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映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」 

2014-06-13 20:55:11 | 映画(フランス映画 )
映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」は本年度公開のフランス映画

印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)と亡くなる4年前に出会ったモデルとのふれあいを描いている。そこに戦争から一時帰国した息子ジャンが絡み、三角関係的要素が生まれる。ジャンはのちに映画監督として名声を得るジャンルノワール(1894-1979)の若き日の姿である。

ルノワールといえば裸婦の絵画があまりにも有名、息子も映画界で知られているが、父親ほどではない。
映画としては大きな起伏もなく普通。まったりとした映画である。
絵画を見るような色合い鮮やかな美しい風景を楽しむ映画

1915年、コートダジュールで人生の黄昏期を迎えていた印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール(ミシェル・ブーケ)は、病気のため満足に絵筆が握れなくなっていた。さらに最愛の妻を亡くし、息子ジャン(ヴァンサン・ロティエ)が戦地で負傷したという知らせも届き、失意のどん底にいた。しかしある日、彼の前に、絵画モデル志望の美しい娘アンドレ(クリスタ・テレ)が現れる。

先日亡くなった妻に頼まれてここに来たというアンドレを喜んで迎え入れる。彼女は輝くような美しさをたたえ、ルノワールに画家としての活力を吹き込む。ルノワールはアンドレを最後のモデルに、『浴女たち』の創作を始める。そこに息子ジャンが戻ってきたのであったが。。。

この映画の舞台になる1915年はまさに晩年で、年老いて74歳になっている。
オルセー美術館などに展示されている彼の代表作は1870年から90年代にかけて描かれたものである。すでにフランス国内で印象派の大家としての評価も受けているだろう。
金銭的な余裕もあると思われ、使用人が多い。病弱のルノワールの面倒をみんなで見ている。しかし、ほとんどが熟年女性で、彼女たちからは、若くピチピチした裸体を持つ娘への嫉妬心も芽生えるだろう。それなので対立する場面がある。
若いジャンはアンドレの魅力に狂っている。理想的な裸体を描きたいというルノワールの願望とジャンの間には軽い葛藤が生まれる。


1.1915年
オーストリア皇太子の襲撃事件で第1次世界大戦が始まるのは1914年のこと。欧州では普仏戦争以来40年ぶりのの大きな戦いである。
フランスはアルザスロレーヌの奪還に燃え、マルヌの戦いでドイツの侵攻を食い止める。しかし、その後は長きに渡り持久戦の様相を呈していたわけである。ジャンは1次大戦に参加していたが、負傷してしまう。のちにジャンは1937年製作の映画「大いなる幻影」で1次大戦の裏側を描くことになる。

2.コートダジュール
コートダジュールという名は日本人にもなじみが深い。ただし、これはフランス南東部の海岸エリアをさす言葉でニース、カンヌ、モナコという町が含まれている。ルノワールは地中海に面したカーニュ=シュル=メールという町で晩年をすごしている。一年を通じて温暖なエリアで療養がてら絵を描いているのであろう
この映画でもバルコニーから海を望むシーンが何度も映し出される。海の青さに庭園の緑が絡む美しいショットである。

3.美しい映像
この映画では美しい映像に注目したい。画家として名高いルノワールが主題だけに、映し出す映像もコンテから良く練られている。印象派の絵画から抜け出したような緑に囲まれた庭と自宅がすばらしい。そしてバックになる美術もきめが細かい。
撮影を担当するのがリーピンビンである。彼の代表作ウォンカーウェイ監督「花様年華」では、マギーチャンが10種類以上のチャイナドレスで七変化する姿を丹念に撮る。
ここではルノワールの絵画をなぞるかのごとく、庭園にたたずむ裸婦を美しく映し出す。

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