政治は歌舞伎などとはまったく別次元のものである。
政治は現在生きている人たちに直接かかわるものである。
歌舞伎や茶道における世襲と政治における世襲を同日に扱うのは詭弁であろう。
また中小企業等において世襲されるのは、企業の所有権であり、社長の椅子である。技術の伝承とは別物である。
技術は、職人から職人へ、技術者から技術者へと伝えられていくのであり、世襲とは関係ない。
ときに経営者が職人・技術者であることもあるだろう。
しかし、本質的には、技術の継承と企業の継承とは区別しなければならない。
伝統文化の継承・中小企業における世襲は家業・家産あるいは家そのものの継承であり個人資産の継承でもある。
しかし、議席は議員の個人資産ではない。
家業ではない。

あきれた理屈はまだまだ続く。

ただ、世襲は親の生き方、教育の仕方によって悪しきシステムに一変してしまう危険性があります。つまり、親の仕事に対する姿勢が堕落していれば、子供はあこがれないか、「そんな程度でいいんだ」と思ってしまいます。また、親が家庭を顧みず、子供の教育を怠れば、子は親から学ぶべきことを学ばないまま、大人になってしまいます。そうすると、世襲は腐敗の根源となるのです。

 現在、国会議員の世襲が問題視されているのも、そうしたことが原因なのではないかと思います。親や親族が大政治家であったにもかかわらず、その理念や政策、政治姿勢を学んでおらず、単に強固な地盤を引き継いで、特権的な地位にしがみついているだけの国会議員が多いと、国民から思われているのではないでしょうか。


政治において、「子が親の姿から学ぶべきこと」というのは何なのだ?
金集めや票集めの技術か?
政党内や議会での駆け引きか?
そんなもの親の姿勢を見て学ばなければならないのか?
確かに親の秘書をやりながらそんなことを学んでいく息子や娘が多いらしいが。

すくなくとも歌舞伎や茶道には、親から子に伝えるべきものがある。
政治には、議席以外には何もない。
「地盤・看板・カバン」の継承が国民の利益に繋がることはない。
何でそんな奴らを、何代にも渡って税金で食わせなければならないのか!

そして理屈のすり替え。

「親や親族が大政治家であったにもかかわらず」というが、現在の世襲議員のうちの何人が「親や親族が大政治家」だったのか?
だいたい日本に大政治家と呼べる政治家がいたのか?
大物政治家はいるかも知れないが……。
大物・小物取り混ぜて政治家の子供達は簡単に政治家・議員になっているではないか!
まあ、大政治家であれば、自分の子供に議席を譲るなんてことはしないだろうが。
安倍や福田や麻生が駄目政治家だから議員世襲に反対しているのではない。
議員世襲そのものに民主主義と相容れない性格があるから反対しているのだ。

国会議員の世襲を法律で制限することできません。憲法22条の職業選択の自由に反することになるからです。

果たしてそうだろうか?
憲法には、「公共の福祉」という、基本的人権を制限する概念がある。

日本国憲法

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


高橋記者のいうように、議員世襲は、職業選択の自由を盾にして、無条件で認められるものではない。
法的に禁止することも可能なのではないか。

ちなみに、国会議員の世襲を制限している政党は、他の国にあるのでしょうか。各国の政党事情を調べている国立国会図書館の政治議会課に聞いてみたところ、「そうした政党は確認はできておらず、恐らくないと思います」とのことでした。

じつはここにこそこの国の政治の問題があるのだ。
高橋記者は、「だから世襲制限はすべきでない」というところに結論をもっていこうとしている。
世襲を制限する法がないのは、世襲そのものがほとんどないからに過ぎない。
別に世襲を勧めているわけではあるまい。
しかし、世襲制限もしていない諸外国で、日本と違って何で世襲がないのか?
有権者の意識の問題として片付けていいものではあるまい。
多分、世襲の行われていない諸外国には、高橋記者のように世襲擁護を堂々と繰り広げるような大新聞の記者などは存在しないであろう。(これはまったくのわたしの想像)
彼等は国民の意識の問題である、と言う。
最後は国民の選択である、という。
しかし実は彼等(高橋記者に代表されるマスコミ)の意識の問題でもある。
国民意識の形成、国民世論の形成に力と責任を持つはずの彼等の意識にも問題があるのだ。
政官業の「鉄のトライアングル」を築き、中央と地方の利益誘導の構造を作り、マスコミを取り込んで国民世論を誘導する。
こんな中で、責任を国民の意識に押しつけるのはあまりに卑怯な態度であろう。

高橋氏は、「政党の候補者選定制度を厳格なものにすることこそ重要だと思うのです」という。
その厳格な候補者選定制度の例としてイギリスの制度を取り上げる。
【政治部遊軍・高橋昌之のとっておき】世襲は悪か(下)厳格な候補者選定制度を
英国ではまず、候補者が政党の地方支部や中央指導部に立候補の意思を表明すると、地元の選挙エージェントが面接を行います。そこで、有望と判断されると、選挙区の選抜委員会が経歴などを精査して推薦リストを作り、選挙区指導部がまた面接をして、人数を絞り込みます。選ばれた候補者たちは、選挙区内の予備選に臨み、党員の前で演説し、投票によって選ばれ、ようやく党本部あての推薦リストに名前が載ります。そして最終的には党本部の審査に合格して初めて公認を得られるわけです。


高橋氏の説明はこんなところにも誤魔化し・作為が感じられる。
中央と地方の関係で、地方・選挙区の比重をことさら大きく解釈しているようだ。
分かりやすくまとめてある論文があったので引用させていただく。高橋氏の説明と比較して欲しい。

英国総選挙におけるジェンダー状況
党主導による女性候補者登用策の合法化とその問題点
秋本富雄

主要3党における下院選挙候補者選考過程もまた,基本的には類似性が高く,五つの段階から構成されている。第一段階は,下院選挙における立候補志望者自身が,党本部の所有する党公認候補者リストへの登録申請を行うことである。次に,党本部は,登録申請者を審査し,審査を通過した個人の名前を党公認候補者リストに掲載する。第三段階になると,候補者選考の場所は,選挙区政党(選挙区単位の党支部)に移る。まず,原則的には,当該選挙区の候補者選考に応募してきたリスト掲載者の中から候補者の絞り込みを行い,選考に残った候補者の名前を「ショート・リスト」に掲載する。そのショート・リストに掲載された候補者の中から,選挙区政党の一般党員の投票により,立候補者が選出されるのである。最後に,選挙区政党の決定を受けて,党本部が正式に候補者を公認し,各選挙区の政党候補者が決定される。


実際には、新人候補者は情勢の厳しい選挙区に割り振られることが多いらしい。
ただ、候補者選定の手続きの透明性の確立はいずれの政党にとっても重要であろう。
しかし、高橋氏はどんなことをしてでも世襲を温存したいものとみえる。

こうした例を見ると、私は日本で国会議員の世襲が問題視されている今こそ、各政党は公募制と予備選による厳格な候補者選定制度を導入すべきだと思います。そうした厳格な候補者選定制度で選ばれた優秀な候補者なら、世襲であろうがなかろうが、問題はないでしょう。

しかし、先にはこういっている。
「私は世襲そのものについて、きちんと機能すれば、悪しき慣習どころか、良きシステムだと思っています」
「世襲は良きシステム」と言いながら、「世襲であろうがなかろうが、問題はないでしょう」ともいう。

高橋氏には「きちんと機能する良い世襲制度」とやらがどんなものか具体的に、そしてもし政治家においてその実例があれば、それも合わせて提示していただきたい。


世襲候補者は、親から「地バン・看バン・カバン」を引き継いで不公平な競争を始める。
不公平なスタートを切った者は最後まで不公平なレースをする。


笑わせる自民党の”世襲制限” 4/23




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小泉のチャイルドとチルドレン・戦略なき民主党

2009-07-03 17:52:07 | 政治
先日の横須賀市長選の結果は小泉にもショックであったろうが、民主党にも真剣に考えて貰いたい。
自民・公明・民主の相乗り現職市長が無所属の候補に負けた。
小泉の威光の衰えばかりが取り上げられているが、負けたのは民主党も同じなのだ。

選挙:神奈川・横須賀市長選 相乗り現職落選 小泉氏「神通力」低下か (毎日jp 6/30)
28日投開票された神奈川県横須賀市長選で小泉純一郎元首相の支援した現職の蒲谷亮一氏(64)が敗れたことは、小泉氏の影響力の低下を印象づけた。当選したのは現役市長で3番目の若さとなる前市議の吉田雄人氏(33)。自民、民主、公明の与野党が相乗りで蒲谷氏を支援したが、「変化」を求める民意が政党の合従連衡を超えた。小泉氏の後継として次期衆院選に出馬する次男進次郎氏(28)への世襲批判が強まる可能性もある。


市町村レベルでの相乗りはある程度仕方がない一面もある。
住民の生活優先の場に国政での対立を無理に持ち込むこともない。
人材の問題もあるかも知れない。
しかし、横須賀の場合は同日には論じられない。
相乗りに至った事情は知らないが、小泉のお膝元で、しかも総選挙を間近に控えたこの時期に、自・公と相乗りとは!

