久々にルービニ教授の記事。重要な内容ばかりなので、以下に要約してみた。
○U.S. Job Report Suggests that Green Shoots are Mostly Yellow Weeds
・失業率は夏には10%を超え、年末までに10.5%、来年11%でピーク。
・過去の例から見ても、レセッション終了後1.5年は雇用は減り続けている。現在の不況は今年一杯終わらないと見ているが、終わってからさらに1.5年雇用は減り続ける。
・雇用数だけでなく、勤務時間、時間当たり単金全てが減っており、労働者の所得へのマイナス影響が大きい。
・職探しをあきらめた人やパートタイムの人も含めた失業率はすでに16%。 短期の仕事も急減中。
・労働統計局(BLS)の発表する雇用統計は、会社の増減についての前提の関係で、レセッション期は過大計上(雇用減が少なく計上)されるという。この夏の時期で、15~20万上積みされており、実際の減少は60万近い可能性がある(逆に好況時は過小計上される)。
・雇用減は消費者信頼及び個人消費に大きな影響。
・政府の景気刺激策による税還付は昨年は、30%しか消費に回らなかった。5、6月に還付があったにもかかわらずほとんど消費があがらなかった。おそらく20%程度しか消費に回らなない可能性がある。追加で1,000億ドル(約10兆円)の税還付が予定されているが、効果は限定的と見られる。そして、一時的なこの効果が終わった秋以降、消費の下落が懸念される。
・ストレステストで想定以上の失業率となれば、金融機関の損失も想定以上となる。
・弱い雇用状況は個人消費及び金融システム双方に問題。
・金融機関は会計基準変更の影響で数四半期は、少ない損失計上で済むかもしれないが、そのあとは利益の押し下げと資本ニーズが明らかとなるだろう。
・新芽(Green shoots)はあまりなく、ほとんどは堆肥となる黄色い雑草( yellow weeds)である。
・レセッションはW型となり、来年初頭にいったん回復しても、来年後半か2011年から再度レセッションに入る可能性がある。
・住宅価格は、ピークから27%下がったが、最終的には40~45%まで下がると見込んでいる。このときには、5,100万人いる住宅ローン保持者のうち、2,500万人が"underwater(ローン残高が住宅資産価値を上回る)ことになり、(ローンを払わず)家を捨ているインセンティブが高まろう。
・今はデフレプレッシャーが強いが、政府の財政悪化や原油価格高騰により中期的にはインフレ圧力が高まろう。
とのんきな見出しが躍っていますね。
アメリカでは第二弾の景気対策の必要性まで議論が始まったようですが。
ゼーリック総裁が主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)のホスト国イタリアのベルルスコーニ首相にあてた書簡で明らかになった。7月1日付のこの書簡は、8カ国の首脳に配布された。
このなかで、ゼーリック総裁は、各国政府・中央銀行の介入により金融市場が安定化、需要が押し上げられ「世界経済の落ち込みに歯止め」がかかったようだ、との認識を示したが、「とはいえ2009年は依然、危険な年。最近の上昇は簡単に反転し得るし、2010年の回復ペースも確実と言うには程遠い」と指摘。
「一部先進国は、回復を想定した政策の組み合わせを検討していると認識している。しかし、途上国はまだとてもそういう措置を考える状況にはない」と述べた。
7月8─10日のサミットで「途上国の貧困層の窮状に焦点をあてる」べきと強調。
世銀では、中国とインドを除く途上国の国内総生産(GDP)が今年1.6%減少すると予想しており、これにより「雇用がさらに失われ、貧困が深刻化する」と主張した。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnTK841465420090706
ゼーリック総裁曰く、「浮かれてたらダメだよ、そこのあんた。」