映画とライフデザイン

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映画「依頼人」 ハ・ジョンウ&パク・ヒスン

2012-11-11 08:53:21 | 映画(韓国映画)
映画「依頼人」は韓国映画としては珍しい法廷物である。

無実の罪を負わされた被告、その無実を証明しようとする弁護人、確実な証拠はないが間違いなく罪を犯したと断定する検事。この3人の関係が最後までもつれこむ。脚本が緻密でうまく、予想外の展開へと進んでいく。自分は騙された。お見事だ。

結婚記念日に花束を持って妻のところへ帰宅する夫ハン(チャン・ヒヨク)は、自分のマンションに入ると警察と鑑識がいることに気づく。寝室は血染めになっていた。遺体のない殺人である。家の主人とわかりその場で手錠をかけられる。本人は無実だと主張する。決定的な証拠はなかった。しかし、この部屋に入れたのは夫しかいないはずだということ。以前ある女性殺人事件の被疑者になったことのある夫の犯行は間違いないと検事アン(パク・ヒスン)は強く主張する。この事件を引き受けた弁護人カン(ハ・ジョンウ)はその無実を証明しようと、聞き取り調査を進める。
弁護人は時間稼ぎをするべく、裁判は陪審員裁判を選択する。そして法廷がはじまった。弁護人と検事は司法修習生の同期だ。お互いに負けられない。

こんな面白い話、ネタばれになったら元も子もない。書きたい気持ちも強いがかけない。
ラスト30分の追い込みは凄い。ビリーワイルダー監督「情婦」を連想させる匂いもあるが、ほぼ室内劇だった「情婦」と違い、ロケもふんだんに使い殺人の真実に迫る。
殺人罪で起訴し有罪とするためには死体や凶器の存在、そして凶器や現場での被告人の指紋や遺留品など物証が必要になる。刑法には詳しくはないが、日本も韓国も基本的には刑法の解釈は同じだということがわかる。検事は状況的に他の犯人はありえないということで論理をすすめる。以前被告が被疑者になった殺人事件を追う元刑事や妻の母親を証人として呼ぶ。妻の母親は単なるヒステリーばばあと解釈されるし、それで徹底的に有利になるわけではない。しかも、被告には指紋がない。毎日仕事で薬品を扱うためにそうなっているのだ。検事が完全に有利にはなれないときに、少しづつ弁護人は無罪を勝ち取るために証人を探して招致していく。。。

いずれにせよ、この映画は3人の韓国を代表する俳優たちの演技がうまいということに尽きる。これは単なる法廷物ではない。韓国映画らしいそれぞれの俳優が個々の感情をむき出しにしているところが人間臭い。いくら同期とはいえ、検事と弁護人が胸ぐらをつかみあうなんてことはないだろう。いかにも韓国ということだし、裏金をつかませながら証言を導き出そうとする姿にも歴代の大統領がみんな汚職で捕まるわいろ社会韓国の匂いもある。今回で2作目というヨンソン監督が韓国らしいダーティーな部分も見せつつ、切れ味のいいサスペンス映画に作り上げたことに敬意を表したい。

自分が大好きな「チェイサー」「哀しき獣」で正反対の強い個性を見せたハ・ジョンウは期待通りの働きだった。2作ともまともじゃない男だったが、今度は弁護士で堅気だ。どっちでもできることを証明した。

今回良かったのは検事役のパク・ヒスンだ。短髪で精悍な感じを醸し出し、一見悪役と思しき検事役を見事にこなした。男性から見てもかっこいいと思う。

あとは弁護士事務所の女性キム・ソンリョンは自分の好みのタイプなので見とれたという感じかな?
こういう感じに弱いんだなあもう。

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