自・公と相乗りする民主党の姿を見て、横須賀の有権者は何を選択すればいいか、答えを見つけるのは簡単ではなかったろう。
自・公との決別を選択した人たちの前に、民主は自・公と並んで立っていた。
民主党支持者や小泉嫌いの有権者は誰に投票しろというのか!
無所属の若い候補に期待するほかなかったろう。
息子を後継者に指名した小泉純一郎に幻滅、失望、怒りを感じた人たちは多かったはずだ。
その人達の意思をくみ取るはずの民主党が小泉と手を携えて戦っている。

民主党にとって地方の組織の意思を尊重することも大切かも知れない。
しかし、限度がある。
地方議員達は、自分たちの選挙を考えたり、議会活動がやりやすくなるように現職に付いたり、有力候補に相乗りしたりしようとする。
民主党は政党としての原理・原則を上から下まで、中央から地方まで貫かなければならない。
地方の事情や意思を尊重すべきことは大切だが、従わせるべきことは従わせなければならない。
原理・原則をおろそかにしてはいけない。

横須賀ではもう一つの勝負が待っているのだ。
民主党は二つの選挙を一体のものとして戦略を立てなければならなかったのに。

衆議院選挙神奈川11区。
日本中が落選を望んでいる小泉の実のチャイルド。
まさかの敗北にびっくりしたパパ小泉があわてて「駅に行って立ってろ」と言ったのかどうか。

小泉進次郎氏初の「駅立ち」…横須賀市長選の“小泉派”敗北に危機感 (スポーツ報知 7/1)
次期衆院選で神奈川11区から立候補を表明している小泉純一郎元首相の次男・進次郎氏(28)が30日朝、地元の横須賀市内で初めて駅頭に立った。これまでは表だった活動は行ってこなかったが、28日に行われた横須賀市長選で、父の純一郎元首相が応援した現職が敗北。地元ですら“小泉人気”は過去のものになりつつある。当初、圧勝と見られていた進次郎氏だが、厳しい選挙戦が予想され、今後は本格的な選挙活動を展開していくとみられる。
(中略)  
世襲批判を受けて、自民党は一時、進次郎氏の公認を見送ることも検討したが、結局、公認する見通し。同区では民主、共産の各党と、政治団体「幸福実現党」も新人の立候補を予定している。


坊ちゃんはこれからぼちぼち始めるらしい。

一方、民主党の候補者というのは、横粂勝仁という人。
東大卒の弁護士で小泉進次郎と同い年という。
いつだか、小泉息子とどこやらで鉢合わせして、握手しようと手を差しだそうとしたところ完全無視をされたというのでちょっと話題になっていた。
横粂勝仁公式ブログからその活動状況をほんのちょっと拾ってみる。

2009年06月05日
こんにちは。横粂です。

今朝は小雨の中、ご迷惑にならないよう十分に気をつけながら、プレス民主号外の配布を行いました。

毎朝3時間の活動は、積み重なると予想以上に大変です。


2009年06月22日

毎日、自転車で50km以上遊説しています。

6月に入ってからでさえ、既に1000kmを超えています。

2009年06月26日
こんにちは。横粂です。

来週の朝の駅頭活動の予定は以下のとおりです。

6月29日(月) 浦賀駅

6月30日(火) 馬堀海岸駅

7月1日(水) 京急大津駅

7月2日(木) 新大津駅

7月3日(金) 北久里浜駅


初めて駅にたったというお坊ちゃまと比べてしっかり走り回っているようだ。
助けてくれるパパがいなければ自分で歩き回るしかない。

民主党は市長選と衆院選をリンクさせた戦略をとらなければならなかった。
自・公と相乗りなどしている場合ではなかったのだ。
小泉の力の衰えが明らかになった今、民主党も少しはこの選挙区に本腰を入れる気になったとは思うが、この青年の活動を無にしないように、しっかりやって欲しい。

小泉も自分のチャイルドの心配でチルドレンの世話を焼いている余裕はなさそうだ。
チルドレン全員落選も夢ではない。

苦境に立つ小泉チルドレン=「麻生降ろし」や離党も (jiji.com 6/28)
2005年9月の衆院選で初当選した自民党の「小泉チルドレン」がピンチに立たされている。83人を当選させた「生みの親」小泉純一郎元首相の影響力も低下し、次期衆院選では苦戦必至。比例代表で執行部は特別扱いをしない方針で、チルドレンが当選圏内に入る保証はない。生き残りを図るため「麻生降ろし」に走る議員もいれば、離党をほのめかす議員もいる。
(中略)
小野氏ら有志は29日夜、同期会を開く。小泉氏や武部勤元幹事長らも訪れ、次期衆院選へのエールを送る予定だ。もっとも、チルドレンの一人は「83人のうち生き残るのはせいぜい1割ぐらいだ」と自虐的に語っている。


1割というのは甘すぎるのではないか?
小泉パパにできることは「エール」を送ることだけらしい。
こっちには余り熱が入らないようだ。




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政権交代阻止を狙う共産党の存在意義

2009-06-24 06:38:52 | 政治
西松献金事件以来の日本共産党の姿勢には奇妙というほかない印象を受けている。

事件発覚ののち、共産党の姿勢はほぼ一貫して小沢批判、民主党批判であった。
金権政治の本家本元たる自民党への批判は形ばかりである。
この共産党の姿勢はどこから来るのか?

共産党からは、この事件に関しては検察批判はまったく聞かれない。
共産党の機関誌というべき赤旗の主張はそのまま産経に転載してもなんの違和感もないものである。

主張 西松献金事件 小沢氏ら政治家の責任免れぬ (2009年6月20日)
準大手ゼネコン「西松建設」による小沢一郎民主党前代表への違法献金事件で政治資金規正法違反などの罪に問われた、同社前社長国沢幹雄被告の初公判が開かれました。注目されるのは、検察側が冒頭陳述で、献金を受け取っていた小沢氏の事務所が東北地方の談合組織に強い影響力を持ち、「天の声」を出していたなどの事実を明らかにしたことです。

 国沢被告は起訴事実を認めています。献金を受け取った小沢氏の公設秘書の裁判は今後始まりますが、一連の事件の裁判を機に、小沢氏ら政治家の責任があらためて問われるのは避けられません。


「小沢氏ら政治家の責任」
”小沢氏ら”というのは、小沢の他に誰を指しているのか?
記事を読むとこの事件でささやかれている自民党代議士二階俊博の名前に触れてはいるものの、攻撃の主眼が小沢その人と言うよりは民主党全体に向けられているのが容易に読み取れる。

言い訳は通用しなくなる
 「西松」は、同社OBが代表を務めるダミーの政治団体を使って、小沢氏や二階俊博経済産業相ら民主、自民の国会議員などに、政治献金やパーティー券の購入などを行ってきました。政治資金規正法は、政治家個人への企業献金を禁止しています。このうち小沢氏には断トツの約2億円が献金されており、国沢被告らが政治資金規正法違反などに問われました。小沢氏の公設秘書も政治資金収支報告書にうそを届け出たなどの疑いで、起訴されています。


「小沢氏には断トツの約2億円が献金されており」
「小沢氏の公設秘書も政治資金収支報告書にうそを届け出たなどの疑い」
客観的な表現を装いながら、小沢の悪辣さを印象づけている。

「国沢被告が起訴事実を認めたことで、政治団体を偽装した献金が「西松」の企業献金を隠すための違法献金であったのはいよいよ明白です」

それに加え、検察側が冒頭陳述で、小沢氏の事務所が東北地方の談合組織に強い影響力を持っており、岩手・秋田両県での公共事業に「天の声」を出していたと指摘して、「西松」の献金が小沢事務所との関係改善のためだったと認めたのは重大です。

民主党もそうした小沢氏の疑惑を追及せず、代表辞任後も筆頭代表代行の重責を任せ、秘書の容疑は「形式犯」だなどと主張する、第三者委員会の報告を公表しました。

しかし、秘書の取り調べでの発言や検察の冒頭陳述どおりなら、小沢氏や民主党の言い訳は、まったく通用しないことになります。とりわけ公共工事での小沢事務所の「天の声」を期待したという検察の冒頭陳述にもとづけば、献金は文字通り見返りを期待したことになり、賄賂(わいろ)性は明白です。小沢氏と民主党がますます重大化する疑惑に正面から答えることは、絶対に免れられない課題です。


