映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「小説家の映画」 ホンサンス&キムミニ

2023-07-06 19:27:19 | 映画(韓国映画)
映画「小説家の映画」を映画館で観てきました。


映画「小説家の映画」は独特の作風をもつ韓国の映画監督ホン・サンスベルリン映画祭で銀熊賞を受賞した作品だ。韓国映画ってサービス精神旺盛で、ストーリーの逆転を楽しめる娯楽映画が多いのに、ホン・サンスの作品って真逆な気がする。軽い起伏はあっても意外性はない

言葉に頼らずに映像で見せるのが本筋とばかりに観客の理解能力を試すような映画が多くなってきたのと反対にセリフは多い。しかも、超長回しカットで構成される。日本で一般公開される他の韓国映画と比較すると、ホン・サンスって本国で受け入れられているのかな?と正直思ってしまう。

それでも日本の評論家筋の評判はいつも通りよい。不倫状態が続くプライベートでのパートナーであるキムミニと前作「あなたの顔の前に」超絶長回しショットを巧みに演じて自分を驚かせたイ・ヘヨンが出るとなると見逃せない。

長らく執筆から遠ざかっている著名作家のジュニ(イ・ヘヨン)が、音信不通になっていた後輩を訪ね、ソウルから離れた旅先で偶然出会ったのは、第一線を退いた人気女優のギルス(キム・ミニ)。初対面ながらギルスに興味を持ったジュニは、彼女を主役に短編映画を撮りたい、と予想外の提案を持ち掛ける。(作品情報 引用)

実際には街を見渡す展望台で映画監督夫妻に会う。以前ジュニが書いた作品を映画にしようとして別の作品を選んだ監督だった。3人で公園を散歩しているときに人気俳優を見つけて話をする。ここで映画監督と小説家の会話が噛みあわず、初対面なのに小説家と女優が2人で食事に向かう。そして、映画を一緒につくろうと意気投合するのだ。


ホン・サンスのスタイルはかわらない。
長回し中心の映像で、確かな演技力を要求する。朴正煕元大統領を連想する元来の韓国人ルックスのイヘヨンがこの映画でもメインに動く。ただ、モノクロ画面なので顔の輪郭はわかりづらい。よくもまあこんな長いセリフを覚えられるなと思ってしまう。さすがである。

いかにもスランプに陥っている小説家であるかのように時折ヒステリックになる。偶然あった映画監督の話をへし折る。イヤな女のムードも出すけど、後輩の本屋の店主や女優ギルスとの会話はスムーズだ。前作のように死が迫っている役柄のもつ悲愴感はない。ヘビースモーカーで時折喫煙するその雰囲気で何かの意味を持たせる。屋上でのタバコの一服が印象的だ。


キムミニを最初に観たのは宮部みゆき原作「火車」だ。その後、日本統治時代の朝鮮を描いたエロティックサスペンス「お嬢さん」での大胆な演技が印象に残った。いずれも日本に縁がある映画だ。一連のホン・サンス作品では常連である。人気俳優と共演するメジャー作品に以前のようには出演していない。不倫問題のせいだろうか?


この映画の中で、キムミニ演じる女優ジュニが最近出演していないことをもったいないと出会った映画監督が言う。すると、小説家のギルスが妙にケンカ腰に絡むシーンがある。小学生でもあるまいし、余計なお世話だと言い切る。これって最近の実際のキムミニにからめているセリフのような気がする。


なぜか最後だけキムミニのカラー映像だ。演技も脚本もレベルが高い作品だとは思う。
好きかと言われるとどうかなあ?
でも、ついつい観てしまう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「無情の世界」 唐田えりか | トップ | 映画「絶唱浪曲ストーリー」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(韓国映画)」カテゴリの最新記事