映画「ヒルビリーエレジー」は2020年のNetflix映画
「ヒルビリーエレジー」はNetflix映画で何気なく見つけた最新配信作、エイミーアダムス、グレンクローズの大物女優の登場に思わず観てしまう。スタートしてしばらくして監督がロンハワードという文字に驚く。久しぶりに見る名前だ。さすがロンハワードと思われる本格的な映像でストーリーにも引き込まれた。上質な映画でおすすめである。ケンタッキー生まれオハイオ育ちのイエール大学ロースクールに通う若者が親子3代生活苦にもかかわらず暮らしてきた軌跡を振り返る物語である。原作はベストセラーになったJ・D・ヴァンスの小説で本人の実話に基づいている。
J・D・ヴァンス (ガブリエル・バッソ)はイエール大学ロースクールに学ぶ元イラク戦従軍者だ。就職にあたってロースクールには名門法律事務所から勧誘が来ている。インターシップ最終の法律事務所パートナーたちとの懇親ディナーは格式あるレストランで行われている。自称田舎者の主人公は馴染めない。インド系の同級生の恋人に電話してマナー作法を聞く始末だ。ケンタッキー出身でオハイオ育ちの略歴を話すと、あるパートナーの一人がヴァンスを田舎者扱いしたので折り合いが悪くなってしまった。
そんな大事な時故郷オハイオにいる姉リンジー(ヘイリー・ベネット)から母親ベヴ (エイミー・アダムス) の具合が良くないので帰郷してほしいと連絡があった。
ヴァンスの家族は大家族だった。13歳で結婚をした祖母マモーウ (グレン・クローズ) はきかん気が強い女性で夫とも争いが絶えなかった。何とか娘ベヴを育ててきた。ベヴは結婚したが結局出戻り3世帯でオハイオで暮らしていた。主人公はそういう強い女性のいる家庭で優しく育っていた。しかし家計は厳しかった。ヴァンスもバイトを3つかけ持ちしても奨学金を返しきれないくらいで、当然ながら実家の援助はないし、母親は健康保険にすら加入していない。
大事な時だったので戻りたくなかったが車で故郷に向かう。もともと看護婦だった母は昔からヘロインの過剰摂取でトラブルを何度も起こしていた。何人もの男を渡り歩いていた。母のあばずれぶりは地元でも有名で施設から入所を断られていた。そんな時主人公に第一志望の法律事務所から最終面接のアポイントの電話が入ってくる。時間を変えてくれないかという話をしたがそれは無理で面接時間を決めた。オハイオに帰郷すると母親は入院している病院から退院するよういわれている。母親の元の勤務先とはいえ、問答無用で追い出される。ヴァンスは母親の行き先のめどをつけて車で戻り、面接の場所まで定時に行かなければいけないわけであるが。。。
1.エイミーアダムスのあばずれぶり
シングルマザーで姉弟の子どもを育てる。母親譲りで気性は激しい。看護婦だったが、患者に投与するヘロインをみずから飲み込んでしまう。病院内でラリってローラースケートで走りまくったり、息子を乗せたままフルスピードでぶっ飛ばした上、他人の家に不法侵入する。警察沙汰も一回や二度ではない。
本当は息子のことを殴っているけど、母親思いの息子はけがをしているにもかかわらず母親は何もしていないと取り調べの警察にいう。そういう優しさで助けられてきた。高校のときは学年2番だったけど、周囲が誰も自分を引き立ててくれないからこうなったんだと息子にのたまう。まさに薬物依存症、あえて喫煙者であるところも見せる。
そんな役柄をエイミーアダムスは見事に演じる。これはアカデミー賞モノである。エイミーの主演作はほとんど観ている。あばずれ役は「アメリカンハッスル」「ザ・ファイタ-」などいくつかあるが、ここまでのパフォーマンスはなかった。この映画の主演って息子だと思うんだけど、助演女優賞ということなのかな?出演者のクレジットは一番前だったからどうなんだろう?これまで何度もエントリーされているけど、今回はいけるような気がする。
2.グレンクローズのやさしさ