検察側の情報と、冒頭陳述に100%寄りかかった内容である。
そして最後に企業団体献金の禁止を申し訳程度に付け加えている。

このような共産党による民主党批判に違和感を覚えるのは、わたしだけではないであろう。

共産党は衆議院9名、参議院7名、計16名の国会議員を擁している。
自民党に対する批判勢力として一定の存在価値が認められてきたのは確かである。
共産党員以外で共産党に投票してきた人たちの多くは、自民党批判の意思表示と考えていたのではないか。
共産主義に共鳴し、共産主義革命を実現可能な目標と考えた人はほとんどいなかったはずだ。
そして今共産党自身も社会主義・共産主義革命を捨て去ったような顔をしている。

中国共産党は中国の資本主義を推進する中心になっている。
日本共産党は何をすればいいのか。
日本の資本主義体制に社会主義的修正を加える、ということくらいしかやるべきことがない。
具体的には、政権批判、金権政治批判しかない。

いま政権交代を目前にして、これまで共産党に投じられた党員以外の票は、その多くが民主党に流れるものと思われる。
批判が批判で終わらなくなる可能性が出てきた以上、自分の票を生かそうと考える人が増えるのは当然である。

これまで自民党批判をすることによって命脈を保ってきた日本共産党にとっては、政権交代は存亡の危機を意味する。
政権交代阻止を狙っているのは、自民・公明両党だけではなく、共産党もそうなのではないか。

「しんぶん赤旗」の記事をもう一本みてみよう。

草の根から“共産党の風”  2009年6月22日(月)
志位委員長、東京駆ける
安心と希望の選択肢を

「自民党政治の古い枠組みの中での『政権選択』では政治は変わりません」―日本共産党は21日、志位和夫委員長が東京都内3カ所で、市田忠義書記局長は大阪府内3カ所、小池晃政策委員長は都内2カ所など幹部を先頭に、精力的に街頭演説を行い、「共産党が躍進してこそ政治が変わり、未来が開けます」と力強く訴え、共感を広げました。全国の党と後援会は草の根から宣伝・対話を行い“共産党の風”を吹かせました。


志位委員長の言葉なのか、記事を書いた記者の言葉なのかよく分からない書き方ではあるが、この冒頭の言葉の意味がまた分からない。

”自民党政治の古い枠組みの中での『政権選択』”?

”自民党政治の古い枠組み”を打ち壊すために政権交代を望んでいる人たちがいるのだ。
そのための政権選択ではないのか。
”自民党政治の古い枠組みの中での『政権選択』”が、具体的に何を言おうとしているのかさっぱり分からない。
まさか自民党内の政権たらい回しを指しているわけではないだろう。
言いたいことは多分、自民党か民主党かという選択では政治は変わらない、ということなのだろう。
しかし今、国民の前にある選択肢は自民党か民主党か、という二つしかないのである。

共産党は、民主党を中心とする連立政権には参加するつもりはない。
単独で政権をとれる見込みもない。
40万人の党員と170万部の赤旗の購読費で党運営は続けられる。
政党助成金も要らないし、企業献金も必要ない。

今や共産党は、ほどほどの党勢を維持すること、そして党を永遠に存続させること以外に目的がないのではないか、とまで思えてしまう。
”存在すること自体が目的化した自己完結型の政党”
共産党の理想的な政治状況というのは、悪逆無道な自民党がのさばっていて、共産党はその自民党に立ち向かう正義の味方という役どころなのではないか。
しかし、政権交代の後では、自民党などやっつけてもだれも拍手してくれない。
かといって、民主党攻撃は自民党相手のようにはいかない。
金権腐敗の度合いは自民党に比べて圧倒的に小さい。

かち佳代子都議らとともに訴えた志位氏は、都政では自公両党だけではなく、民主党も福祉切り捨てなどに賛成してきた「立派な与党だ」と告発。民主党が選挙になって新銀行東京を「都政史上最悪の失策」と宣伝しているが、賛成したのは民主党自身だと訴えると「そうだ」という怒りの声があがりました。

志位氏が「特養ホームの増設こそ必要なときに用地費補助まで削った自公民『オール与党』を許すわけにはいかない」と指摘


志位氏の攻撃は自民党ではなく、もっぱら民主党に向けられているようだ。
民主党政権ができてからでは、共産党の存在感は大幅に小さくなる。
今の内に叩いておこうというのか、責める口調は極めて強い。

東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆”の卵かけごはん氏が怒っている。
いつから「石原」を利する党になったんだ

東京8区は石原伸晃の選挙区である。
ここに社民党の保坂展人氏が立候補する。
民主党は社民との選挙協力で候補を立てないらしい。
ここに共産党が候補をたてるという。
反自民の票を保坂氏と共産党候補者で分けることになる。
多分反自民・非自民の票が一本化されれば保坂氏の勝利も可能性大である。
共産党が候補者を立てることは、結果的に自民党に有利に働く。

多分各地で同様なことが起こるだろう。
公党である共産党には、どこであろうと候補者を立てる権利はある。
しかし、しかしである。
いまこの国は史上初めて本格的な政権交代を目前にしている。
そのときに当たり、共産党がその障害になるかもしれないのである。
繰り返すが、共産党にはどこであろうと候補者を立てる権利はある。
しかし、共産党が”正当な権利”を行使することが、結果的に自民党を利することになってしまう構図が出来てしまっているのも確かなのである。
「オイラの知ったことじゃない」と言わずに、共産党の存在がこの国の民主主義の進路を妨げることもありうる、ということも自覚した上で行動して欲しいと考えるものである。





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裁判所にたしなめられた大阪地検特捜部・郵便不正事件・第二の西松事件狙いか?

2009-06-15 19:59:53 | 政治
ちょっと気にかかる記事があった。
郵便不正事件に関するものであるが、見過ごし難いので、その背景を考えてみたい。
事件そのものは単純な詐欺事件であるが、厄介な ことに逮捕された容疑者の数が多く、しかも彼等が何度も繰り返し逮捕されているので、経過がたどりにくくなっている。
事件の構図そのものは大方の方はご存じだろうから、詳しくは触れない。

郵便不正事件で大阪地裁、「捜査に疑問」と拘置短縮 (msn産経ニュース 6/12)
大阪地裁(植野聡裁判長)は11日、郵便制度悪用事件で大阪地検特捜部が再逮捕した障害者団体「白山会」会長守田義国容疑者(69)の拘置延長について、「捜査に疑問を感じる」といったん認めた期間の延長を取り消し、3日間短縮する決定をした。

 弁護人が10日に「懇意の国会議員に依頼をした経緯ばかり連日調べられ、別件捜査だ」と延長取り消しを求め、準抗告していた。

 植野裁判長は決定理由で「証拠隠滅や逃亡の恐れがある」と拘置の必要性は認めた。その上で「(議員との関係は)郵便法違反事件の処分を決める際に解明が必要な事情とは認められない」と指摘。さらに「捜査の在り方に疑問を感じる。拘置は無限定に許されるものではない」とした。

 守田容疑者はこれまで、2件の郵便法違反罪で起訴され、5月29日には同法違反や私文書偽造・同行使容疑で3度目の逮捕をされた。


拘置延長の請求は多分、3度目の逮捕にかかわるものなんだろう。
しかし考えてみれば、最初の逮捕が4月16日である。それから数えても拘置期間はすでに二ヶ月になる。
弁護士の話によると、検察の取り調べは、「懇意の国会議員に依頼をした経緯ばかり連日調べられ」という状態だったという。
検察の関心がどこにあるかを明瞭に物語っている。
「捜査の在り方に疑問を感じる。拘置は無限定に許されるものではない」
裁判官がここまで言うのはよくよくのことだと思える。

「単純な詐欺事件」と書いたが、意外な広がりも示し始めている。
事件発覚当初から民主党議員の名前が取りざたされていた。
牧義男議員と石井一議員である。
彼等が実際に関与していたかどうかは分からない。
しかし、検察が何とか彼等にたどり着こうと悪銭苦闘しているのは容易に想像できる。
もっとも、牧義男などという全国的には無名と言っていい議員に辿り着いたところで、たいしてインパクトはない。
党副代表の石井一にしろ、小沢の時と比べてその効果は極めて小さい。
検察としては事件を出来るだけ盛り上げたいところだろう。

【郵便制度不正事件】厚労省現役女性局長を逮捕 組織ぐるみ犯行解明へ 大阪地検 (msn産経ニュース 6/14)
障害者団体向け郵便制度悪用事件で、障害者団体の証明書を偽造、発行したとして、大阪地検特捜部は14日、虚偽公文書作成・同行使の疑いで、当時の担当課長だった厚生労働省雇用均等・児童家庭局長村木厚子容疑者(53)=埼玉県和光市=を逮捕。同省係長上村勉容疑者(39)=同容疑で逮捕=ら3人を再逮捕した。

 事件は、障害者福祉の根幹を担う厚労省の組織的な関与を問う局面に発展。凛の会の証明書は省内で「政治案件」として扱われていたとの供述もあり、特捜部は政界からの口利きも含め全容解明を進める。

 再逮捕されたほかの2人は、「凛(りん)の会」(現・白山会)を設立した倉沢邦夫容疑者(73)=郵便法違反容疑で逮捕=と、同会元会員河野克史容疑者(68)=虚偽公文書作成・同行使容疑で逮捕。


