映画「枯れ葉」を映画館で観てきました。
映画「枯れ葉」はフィンランドのアキカウリスマキ監督の久々の新作である。復活してくれてともかくうれしい。Amazon primeに突如初期の作品がラインナップされて、未見の「マッチ工場の女」や「真夜中の虹」まで見れた。いずれも独特の風味を感じる。
最初アキカウリスマキ監督作品を観た時、昭和30〜40年代の日本にタイムスリップしたようなフィンランドの背景の中、無表情で寡黙な登場人物が質素な美術のもと実に暗いと思った。ところが、観続けているうちに、二郎ラーメンのように中毒になってくる。この感覚がジワッと心に刺さる。いちばん好きなのは「ルアーブルの靴みがき」と「浮き雲」だ。今回常連のカティ・オウティネンは出ていないが、評論家筋の評価は異様にいい。初日に映画館に向かう。
ヘルシンキの街で、アンサ(アルマ・ポウスティ)は理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)は酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、ホラッパはアンサが伝えた電話番号を書いた紙をなくしてしまう。アンサは連絡を待っているが来ない。そうしているうちに、アンサもホラッパも再び失職してしまうのだ。このまま連絡が取れないと思っていたところで、運がめぐって来る。しかし、それも続かない。
いかにもアキカウリスマキ監督作品らしいドツボの連続だ。
いつもながら、路面電車の走るヘルシンキの街は地味だ。建物も古ぼけている。人々を取り巻くのは昭和半ばの色彩だ。主人公をはじめとして登場人物は無表情かつ寡黙で、セリフは最小限である。そして、物語は単純だ。カップルとなる2人は単純な仕事に従事する労働者。しかも、2人とも運に恵まれずついていない。ここまでやるかと思うくらい窮地に落とす。そこに、ロックを基調としたバンドの音楽が流れる。この辺りは毎回似たようなものである。でも、そのワンパターンがいいのだ。
時間も80分台にまとめる。すばらしい。
主人公アンサを中年の域に差し掛かりつつある未婚女性にしているのは「マッチ工場の少女」に似ている。ようやく運が巡るようにも見えたけど男はアル中だ。勤務時間中にも小瓶を飲むし、トラムの停留所で寝てしまい野宿することもある。
アンサの父も兄もアル中で死んだ。あんまり酒に溺れてほしくないと言うと男は反発していったんは話が潰れる。そこからがミソだ。未練たらたらの男が改心する。ここで再転換してラストに向かう。ところが、もう一度奈落の底に落とす。いかにもアキ・カウリスマキ監督作品らしい。最近年甲斐もなく、飲み過ぎで失敗した自分には心に響く。
アキカウリスマキの作品にはドツボのままで終わる作品もある。
でも、「ルアーブルの靴みがき」のように希望がもてるのは何よりだ。名曲「枯葉」が優しく包む。ぶっきらぼうだけど、ウォーミングハートのこんな感じがいい。
映画「枯れ葉」はフィンランドのアキカウリスマキ監督の久々の新作である。復活してくれてともかくうれしい。Amazon primeに突如初期の作品がラインナップされて、未見の「マッチ工場の女」や「真夜中の虹」まで見れた。いずれも独特の風味を感じる。
最初アキカウリスマキ監督作品を観た時、昭和30〜40年代の日本にタイムスリップしたようなフィンランドの背景の中、無表情で寡黙な登場人物が質素な美術のもと実に暗いと思った。ところが、観続けているうちに、二郎ラーメンのように中毒になってくる。この感覚がジワッと心に刺さる。いちばん好きなのは「ルアーブルの靴みがき」と「浮き雲」だ。今回常連のカティ・オウティネンは出ていないが、評論家筋の評価は異様にいい。初日に映画館に向かう。
ヘルシンキの街で、アンサ(アルマ・ポウスティ)は理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)は酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、ホラッパはアンサが伝えた電話番号を書いた紙をなくしてしまう。アンサは連絡を待っているが来ない。そうしているうちに、アンサもホラッパも再び失職してしまうのだ。このまま連絡が取れないと思っていたところで、運がめぐって来る。しかし、それも続かない。
いかにもアキカウリスマキ監督作品らしいドツボの連続だ。
いつもながら、路面電車の走るヘルシンキの街は地味だ。建物も古ぼけている。人々を取り巻くのは昭和半ばの色彩だ。主人公をはじめとして登場人物は無表情かつ寡黙で、セリフは最小限である。そして、物語は単純だ。カップルとなる2人は単純な仕事に従事する労働者。しかも、2人とも運に恵まれずついていない。ここまでやるかと思うくらい窮地に落とす。そこに、ロックを基調としたバンドの音楽が流れる。この辺りは毎回似たようなものである。でも、そのワンパターンがいいのだ。
時間も80分台にまとめる。すばらしい。
主人公アンサを中年の域に差し掛かりつつある未婚女性にしているのは「マッチ工場の少女」に似ている。ようやく運が巡るようにも見えたけど男はアル中だ。勤務時間中にも小瓶を飲むし、トラムの停留所で寝てしまい野宿することもある。
アンサの父も兄もアル中で死んだ。あんまり酒に溺れてほしくないと言うと男は反発していったんは話が潰れる。そこからがミソだ。未練たらたらの男が改心する。ここで再転換してラストに向かう。ところが、もう一度奈落の底に落とす。いかにもアキ・カウリスマキ監督作品らしい。最近年甲斐もなく、飲み過ぎで失敗した自分には心に響く。
アキカウリスマキの作品にはドツボのままで終わる作品もある。
でも、「ルアーブルの靴みがき」のように希望がもてるのは何よりだ。名曲「枯葉」が優しく包む。ぶっきらぼうだけど、ウォーミングハートのこんな感じがいい。