気がつくと13歳で夫と結ばれる。今の日本では淫行か?出来の悪い夫が酒癖悪いので、身体に火をつけたりもする。血筋というべきか娘と同様に気性は荒い。でも、娘の方が異常なので、火消しに入ることも多い。男を次から次へと渡り歩く娘ベヴが、ある男と一緒に暮らすようになりヴァンスも一緒に暮らす。ところが、継父の息子が良からぬことを教えて成績が急降下、それが気になって仕方ない祖母グレンクローズは孫を悪い道から取り戻そうとする。
「努力もせずにチャンスがあると思うな」祖母の名言だ。そんなわけで孫の成績は急上昇してクラスのトップに躍り出る。成績表を見ながら微笑むグレンクローズが素敵だ。「ターミネイター2」を100回観ているというキャラにもご注目
この映画はまさにエイミーアダムスとグレンクローズの演技合戦で、どっちもどっちである。同じ映画でアカデミー賞を競うなんてすごい話だ。世紀の悪女を演じた「危険な情事」で受賞していればという思いはあるが、年の功でグレンクローズにもチャンスがあるかもしれない。
3.イエール大学のロールスクール
アイビーリーグのイエール大学のロールスクールは世界を代表する名門である。フォード元大統領やクリントン元大統領夫妻など卒業生には政府高官クラスが山ほどいる。
日本ではハーバードが名高いが、1987年にランキングができて以降、ずっと1位の座を保ち続けているのは、実はイェールの方だ。(山口真由ブログ 2017年2月16日引用)日本人からすると意外だがアメリカには法学部というものはない。各大学の他の学部を卒業した英才がここに集まっている。
主人公はある意味とんでもないエリートだけど、田舎育ちの主人公は浮いてしまうような存在だ。ちょっと大げさな映像だと思うが懇親会の席でテーブル上の大量のフォークとナイフをどう扱っていいか戸惑う主人公のパフォーマンスを映す。あえてそういうところで田舎者ぶりを目立たせる。
作品情報には「貧困が親から子へと引き継がれ固定化されていく白人貧困層の過酷な現実」となっているけど、ここまでのエリートになれたんだから、この家族に限っていえば貧困は引き継がれてはいないよな。映画の宣伝文句はちょっと違う気もする。
「ヒルビリーエレジー」はNetflix映画で何気なく見つけた最新配信作、エイミーアダムス、グレンクローズの大物女優の登場に思わず観てしまう。スタートしてしばらくして監督がロンハワードという文字に驚く。久しぶりに見る名前だ。さすがロンハワードと思われる本格的な映像でストーリーにも引き込まれた。上質な映画でおすすめである。ケンタッキー生まれオハイオ育ちのイエール大学ロースクールに通う若者が親子3代生活苦にもかかわらず暮らしてきた軌跡を振り返る物語である。原作はベストセラーになったJ・D・ヴァンスの小説で本人の実話に基づいている。
J・D・ヴァンス (ガブリエル・バッソ)はイエール大学ロースクールに学ぶ元イラク戦従軍者だ。就職にあたってロースクールには名門法律事務所から勧誘が来ている。インターシップ最終の法律事務所パートナーたちとの懇親ディナーは格式あるレストランで行われている。自称田舎者の主人公は馴染めない。インド系の同級生の恋人に電話してマナー作法を聞く始末だ。ケンタッキー出身でオハイオ育ちの略歴を話すと、あるパートナーの一人がヴァンスを田舎者扱いしたので折り合いが悪くなってしまった。
そんな大事な時故郷オハイオにいる姉リンジー(ヘイリー・ベネット)から母親ベヴ (エイミー・アダムス) の具合が良くないので帰郷してほしいと連絡があった。
ヴァンスの家族は大家族だった。13歳で結婚をした祖母マモーウ (グレン・クローズ) はきかん気が強い女性で夫とも争いが絶えなかった。何とか娘ベヴを育ててきた。ベヴは結婚したが結局出戻り3世帯でオハイオで暮らしていた。主人公はそういう強い女性のいる家庭で優しく育っていた。しかし家計は厳しかった。ヴァンスもバイトを3つかけ持ちしても奨学金を返しきれないくらいで、当然ながら実家の援助はないし、母親は健康保険にすら加入していない。