事件盛り上げにはうってつけの人材。
厚生労働省現役局長。女性キャリア。同期の出世頭とか。
これで顔でも美しければますます面白くなるところなのだが……失礼。
そしてまたまた再逮捕。
倉沢邦夫容疑者などは何度目なのか。

まあ、これで政・官・業の癒着の構造は一応完成したが、なんともみみっちいスケールである。

鳩山総務大臣辞任の不手際で麻生の支持率は再び急降下。
並大抵のことでは、回復は不能だろう。
検察がいくらがんばっても前回ほどの効果は到底上げられない。
かえって国民の間に検察不信を増幅させるだけになる。

民主党は小沢事件のダメージからほぼ回復した。
真にダメージを受け、それからまったく回復できていないのは検察自身である。





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任命責任と説明責任・麻生と小沢

2009-05-16 18:44:25 | 政治
二つの「責任」が永田町やマスコミを賑わせている。
任命責任と説明責任。
任命責任は鴻池官房副長官についての麻生の責任問題。
説明責任は小沢の西松献金事件に関してのもの。

まず任命責任について。
経過を整理してみよう。

2009/05/13 00:50 【共同通信】(47ニュース)
鴻池官房副長官が辞任へ 女性問題報道で引責、政権に打撃
鴻池祥肇官房副長官(68)は12日夜、「週刊新潮」(13日発売)に知人女性との宿泊旅行が報じられることを踏まえ、引責辞任する意向を固めた。与党幹部が明らかにした。麻生太郎首相は後任に浅野勝人参院議員を充てる方針。政府関係者によると、体調不良も辞任理由に含まれるという。


12日夜には既に、鴻池官房副長官の辞任が決定。
後任も決定。
辞任理由には”体調不良”も含まれる?

5月13日12時32分配信 時事通信
繰り返し「健康上の理由」=鴻池氏辞任に歯切れ悪く-河村官房長官
「昨夜、都内の病院に入院されているので、(辞任は)健康上の理由であり、はっきりしている」。週刊誌で女性問題が報じられ、官房副長官を辞任した鴻池祥肇参院議員。本人不在のまま、河村建夫官房長官は13日午前の会見で、何度も「健康上の理由」を繰り返し、苦渋に満ちた表情を浮かべた。
 質疑で辞任理由を問われた官房長官は、鴻池氏が先月も検査入院していた事実を挙げ、「引責」を重ねて否定した。
 記者からは「女性問題ではないのか」「JRパスを使ったのか」「政治家としての倫理上の問題は」などと矢継ぎ早に質問が飛んだが、官房長官は「承知していない」「(入院で)事実関係を確認できていない」と逃げ、「政治家、政府高官は高い倫理が求められており、不審を持たれてはならない」と応えるのが精いっぱいだった。


一夜明けて河村官房長官が鴻池官房副長官の辞任を発表。
理由は、「健康上の理由」一本で押し通したようだ。
女性問題もJRパス問題も「承知していない」、「確認できていない」
官房長官は官房副長官の直接の上司である。
それが事実確認もせずに、健康問題という本人の言をそのまま信じた?
まさか本気で信じたわけではあるまいから、表面上はそれで押し通すという方針だったのだろう。
嘘でもなんでも通してしまえ、という乱暴さ。

鴻池氏をかばう発言を繰り返す一方、同氏の説明責任については「本人の責任において対応していただきたい」と突き放した。
 また麻生太郎首相の任命責任も問われ、「(鴻池氏)本人も不徳の致すところと言っているので、首相の任命責任は免れ得ないと率直に申し上げる」と語った。
 

説明責任は鴻池本人に押しつけてお終い。
しかし、「健康上の理由」がなんで「不徳の致すところ」になるのか?
病気が不徳の致すところなら、入院してどんな治療を受けているのだ?

「首相の任命責任は免れ得ないと率直に申し上げる」
と言っているが、ホントにそう麻生に言ってやったのか?

さてその日の夕方
5月13日午後6時31分~
鴻池氏辞任「健康まで任命責任になるかどうかよく分かりかねます」 (毎日JP)
任命責任については、健康上というのに関しましては、健康上というんであれば、その件に関しましては、うん、健康までちょっと任命責任になるかどうかよく分かりかねます。


任命責任などどこ吹く風といったあんばい。
河村はちゃんと言ったのか?

翌日、午前
鴻池官房副長官辞任:「首相には任命責任」--河村官房長官 (毎日JP 5/14)
河村建夫官房長官は14日午前の記者会見で、女性問題で辞任した鴻池祥肇前官房副長官の任命責任を麻生太郎首相が認めなかったことに関し「任命権者には任命した以上、絶えず任命責任が伴う」と強調した。


ちゃんと昨日のうちに言っておかないから麻生が馬鹿なことを言う。

そのうえで鴻池氏が辞任の理由を「健康問題」とした点について「健康管理(の問題)なら、直属の上司である私の責任問題だ」と語った。

「健康問題なら、直属の上司である私の責任問題」かも知れないが、実際は女性問題とJRパスの問題である。
そしたらなおさら直属の上司たる官房長官には監督責任があるのではないか?
この記事の文章からだけでは言いたいことの意味がよく分からん。
結局河村官房長官は自分の責任は認めていないらしい。
いずれにせよ、麻生には任命責任があるといっているのだろう。

そしてその日の夕方、河村に言われたからか麻生も渋々責任を認めた。

5月14日午後6時36分~
JRパス目的外使用「こういうことしちゃいかん」 (毎日JP)

Q:自らのご責任については。

A:任命責任ですか? その点については僕はあの、いろいろな方々の発言やら何やら、これまで辞めていかれた方々に対して任命者、任命者としてははなはだ残念、任命責任はすべてあるとずっとこれまで申し上げてきておりますんで、このことに関しても例外ではありません。


で?

一人ぐらいいないのか。
麻生に向かって尋ねる奴は。
「それで総理はどう責任をおとりになるんですか」

責任がある、と認めたらその責任は取らなければなるまい。
辞表を受け取っただけでは任命責任をとったことにはならない。
本人を国民の前に引っ張り出して、国民に対してお詫びを言わせる。
辞表を受け取るのではなく、罷免に切り替える。
麻生自身も国民にお詫びする。
そして、総理大臣を辞する。
それでほんとうに責任を取ったことになる。

後任の官房副長官に浅野勝人氏
5月13日12時55分配信 時事通信

政府は13日、持ち回り閣議を開き、辞任した鴻池祥肇官房副長官の後任に自民党の浅野勝人参院議員を決めた。同日夜に皇居で認証式を行う。


慣れているせいか、手際だけはいい。
それにしても12日には、すべて承知の上で後任まで決めておいて、「事実を承知しておりませんので」と繰り返してきた麻生は、国民に対してなぜ嘘をついたのか、しっかり説明する責任がある。

麻生は以下の点において責任がある。

二度も女性問題を起こした鴻池官房副長官に対する監督責任。
そのような男を重要ポストにつけてしまった任命責任。
国民に対して嘘をついたことに対する説明責任。

そして自分は一切責任を取らないことに対する説明責任。


説明責任ということでは、小沢に向けられた「説明責任」の大合唱。

長くなってしまったので結論だけ。

小沢に説明責任はない!
小沢は違法行為をしていない、と主張している。
であるならば、説明責任は検察の側にある。





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日本の特権階級・天下りと世襲(Ⅰ)

2009-05-02 06:39:24 | 政治
「民主主義国家」、「法治国家」、そして憲法で「法の下の平等」をうたっている現在の我が国。
しかし、法をかいくぐって特権を享受しているものたちがいる。
世襲議員とキャリア官僚である。

国家公務員「肩たたき」年齢上がる、平均2~5歳 (asahi.com 4/30)
「肩たたき」で退職する国家公務員の年齢は平均2~5歳程度上がっていることが、総務省が28日公表した「早期退職慣行の是正」をめぐる各省庁の取り組み状況で分かった。

 総務省などが、国の15機関の取り組み状況をまとめた。それによると、01年度時点では12機関で平均退職年齢が55歳を下回っていたが、08年度はいずれも55歳を超えた。

 08年度で最も退職年齢が遅いのは防衛省の58.8歳で、環境省と金融庁の58.0歳が続く。逆に最も早く退職するのは経済産業省と公正取引委員会の55.5歳。01年度と比べて最も退職年齢が上がったのは、金融庁の5.0歳だった。


つい、「それで?」と言いたくなるような記事である。
総務省発表を要約しただけで、評価も批判も一切なし。
何の話か分からぬ人も多かろう。

記事は”国家公務員”とだけ言っているが、これは高級官僚の天下りの話である。
毎年10~30人程度のⅠ種試験合格者が各省庁に入省する。
このうちの一部がいわゆるキャリア官僚と呼ばれることになる。

