映画とライフデザイン

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映画「あゝ荒野 前編」 菅田将暉

2017-10-17 20:06:38 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「あゝ荒野 前編」を映画館で観てきました。


「あゝ荒野」は寺山修司が昭和41年に書いた長編小説に基づき、菅田 将暉が主演した映画である。現代新宿に時代の軸足を変えているが、2021年東京オリンピック後の近未来社会という前提である。

菅田 将暉は個人的に好きな俳優である。かなり出演量をこなす中で、少しづつ実力を蓄えている印象をもつ。パッションが強いインパクトのある演技ができる現代日本を代表する俳優になりつつある。一方、ヤン・イクチュンは映画「息もできない」で我々をあっと言わせた。韓国得意のバイオレンス映画である。「シーバ」の罵声を最後まで連発しながら、借金の債務者から容赦なく暴力的に取り立てる怖い男を演じた。この演技は日本でも高く評価され、キネマ旬報ベスト1となる。

そんな2人が組むのであれば、悪い映画ができるはずがない。ただ、上映時間が長いせいか、やっている映画館が少ない。新宿に向かうが、事前にネットをみると予約でいっぱいである。ひそかに人気である。さすがに2時間半をこえる長さは重いなあという感じであるが、期待通りの作品で続編を楽しみにしたいという気持ちをもって前半を見終えた。

新宿新次(菅田将暉)は振り込め詐欺の常習犯であったが、仲間の裕二(山田裕貴)に裏切られた喧嘩のあと警察に引っ張られた。2021年ようやく入った少年院を出所して、元アジトのある新宿に戻ってきた。たむろしていた喫茶店で元の相棒から、裏切った裕二がボクシングジムにいることを聞く。顔を見た途端、怒りを込めてリングに上がるが、裕二のボディパンチを浴び倒れる。


一方、新宿の床屋で働くバリカン銀二(ヤン・イクチュン)は元自衛隊の幹部を父親に持ち、母親は韓国人だが、両親は離婚している。今は酒浸りの父親と暮らしている。どもりがひどく、韓国語も日本語も不十分で、ひきこもった人生を送っている。


新次が一発食らったボクシングジムの外には、片目こと堀口(ユースケサンタマリア)がいて、自分が作ったボクシングジムの勧誘をしている。バリカンも床屋のティッシュ配りをしているところで、偶然出会う。父親の虐待につかれ、強くなりたい願望を持つバリカンがジムに向かうと、同じように新次もボクシングジムの門をたたく。ジムで2人の練習は始まった。そこにトレーナー(でんでん)が加わり、2人はデビュー戦を目指す。


登場人物がわりと多い。自殺扇動の運動家、ボクシングジムの出資スポンサーとその秘書、バリカンの父親、ラーメン屋でバイトする私設売春婦などなど。みんないい人生を送っていない。そういう話をそれぞれに小出しに出していく。内容盛りだくさんで上映時間が長時間になるには仕方ないか。そんな中でも新宿新次が街でナンパした女ヨシコ(木下あかり)の存在が雰囲気を盛り上げる。

1.ヤン・イクチュン
暴れまくっていた「息もできない」とは全く対照的な男を演じる。同一人物とは思えない。当然日本語はうまくないわけだが、どもりとはいい設定をした。ボクシングシーンも弱々しい。後半どう変わるのか?それとも破滅するのか?原作をみずに楽しみにしたい。


2.木下あかり
新次が街でナンパした女とホテル直行だ。気が付くとずっとやりまくりだ。そういう血気の強い若者の相手を受けとめる。父親がいないので、売春まがいのことをしていた母親を見て育つ。結局同じようなものだ。男と一緒にホテルに行った後、財布からこっそりお札を抜け出す。悪い奴だ。
新次との情事のあとも、なけなしのお金をもっていってしまう。でも、しばらくしてラーメン屋で新次と再会、もともとムカついていたが、意外にも似た者同士くっついていく。


経験豊富?と思しき熟れた裸体を前面にだす。気前がいい。この脱ぎっぷりの良さはいろんな映画に起用される気がする。

3.木村多江
いつもより色っぽい雰囲気だ。化粧の仕方も違う。ユースケサンタマリアがやっているボクシングジムのスポンサーの情婦(秘書)という設定である。謎めいた雰囲気を残すが、実は主人公ととんでもない関係にあることがわかる。(ネタバレなので言わない)


ただ、2021年に失業者であふれているという脚本設定になっている。これはどうかな?2017年の今、アベノミクスの効果が出て有効求人倍率はバブル水準の1.5を超えている。しかも、若者の人口減で人手不足に拍車がかかっている。経済音痴の脚本家はついついリーマン前後の悪い状況を思い浮かべるけど、ベビーブームに生まれた日本の最多人口の集団も70歳半ばでは失業者というより引退の身だし、これだけは違うんじゃないかな?映画の中身の良さとは関係ないけれど。

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