大事な時だったので戻りたくなかったが車で故郷に向かう。もともと看護婦だった母は昔からヘロインの過剰摂取でトラブルを何度も起こしていた。何人もの男を渡り歩いていた。母のあばずれぶりは地元でも有名で施設から入所を断られていた。そんな時主人公に第一志望の法律事務所から最終面接のアポイントの電話が入ってくる。時間を変えてくれないかという話をしたがそれは無理で面接時間を決めた。オハイオに帰郷すると母親は入院している病院から退院するよういわれている。母親の元の勤務先とはいえ、問答無用で追い出される。ヴァンスは母親の行き先のめどをつけて車で戻り、面接の場所まで定時に行かなければいけないわけであるが。。。
1.エイミーアダムスのあばずれぶり
シングルマザーで姉弟の子どもを育てる。母親譲りで気性は激しい。看護婦だったが、患者に投与するヘロインをみずから飲み込んでしまう。病院内でラリってローラースケートで走りまくったり、息子を乗せたままフルスピードでぶっ飛ばした上、他人の家に不法侵入する。警察沙汰も一回や二度ではない。
本当は息子のことを殴っているけど、母親思いの息子はけがをしているにもかかわらず母親は何もしていないと取り調べの警察にいう。そういう優しさで助けられてきた。高校のときは学年2番だったけど、周囲が誰も自分を引き立ててくれないからこうなったんだと息子にのたまう。まさに薬物依存症、あえて喫煙者であるところも見せる。
そんな役柄をエイミーアダムスは見事に演じる。これはアカデミー賞モノである。エイミーの主演作はほとんど観ている。あばずれ役は「アメリカンハッスル」「ザ・ファイタ-」などいくつかあるが、ここまでのパフォーマンスはなかった。この映画の主演って息子だと思うんだけど、助演女優賞ということなのかな?出演者のクレジットは一番前だったからどうなんだろう?これまで何度もエントリーされているけど、今回はいけるような気がする。
2.グレンクローズのやさしさ
気がつくと13歳で夫と結ばれる。今の日本では淫行か?出来の悪い夫が酒癖悪いので、身体に火をつけたりもする。血筋というべきか娘と同様に気性は荒い。でも、娘の方が異常なので、火消しに入ることも多い。男を次から次へと渡り歩く娘ベヴが、ある男と一緒に暮らすようになりヴァンスも一緒に暮らす。ところが、継父の息子が良からぬことを教えて成績が急降下、それが気になって仕方ない祖母グレンクローズは孫を悪い道から取り戻そうとする。
「努力もせずにチャンスがあると思うな」祖母の名言だ。そんなわけで孫の成績は急上昇してクラスのトップに躍り出る。成績表を見ながら微笑むグレンクローズが素敵だ。「ターミネイター2」を100回観ているというキャラにもご注目
この映画はまさにエイミーアダムスとグレンクローズの演技合戦で、どっちもどっちである。同じ映画でアカデミー賞を競うなんてすごい話だ。世紀の悪女を演じた「危険な情事」で受賞していればという思いはあるが、年の功でグレンクローズにもチャンスがあるかもしれない。
3.イエール大学のロールスクール
アイビーリーグのイエール大学のロールスクールは世界を代表する名門である。フォード元大統領やクリントン元大統領夫妻など卒業生には政府高官クラスが山ほどいる。
日本ではハーバードが名高いが、1987年にランキングができて以降、ずっと1位の座を保ち続けているのは、実はイェールの方だ。(山口真由ブログ 2017年2月16日引用)日本人からすると意外だがアメリカには法学部というものはない。各大学の他の学部を卒業した英才がここに集まっている。
主人公はある意味とんでもないエリートだけど、田舎育ちの主人公は浮いてしまうような存在だ。ちょっと大げさな映像だと思うが懇親会の席でテーブル上の大量のフォークとナイフをどう扱っていいか戸惑う主人公のパフォーマンスを映す。あえてそういうところで田舎者ぶりを目立たせる。
作品情報には「貧困が親から子へと引き継がれ固定化されていく白人貧困層の過酷な現実」となっているけど、ここまでのエリートになれたんだから、この家族に限っていえば貧困は引き継がれてはいないよな。映画の宣伝文句はちょっと違う気もする。