キャリア官僚
一般的には国家I種の「行政」「法律」「経済」区分に合格した者を指すことが多いが、広義には技官を含めた国家I種合格者全体を、限定的には国家I種の「法律」区分に合格した者のみを指すことがある。狭義ではI種合格者の中でも本省(内局)に採用された者のみを特にキャリアとみなし、外局や地方支分部局で採用された者はこれに含まない。(ウィキペディアより)


彼等だけがトップである事務次官を目指す。
次官の任期はたいてい1年~2年程度なので次官になれない年次もある。
次官レースからこぼれた者は順次省を去っていく。
理由は自分より下の地位の同期や先輩がいては、次官が仕事がしにくい、という信じられないものである。
もう一つ、高級官僚にふさわしいポストが足りない、というこれもまた信じられない理由がある。
しかし彼等は自分からすすんで辞めて行くわけではない。
”肩をたたかれて”去っていくのである。
退職勧奨である。

省庁を去った者はどうするか?
彼等は決してハローワークなどには行かない。
彼等のためには、ハローワークには決して出てこないような、とんでもなくおいしい仕事が用意されている。人材バンクなどにも登録することはない。
それどころか彼等専用の超高級人材バンクが用意されることになっている。
”官民人材交流センター”という。

それでは勝ち残った次官は、というとこれはまたこれで次官経験者にふさわしい特別の職が用意されている。

記事のもとになった総務省発表資料というのがこれ。

早期退職慣行の是正について (内閣官房・総務省 4/28)
1 各府省個別計画の取組状況

各府省は、平成14年の閣僚懇談会申合せに基づき、I種相当の幹部職員の平均勧奨退職年齢を3歳以上高くすることを目標として、それぞれの実情に合わせて個別計画を策定し、昇進年次の延伸、同一ポストの在職期間の長期化、専門スタッフ職の活用を進めるなど、その達成に努めてきたところである。


閣僚懇談会申合せ(抜粋)
いわゆる「天下り」の弊害を是正し、公務員が志を持って行政に専念できる環
境を整備するため、公務員制度改革の観点をも踏まえ、政府としての早期退職慣
行是正の基本方針を、以下のとおり取りまとめることとする。
1 各府省のⅠ種及びこれに相当する幹部職員の勧奨退職年齢を、平成15~19 年
度の5年間にかけて段階的に引き上げることとする。これにより、平成20 年度
には、原則として現状と比べて平均の勧奨退職年齢を3歳以上高くすることを
目標とする。


問題とされているのは、あくまでもキャリア官僚の天下りである。
天下りを減らすためにキャリア官僚の退職年齢を引き上げることを意図した取り組みであるが、意味あるものとはとうてい思えない。
天下りを先送りするだけで、天下りそのものはなくならない。
一般事務職の公務員の定年は60歳、事務次官は62歳であるが、事務次官はほぼ全員天下りしている。
退職年齢の引き上げで期待される効果は、せいぜい”渡り”の回数が一回減るかも知れないという程度に過ぎない。
必要なのは、勧奨退職の年齢引き上げではなく、天下りそのものの禁止である。

天下り批判に対して、政府は目くらましとしてもう一つの対策を進めている。
官民人材交流センターである。

これについてはまた後日考えたいが、それにしても大学卒業時点で特権階級入りして、国を挙げて退職後の心配までしてもらえるキャリア官僚などという存在は認めるわけにはいかない。
「キャリアには熾烈な競争が待っている」などとよく言われる。
競争に敗れても天下り先が用意されている。
こういうのは「熾烈な競争」とは言わない。

もう一つ、”熾烈な競争”を免れているのが世襲議員である。
これについては、これまでにも何度か書いてきたが、機会があれば、何度でも書いていきたい。





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草事件と小沢事件

2009-04-26 08:54:45 | 政治
草剛の今回の騒動については、大方はすでにご承知であろう。
ニュースを聞いたとき、わたしは「若い男が酔っぱらって真夜中の公園で裸になっていた?風邪引かなかったのかい」という程度のことしか思わなかった。
しかし、世間の騒ぎはわたしの想像をはるかに超えていた。
テレビではまるで史上最大の凶悪犯罪事件のような扱いである。
一番の驚きは鳩山総務大臣の言葉であった。

鳩山総務相、地デジキャラ逮捕に「最低の人間だ」 (YAHOO JAPAN ニュース 4月23日 産経新聞)
 鳩山邦夫総務相は23日昼、地上デジタル放送の普及促進のメーンキャラクターを務めているSMAPの草なぎ剛容疑者が公然わいせつの現行犯で逮捕されたことについて「事実であれば、めちゃくちゃな怒りを感じている。なんでそんな者をイメージキャラクターに選んだのか。恥ずかしいし、最低の人間だ。絶対許さない」と明言。草なぎ容疑者が出ているポスターなどを全面撤去し、キャラクターから降板させる考えを示した。国会内で記者団の質問に答えた。


真夜中の公園で酔っぱらって裸になっただけで、「最低の人間だ。絶対許さない」とまで言われるか?
後で撤回しようが発言したことは事実である。
少なくとも鳩山はそのときそう思っていたのは間違いなかろう。
いったいこの大臣は人間の価値を何で計っているのか?

公然わいせつ罪とはいえ、草君のチンボコを見た人は駆けつけた警察官ぐらいなんだろう? 
思い起こすのは中川財務大臣の酔っぱらい会見。
世界中に真の酔っぱらいとはどんなものかを示してくれたあの人物と、ほとんど見る人もいない真夜中の公園で自分の衣服を脱いだだけの酔っぱらい。
テレビの番組からは降ろされるは、コマーシャルは放映中止されるは、果ては損害賠償?やら、謝罪会見やらと、まるで日本中が一人の青年をいじめているようだ。

この連中の大好きなものに”日本の伝統文化”という言葉がある。
「酔っぱらいに寛容な日本」というのも失われつつある日本の伝統文化の一つであろうか。
「酒の上のこと」として許された失敗も最近では許されなくなってきているようだ。
これには”酔っぱらい運転”による交通事故の多さとその撲滅という動きが大きい影響を与えていると思われる。
「酒の上の暴力」などは論外としても、「酒の上のしくじり」という言葉には、どことなくおかしさが伴っていた。
いまではそんな視線も消え去っているようだ。
とはいえ、それにしても大げさすぎる騒ぎである。

行為の中身を落ち着いて検証することなく、騒ぎの大きさに引きずられて、自分もその騒ぎを更に大きくしていく流れに飲み込まれる。
一億総ヒステリー症状といえようか。

小沢事件も同様の症状の現れであろう。
事実の本質とは関係なく、騒ぎの大きさだけが流れを作り、多くの国民が引きずられていく。
もちろん騒ぎを大きくしているのはマスコミである。

”小沢事件”といったのは現在の状況が西松建設の裏金事件を離れ、小沢引きずり下ろし、政権交代阻止事件とも言うべき様相がはっきりと浮かび上がってきているからである。
一旦、ヒステリー状態に陥った国民が目を覚ましたときにはすでに手遅れになっているかもしれない。


ついでながら一言。
「努力してます」世襲の閣僚一斉反論 制限の動きに (asahi.com 4/24)

相変わらず持ち出すのは、”憲法問題(職業選択の自由)”と”個人の能力”。
問題はそんなところにはない。
「不公平な競争」こそが問題なのだ。
特に許せないのが桝添茶坊主。

舛添厚生労働相は「看板や地盤が意味を持たない時代になってきている。そんなに日本の有権者を馬鹿にしちゃいけない。きちんと政治家の質をみて、判断してくれると思っている」と述べた。

「きちんと政治家の質をみて、判断してくれる」?
国民の多くはちゃんと見ている。
小淵→森→小泉→安倍→福田→麻生

「日本の有権者を馬鹿しちゃいけない 」?
一番バカにしているのはこの男である!




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西松献金問題・是非紹介したい郷原さんのコラム

2009-03-17 18:05:14 | 政治
先日、サンデープロジェクトにおいて、検察の姿勢・手法について”目から鱗”の解釈を展開した郷原信郎さんのコラムが日経ビジネス ON LINEに掲載されている。
すでにお読みになった方も多いと思うが、一人でも多くの方に読んでいただきたいので紹介します。

「ガダルカナル」化する特捜捜査  「大本営発表」に惑わされてはいけない

かなり長い文章なので、ごく一部だけ紹介したい。できたら全文を読んでいただきたいと思う。

捜査は当初から想定された展開ではない

どうやら、今回の検察の強制捜査着手は、これ程までに大きな政治的影響が生じることを認識したうえで行われたのではなく、むしろ、検察側の政治的影響の「過小評価」が現在の混乱を招いているように思える。

 その推測の根拠は、今回の強制捜査着手後に、東京地検の特捜部以外の他の部のみならず、全国の地検から検事の応援派遣を受けて行われている事実だ(3月8日付毎日)。


検察側の政治的影響の「過小評価」が混乱の原因との指摘は鋭い。
さらに年度末そして裁判員制度導入を控えたこの多忙な時期での戦線拡大の事情を分析する。

今そういう事情がありながら、あえて応援検事派遣も含む捜査体制の増強を行ったのであれば、よほどの事情があるからであろう。それは、強制捜査に着手したところ、民主党サイドの猛反発、強烈な検察批判などによって、予想外に大きな政治的・社会的影響が生じてしまったことに驚愕し、批判をかわすため、泥縄式に捜査の戦線を拡大しているということではないか。当初から、他地検への応援要請が必要と考えていたのであれば、強制捜査着手を別の時期に設定していたはずだ。

マスコミの姿勢に対する批判もその根拠を丁寧に論じている。
郷原さんは次のように結論づけている。

「大本営発表」を垂れ流す新聞、テレビ

まさに「なりふり構わず」という感じで、検察当局側からの情報が垂れ流されているようだ

当局にとって都合の良い情報だけが一方的に報じられるという点で、むしろ、戦時中の「大本営発表」とよく似ていると言うべきであろう。


一転、検察の手法に対しても厳しく批判。

特捜部の捜査は、戦略目的も定まらないまま、兵力を逐次投入して、米国軍の十字砲火の中に白兵銃剣突撃を繰り返して膨大な戦死者を出し、太平洋戦争の戦局悪化への転換点となったガダルカナル戦に似た様相を呈している。

またマスコミが大々的に報じている西松建設の胆沢ダム受注についても触れられている。
100億円にのぼる巨額受注と報じられているが、

このダムは総工費2000億円を超える巨大なダムであり、10年以上も前からの企画・設計の段階で、ゼネコン側から発注者への協力が行われ、その積み重ねが落札につながる。入札に近い時期の政治献金が直ちに受注に結びつくような単純な話ではない。

2000億円のうちの100億円の話ではないか。
その他随所に見られる経験と知識に基づく鋭い考察が、読む人に”快哉”を叫ばせる。

検察を事件の表側の顔、漆間官房副長官を事件の裏の顔ととらえ、二つを合わせることによって今回の事件の構図が明瞭に浮かび上がってくる。

先日紹介させて貰ったコラムですが、まだの方は是非どうぞ。
内閣官房に「権力の暗部」抱える麻生政権―警察庁出身副長官・漆間巌の存在理由  田中良太2009/02/04



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西松問題・千葉県知事選の重要性

2009-03-16 16:26:14 | 政治
西松献金問題
ここに来て次第に検察の手法に対する疑問の声が広がりだしたように感じられる。
世論調査にもそれなりの影響が見られるとは言え、国民は意外に冷静に受け止めているようだ。

検事総長の証人喚問には応じず…法相「独立性に悪影響」
森法相は13日の閣議後の記者会見で、民主党の小沢代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件に関し、同党から樋渡利秋検事総長の証人喚問を求める声が出ていることについて、「検察官を証人として国会に出頭させることは、検察官の独立性や公正性の保持の観点から各種の悪影響を招来する」と否定的な見解を示した。
(2009年3月13日18時13分 読売新聞)


疑われているのはまさに、「検察官の独立性や公正性」なのである。
独立性や公正性をしっかり保持しているという自信があるならば、国会の場で堂々と答えられるだろう。
悪影響などあるはずもない。


千葉県知事選が告示された。
西松権金問題が表面化してからの最初の知事選である。
この選挙の持つ意味は大きい。
特に民主党にとっては正念場である。
この選挙は西松建設献金問題が国民の意識にどのような影響を与えたかを計る最高の指標となろう。
自民党が勝てば、自民+検察の勝利。
民主党が勝てば、市民の良識の勝利。
民主党が勝った場合、自民党のショックは大きいだろう。
これほどの追い風を吹かせても勝てなかったとなれば、麻生自民党は打つ手なしということになる。
解散も決断できないままずるずる任期満了までいくことになるか、それとも再び麻生下ろしが強まるか。
民主党が負けた場合のショックはさらに大きいものとなろう。
小沢の辞任論がうかびあがることにもなる。
確かに今度の献金問題は不当なものである。
しかしながら現実問題として選挙民にマイナスの影響を与えたことが明らかになれば、政権交代の実現を唱える小沢としては辞任を考えざるを得なくなるだろう。
しかし、辞任劇がうまくいかなければ民主党にとってさらに逆風が強まりかねない。
民主党は極めて難しい局面にたたされることになる。

「分裂」「西松」の影響懸念=自・民とも及び腰-千葉県知事選 (jiji.com 3/13) 
与野党が次期衆院選の前哨戦と位置付ける千葉県知事選(29日投開票)は、自民党が候補者の一本化失敗による保守分裂を、民主党は小沢一郎代表の公設秘書逮捕の影響をそれぞれ懸念し、双方とも応援に及び腰となる異例の展開となっている。自民党は内閣支持率の低迷に加え、公明党との足並みの乱れも不安材料。一方、上げ潮ムードに水を差された民主党内では、結果次第で小沢氏の辞任論が噴き出すと見る向きもある。


”双方とも応援に及び腰”?
そんなことで選挙に勝てるか!
民主党が政党色を隠して勝っても何の解決にもならない。
民主党が民主党として戦ってこそ勝利の意味が大きくなる。
負けたら負けたでそのときになって考えればよい。
ここで勝てなければ政権交代など夢のまた夢。
民主党にとっては関ヶ原と天王山を合わせたような一大決戦なのである。

しかしながら問題を難しくしているのが小沢の逮捕された秘書の拘置期限が24日で切れるということである。
検察は当然起訴をするだろう。
罪状などどうでもいい。とにかく衆院選まで裁判を引きずっていくのが目的なのだから。
知事選の投票日は29日。
起訴決定の影響はなかなか計りがたい。
しかし、今からそんなことをくよくよ思い悩んでも何の役にも立たない。
選挙戦はもう始まってしまったのだ。

「民主党の支援候補に勝てる可能性が出てきた」。自民党の菅義偉選対副委員長は11日、首相官邸で麻生太郎首相と会談し、選挙情勢を報告した。菅氏に限らず自民党内には、西松建設の違法献金事件で民主党に吹き付ける逆風を、知事選勝利で与党への追い風に変えたいとの思いがある。
 しかし、自主投票の自民党では、県選出国会議員や県議の支持が保守系無所属の森田健作、西尾憲一、白石真澄の3氏に分散。衆院千葉11区選出の森英介法相に至っては選挙区の事情から民主党推薦の吉田平氏支援を打ち出すなど「めちゃくちゃな状況」(閣僚経験者)で、党幹部の応援も予定されていない。


自民党としては森田健作、西尾憲一、白石真澄の3人のうちの誰が勝っても、勝利宣言をするだろう。
民主党は総力を挙げて戦わなくてはならない。
自民党は滅茶苦茶な分裂選挙になりそうだが、民主党も共産党にある程度の票を食われることになる。
もともと民主との連立など考えていない共産党は自民・民主両党の金権体質を攻撃してくるだろう。
いわば漁夫の利を狙っている。
もちろん当選を考えているわけではない。来るべき総選挙に向けて勢いを印象づけたいということだろう。

鳩山氏はその後も「選挙に影響なしとはしない。影響を最小限に食い止めるよう努力する」と強調。しかし、候補者の知名度不足も手伝って、危機感を募らせる党内からは「状況は厳しい」と弱音も漏れる。小沢氏が先の記者会見で衆院選への影響を考慮して進退を判断する考えを示したことから、知事選の結果が小沢氏の進退に波及するとの見方も出ている。
 八田英之氏を推薦する共産党は「知事選であっても金権腐敗政治を許すのか許さないのかが争点だ」(志位和夫委員長)と訴える。社民、国民新両党は吉田氏を推薦している。


民主党はこの知事選の重要性を理解しているのか。
”弱音を吐いてる”場合ではない。
菅も鳩山も岡田もみんな千葉へ通え!
房総半島を全部回ってこい。
前原もだ。
前原が行けば、民主党の結束の堅さが印象づけられる。
前原にとっては男を上げる絶好の機会である。
みんなで民主党の政策を訴えろ。
胸を張って堂々と戦え。

千葉で負けても山形で勝っているから引き分けだ、なんて考えてはいけない。
この戦いの意味は比べようがないほど大きい。

民主党が勝てば、
選挙民は、民主党そのものを評価したことになる。
小沢献金問題が致命傷にならないことが証明される。
国民の民主党を見る目がガラッと変わる。
全候補者が自信を持って戦えるようになる。

全国民に、全力を挙げて戦う民主党の姿を見せろ!

とにかく一度政権交代が行われなければ、この国はどうにもならない。


安倍元首相が再登板に意欲「選挙の洗礼受けて」
自民党の安倍元首相は13日、テレビ東京の番組収録で、自身の首相再登板について、「(首相を)辞職した後、国民の審判を受けていないから、選挙の洗礼を受けないといけない。まずは信頼回復に全力を尽くしたい」と述べ、次期衆院選後の再挑戦に意欲をにじませた。

 衆院解散・総選挙については、「麻生首相のもとでやるべきだ。2009年度補正予算案を国民に見せ、成立させるかどうかを含めて首相が決断する」と語った。
(2009年3月13日19時49分 読売新聞)

小沢党首にも民主党議員にもこれぐらいの図々しさを望みたい。

うつ病休業は気が弱いから? 自民・笹川総務会長が発言 (asahi.com 3/14)
自民党の笹川尭総務会長は14日、大分市であった党県連の会合で、「学校の先生で、うつ病で休業している人が多い。国会議員には1人もいませんよ。気が弱かったら、務まりませんから」と発言した。うつ病患者への理解のない発言として、批判を受けそうだ。


鬱病患者安倍晋三への理解のない発言 !




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竹中平蔵への反論+かんぽの宿+メルパルク

2009-03-14 18:02:53 | 政治
相手の意見がどうであれ、とにかく自分の意見を主張する。
相手が納得するかどうかは問題ではない。
それを聞いてる人に自分の方が正しいという印象を与えられればそれでいいというのがこの男の基本的な姿勢である。

竹中平蔵元総務相、自民議連で鳩山総務相を批判 (asahi.com 3/13)
小泉改革の司令塔だった竹中平蔵元総務相が13日、自民党本部を訪れ、麻生首相に近い菅義偉選挙対策副委員長らで作る議員連盟「聖域なき構造改革を推進する会」で講演した。「民営化は民間の経営に任せること。枠組みを作るのは政治家の仕事だが、経営判断に立ち入ることは厳に慎まなければならない」と強調し、「かんぽの宿」問題で存在感を高めた鳩山総務相を牽制(けんせい)した。

 自民党で「小泉離れ」が進む中、小泉支持層の離反を防ぐ目的で菅氏らが竹中氏を招いた。郵政民営化については「放っておいたら、国鉄のようになることは間違いなかった」。鳩山氏が東京中央郵便局建て替えに異議を唱えたことについては「これができないと民営化の否定に等しい」と批判し、「民間の経営判断に立ち入らない節度が政治の世界に求められている」と切り捨てた。


何で竹中が菅のところで講演などするのだ?
とおもったらちゃんと答えがあった。
自民党で「小泉離れ」が進む中、小泉支持層の離反を防ぐ目的で菅氏らが竹中氏を招いた。
呼ぶ方も呼ぶ方だが、呼ばれる方も呼ばれる方だ。
毒を以て毒を制す。

民営化は民間の経営に任せること
笑わせちゃいけない。

現社長の西川はお飾りに過ぎまい。
国会に呼び出されて質問されてもろくな答弁も出来ないでいる。
かんぽの宿問題もほとんど実情は分からないでいるのだろう。
ただ小泉・竹中の代理人というところが与えられた役目と思われる。
実権がどこにあるのかは外から見ているだけでは分からないのが世の常である。
ほんとの実権はこいつが握っているのではないのか?
 ↓
副社長高木祥吉
大蔵官僚上がりである。
略歴
昭和46年(1971年)7月 大蔵省入省
平成14年(2002年)7月 金融庁長官(2004年7月 退任)
平成16年(2004年)4月 内閣官房郵政民営化準備室副室長
平成17年(2005年)11月 内閣官房郵政民営化推進室副室長
平成18年(2006年)1月 日本郵政株式会社代表取締役
平成18年(2006年)6月 日本郵政株式会社代表取締役副社長
平成18年(2006年)9月 株式会社ゆうちょ取締役兼代表執行役社長
平成19年(2007年)4月 日本郵政公社副総裁
平成19年(2007年)10月 日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長
株式会社ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役社長(COO)(兼任)

(もしかすると実権はもっと下にあるのかも知れない)

政府が社長を選び、官僚を副社長に据える。
社外取締役は政府お気に入りの財界人のオンパレード。
社外取締役:牛尾治朗(ウシオ電機会長)
社外取締役:奥谷禮子(ザ・アール社長、日本アムウェイ諮問委員)
社外取締役:奥田碩(トヨタ自動車取締役相談役)
社外取締役:西岡喬(三菱重工業会長)
社外取締役:丹羽宇一郎(伊藤忠会長)
社外取締役:下河邉和彦(弁護士)


これのどこが”民間の経営”なのか!
さがせば、これ以外にも竹中と通じた財界関係者や役人上がりが日本郵政の内外にウヨウヨしているんだろう。

枠組みを作るのは政治家の仕事だが、経営判断に立ち入ることは厳に慎まなければならない”?

民間経営であればなおさらのことである。
株式会社の最高意志決定機関は株主総会である。
日本郵政は株式会社である。
最高意志決定は株主の義務であり、権利である。
株主は財務大臣唯一人。
しかし財務大臣は形式的な株主である。
実質上の株主は日本国民である。
国民は現経営陣に白紙委任状を渡したわけではない。
小泉郵政選挙は永久白紙委任状ではない。
株式会社である以上、毎年株主総会は行われているはずだ。
毎年株主の承認が必要なのである。
監督者は総務大臣。
国民が経営に口出しするのは当然の権利である。
総務大臣・財務大臣は国民にかわって日本郵政を監督する責任がある。
国有財産が目減りするのを防ぐのは当然の責務である。

財務大臣はいつでも臨時株主総会を招集し、経営者を替える権利も持っている。
実際には何かの法律で簡単にはいかないようになっているのかもしれないが。
民間、民間と大声で言えるような会社にはまだなっていないのだ。

民間の経営判断に立ち入らない節度が政治の世界に求められている”?
日本郵政は株式会社であるが民間会社ではない。
100%国有会社なのである。
まして政府が役員を選んでいて、何が民間会社だ!

竹中は多分、自分の主張が破綻していることは承知しているだろう。
しかし、ここで弱気を見せれば一気につけ込まれる。
むなしい主張を繰り返すだけが生き残りの道と覚悟を決めているのだろう。

いくら竹中が叫んでも日本郵政をめぐる疑惑は後から後から湧いてくる。
”かんぽの宿”でもまたまた新たな疑惑が。

かんぽの宿:運営新会社の副社長、オリックス側が実名記載  (毎日jp 3/13)
かんぽの宿売却問題で、落札したオリックス不動産が、最終提案書に日本郵政の宿泊事業部長を「かんぽの宿」を運営する新会社の副社長に迎える人事案を実名入りで記載していたことが13日、分かった。落札企業は、かんぽの宿事業に携わる従業員を全員引き受けるのが条件だったが、宿泊事業部長は入札審査担当者の一人だった。同日の衆院総務委員会で民主党の原口一博氏が明らかにした。


オリックスの落札価格には副社長一人の引取料が含まれていた(つまりその分が減額されていた)。
もしかするとその他何人分かが含まれていたかも知れない。
考えてみれば日本郵政は宿泊事業部なる部署も不要になるわけだ。
もしかして事業部ごと引き取る約束でもあったか?

日本郵政の西川善文社長は「個人的な考え」と断ったうえで、「具体名を書いて出してくるのは極めて不適切。相手が出してきた場合には訂正しろと言って止めるのが筋だ」との考えを示した。

西川は”具体名を出さなければOK”と考えているようだ。
具体名があろうとなかろうと、契約自体を破棄すべきである。
部下が裏取引をしているのが分かったら、「そんな汚いことはやめろ」というのが社長というものだろう。
「訂正しろといって止めるのが筋だ」?
西川の言い分はまったくの”筋違い”。
この連中の”筋”というのはずいぶん都合のいい”筋である。

日本郵政幹部は「オリックス側から、宿泊事業部門の長を副社長として迎えるという意味で書いたとの説明を受けた。オリックス側は、宿泊事業部長が入札審査担当者だと知らなかった」と説明している。

自分を引き取ってくれる条件つきのオリックス。
宿泊事業部長様がオリックスに肩入れするのも当然であろう。
オリックスはまさか本人の了解を取った上でのことだろう。
本人の了解なしにあるいは相手の会社の了解なしに、他社の人間の人事は動かせまい。
国有財産を身内のあるいは自分のポストを確保したうえで安く売り渡そうとしたのである。
この事業部長の行為は日本郵政に対する背任行為であるし、日本郵政も承知の上のことであろうから、日本郵政の国民に対する背任行為でもある。

どこまで続く疑惑の連鎖。

メルパルク:ゆうちょ財団からワタベに無償譲渡 (毎日jp 3/11)
日本郵政の婚礼・宿泊施設「メルパルク」の運営事業が、日本郵政のファミリー企業「ゆうちょ財団」から総合ブライダル大手「ワタベウェディング」に無償譲渡されていたことが11日分かった。鳩山邦夫総務相は、譲渡の経緯について調査を検討する考えを示した。

 同日の参院予算委員会で、民主党の尾立源幸氏が明かした。尾立氏は、無償譲渡は「約2億6000万円の債務超過を考慮しても安すぎる」と指摘。鳩山総務相は「メルパルクは知名度があり、業績も好調だ。(日本郵政は)あらゆる資料を公表すべきだ」と答えた。

 メルパルクは郵便貯金の宣伝施設として都心部に建設され、現在、東京、大阪や京都など全国11カ所にある。日本郵政は建物を所有し、運営はゆうちょ財団に委託。08年3月期は全施設が黒字で、07年10月からの1年間に財団から約24億円の納付金を得た。

 日本郵政は08年6月、メルパルクを08年10月からワタベに一括賃貸することを決定。初年度の賃料は約30億円で、ゆうちょ財団も08年7月、従業員約1000人を継続雇用する条件で、ワタベへの事業譲渡を決めた。

 日本郵政法は、かんぽの宿とともに12年9月末までにメルパルクを譲渡または廃止することを定めている。日本郵政は「ワタベからの賃料収入を見込める上、所有し続けるので今後、高く売却できる可能性がある。譲渡に問題はない」と説明している。【前川雅俊】

毎日新聞 2009年3月11日


今度の場合は土地建物は売却せずに事業だけを譲渡するということらしい。
かんぽの宿の場合は毎年50億円の赤字がでるということを口実にしていた。
こんどは2億6000万の債務超過?
黒字経営で、去年24億円の納付金を納めていて、なんで債務超過なんだ?
納付金の性質がいまひとつ分からないが、利益からおさめるものなら、繰り越し債務は解消できたはずである。
家賃というならわかるが、それなら納付金という呼び方はおかしかろう。
ましてワタベウェディングからの賃料が30億円。
財団が役人感覚で経営しても24億円も納められたのだ。
民間会社のワタベにしてみれば30億円をひねり出すくらいなんでもなかろう。

分からないのは、かんぽの宿の時は土地・建物ごと売り払おうとしたくせになんで今度は事業譲渡だけなのだ?
土地・建物を所有し続けることによって発生する費用、つまり減価償却費や固定資産税だけでも相当な額になると思われる。

メルパルク一覧
(クリックして豪華な建物群をご覧ください)

更に契約内容次第だが、建物の修繕費や改築費等の負担も発生するかも知れない。
土地・建物を残すことにそれほど利点があるとも思えないのだが。
もしかするとワタベ側に金がなかったのか?
あるいは土地・建物は別に売却する約束でもあるのか?

「譲渡に問題はない」と日本郵政は言うが、
国民の大多数は「問題がある」と思うだろう。





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不透明な財政保障・五輪招致と石原東京都知事

2009-02-14 18:19:59 | 政治
76歳。れっきとした後期高齢者。
思いこみが強く、人の意見を聞かず、他人がバカに見えて仕方がない。
自分の意志が国家の意志だと錯覚している。

東京五輪暗雲 石原知事が民主に逆ギレ (nikkansports.com 2/7)
16年五輪の東京招致に、暗雲が漂い始めた。石原慎太郎都知事(76)は6日、招致活動の“お墨付き”となる国会決議が得られないことを明かし、強い不快感を示した。国会が採択した決議を入れた文書を12日までに国際オリンピック委員会(IOC)に提出するはずが、国会は動かず間に合わない見通し。石原氏は、民主党の反対を理由に「次の政権を目指す民主党が五輪に反対なのか」と憤ったが、石原氏の不手際を指摘する声も。肝心な場面で足並みが乱れ出した。

石原氏は「東京選出(菅氏は東京18区)の国会議員が反対するのかね」と怒り心頭。「菅君は時期尚早と言うが、理由が分からない」「次の政権を目指す民主党が、オリンピックに反対なのか。(都調査で)国民の7割以上が賛成なのに」とキレ気味にまくしたてた。

東京五輪招致は、石原氏が07年知事選で掲げた公約だけに、責任は重い。


「次の政権を目指す民主党が五輪に反対なのか」
まるで五輪招致に反対する人間は非国民・国賊であると言わんばかりである。
この呆け老人は心底そう思っているのだろう。
しかし国民の価値観は多様である。
「(都調査で)国民の7割以上が賛成なのに」というが、賛成にも濃淡がある。
是非に、という人間から、やるんならやってもいいか、という程度までその思いはかなりの幅があるはずだ。
だいたい東京都の調査そのものが信用できない。
「選挙公約」?
結局、自分の都合で騒いでいるだけではないか!

混濁した頭は不透明な行為につながる。

東京招致委、立候補ファイル提出=日本の伝統と環境配慮を訴え-16年五輪で (スポーツナビ・時事通信 2/12)
招致委は立候補ファイルと併せ、大会運営で赤字が生じた場合に政府が補てんを約束する「財政保証」などの書類も提出


五輪招致の国会決議と政府の財政保証とはセットになっているのかと思っていたが、財政保障はすでに与えていたという。
東京都が政府の財政保障を求めているということは知っていたが、与えたという報道は目にしていない。

東京五輪招致:宙に浮く国会決議 12日締め切り (毎日jp 2/5)
民主党を含む超党派の「オリンピック日本招致推進議連」(会長・森喜朗元首相)がまとめた決議案は、運営赤字を政府が補てんする財政保証など「準備態勢の整備に万全を期す」という内容。


2月5日、この時点ではまだ財政保障は決まっていない。

東京五輪招致委、IOCに立候補ファイル提出 (gooニュース・YOMIURI ONLINE 2/12)
2016年夏季五輪の招致を目指す東京オリンピック・パラリンピック招致委員会は12日、詳細な開催計画を記載した立候補ファイルを、スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会(IOC)に提出した。

 招致委の中森康弘事務次長らは同日午前10時過ぎ(日本時間同日午後6時過ぎ)、五輪開催で赤字が出た場合、政府が穴埋めするとした「財政保証」などの必要書類を持参し、IOC本部に提出した。


"財政保障"はいつ決定したのか?
誰がどんな手続きを経て決定したのか?
2月5日の時点では決まっていなかったことが東京都の書類には含まれている。

そもそも財政保障は内閣総理大臣の一存で与えられるものなのか?
閣議決定が必要なのか?
国会決議が必要なものなのか?

東京五輪:唐突な「平和」強調 (毎日jp 2/13)

◇財政保証の文書、副知事明言せず
 立候補ファイルに添付された政府の財政保証を示す文書について、この日の会見で具体的な文言を問われた東京都の谷川健次副知事は「新聞に載っていますよね。記者の方々が集めた情報が正しいのかな」などと明言を避け、記者から「無責任な言い方では」と指摘される一幕があった。

 13日に公表されたファイルには、資金不足に陥った場合の補てんについて「日本国政府及び東京都知事が、別添の通り、保証している」と記載されている。しかし別添文書は、公金に関する内容にもかかわらず公表されなかった。質問に答えた東京オリンピック・パラリンピック招致委員会の河野一郎事務総長は「添付書類については、当事者間の合意がない限り公表できないと聞いている」と説明した。


一体どうなっているんだ!
まさか東京都のフライング、見込み発車、あるいは文書偽造とも思えないが。
だれかが保証を与えたのだろうが、国民のだれもが知らないうちに、国民に内容を隠したまま、こんなことができるのか?

おまけに五輪の東京開催の意義も麻生なみにぶれてきた。
世界平和?

「日本でオリンピックを開催することは、世界平和への大きな貢献になると信じております……」

ただ、これまで都などが展開してきた招致活動で「平和」を前面に出したことはほとんど無かった。今後も、世界平和の実現を呼びかけるようなイベントは予定していないという。

東京五輪:立候補ファイル公表 東京招致委
2016年夏季五輪の開催を目指す東京都と東京オリンピック・パラリンピック招致委員会は13日、国際オリンピック委員会(IOC)本部に提出した立候補ファイル(開催計画案)を公表した。大会理念として「平和に貢献する 世界を結ぶ五輪」を掲げたほか、太陽光発電や低公害車を開催前から積極活用し、大会運営で出る量を上回る二酸化炭素(CO2)削減を目指す「世界初のカーボンマイナス五輪」を打ち出した。


世界平和に環境問題。
理由はあとからいくらでもでっち上げる。
だんだん石原も麻生みたいになってきた。
まあ、もとから自分の都合のいいことしか言わない男だったが……。



16年夏季五輪:東京都に政府が財政保証 大会赤字補てん (毎日jp 2/11)
16年夏季五輪開催を目指している東京都が政府から、大会運営で赤字が出た場合には補てんを受けられる財政保証を得たことが分かった。具体的な開催計画を盛り込んだ「立候補ファイル」に財政保証を認めた文書が添付され、都と招致委員会は提出期限の12日、スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会(IOC)本部に提出する。

”東京都に政府が財政保証”とあるが、東京都の「立候補ファイル」に財政保証を認めた文書が添付されていたことを根拠としているだけである。
東京都に財政保障を与えたという政府側の発表は見つからない。
どなたかご存じの方がおられたらご教示ください。





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