映画「市子」を映画館で観てきました。
映画「市子」は突然失踪した同居人女性は他人だったことがわかって、彼女の過去を追いながら現在の行方を探るミステリードラマだ。ここに来て主役での起用が増えている杉咲花と若者の偶像を描く作品で活躍する若葉竜也の共演。監督脚本の戸田彬弘監督作品を観るのは初めてでオリジナル作品だ。
予告編で、結婚を申し込んだのにその女性が別人だったという設定は分かっていた。ただ、それだけではストーリーの全容はわからない。昨年公開の死んだ夫が別人だった「ある男」をとっさに連想する。若葉竜也が毎度常連の今泉力哉監督の新作に出ずにこちらにかけたのかとも思いつつ映画館に向かう。
市子(杉咲花)が同棲している長谷川(若葉竜也)からプロポーズを受けて喜んでいる。ところが、市子は長谷川が帰宅する前にアパートを飛び出して行方不明になる。その長谷川を後藤刑事(宇野祥平)が市子の写真を持って訪ねてくる。そして、あなたの暮らしていた女性は市子ではないと言われあぜんとする。警察が捜査を進めるとのと同時に、長谷川は市子が歩んできた道筋を追いかけていく。
構成力に優れたミステリーだ。
時間軸をずらしながら、市子の歩んできた道筋を追っていく。途中でこの映画の結末がどのようになるのかよめないミステリー要素がある。映像から目が離せない。それぞれの場面に軽い伏線を残しながら、真実に迫る。俳優陣の演技もいいけど、巧みに構成して編集をまとめた戸田彬弘監督をほめるべき映画だ。予想外によくできている。もっと評価されてもいい。
時間軸は小学校時代、高校生時代、そして現在と3つの時代をめぐっていく。
小学校時代にすでに母親(中村ゆり)はシングルマザーで、夜は飲み屋で働いている。市子は小学校時代から普通ではない。カネがないので万引きもしてしまう。同級の友人とのお付き合いで、仲良くなったり、ケンカしたりするエピソードに伏線を散りばめる。それがのちのちの謎解きにつながっていく。
高校時代からは、市子を杉咲花が自ら演じる。市子の付き合っている男、市子を慕う男子の同級生、母親のもとにたむろう男たちとの関わりが映し出される。シングルマザーの母親はいかにもという感じで男出入りが多い。そこからある事件につながっていく。
いくつもの時代を巡るエピソードで、少しづつ市子のこれまでの人生がわかっていく。市子はTVのニュースで白骨遺体が発見されたことに敏感に反応して家を飛び出す。でも、少しずつ謎が解けても肝心の市子が最終どうなっていくのかがわからない。どういう形でストーリーに区切りをつけるのかドキドキしながら追っていた。
杉咲花は身近にどこにでもいそうな女の子だ。高校生役を演じてもあまり不自然さはない。シングルマザーにまとわりつく変な男との微妙な関係を巧みに演じる。「法廷遊戯」でも殺人に絡んだが、むずかしいシリアスドラマを平気な顔をしてこなす。起用しやすいタイプなので来年も出番は多いだろう。
若葉竜也は現代若者の偶像を描くには欠かせない俳優だ。失踪して探していく中で、刑事だけでなくむかし市子が関わり合った同僚、同級生、市子の身内など色んな人と交わる。探す側なので出番がむしろ杉咲花より多いかもしれない。今泉力哉監督作品などで超絶長回しをこなしているので、演技には安定感がある。
特に中村ゆり演じる母親と会う場面がよく見えた。徳島の海辺の町での場面は、海辺のロケーションも含めて肝となるシーンだ。ここのところ、シングルマザーがでる映画が多く、人気女優が次々と堕落したシングルマザーを演じている中でも美形の中村ゆりに実際にいそうな水商売独特の匂いを感じる。杉咲花に漏らすあるセリフにドキッとする。
もともとは舞台劇として設定した「市子」とは言え、今回は登場人物が住む寂れたアパート、むかし市子が住んだ古めの団地、小学校校内、ベイサイドなどロケーションが主体でリアルな空気を感じさせる。
エンディングの前まで、結末がわからなかった。最後はディテールを語らずにある人物を映し出した。
これでいいのではないか。
映画「市子」は突然失踪した同居人女性は他人だったことがわかって、彼女の過去を追いながら現在の行方を探るミステリードラマだ。ここに来て主役での起用が増えている杉咲花と若者の偶像を描く作品で活躍する若葉竜也の共演。監督脚本の戸田彬弘監督作品を観るのは初めてでオリジナル作品だ。
予告編で、結婚を申し込んだのにその女性が別人だったという設定は分かっていた。ただ、それだけではストーリーの全容はわからない。昨年公開の死んだ夫が別人だった「ある男」をとっさに連想する。若葉竜也が毎度常連の今泉力哉監督の新作に出ずにこちらにかけたのかとも思いつつ映画館に向かう。
市子(杉咲花)が同棲している長谷川(若葉竜也)からプロポーズを受けて喜んでいる。ところが、市子は長谷川が帰宅する前にアパートを飛び出して行方不明になる。その長谷川を後藤刑事(宇野祥平)が市子の写真を持って訪ねてくる。そして、あなたの暮らしていた女性は市子ではないと言われあぜんとする。警察が捜査を進めるとのと同時に、長谷川は市子が歩んできた道筋を追いかけていく。
構成力に優れたミステリーだ。
時間軸をずらしながら、市子の歩んできた道筋を追っていく。途中でこの映画の結末がどのようになるのかよめないミステリー要素がある。映像から目が離せない。それぞれの場面に軽い伏線を残しながら、真実に迫る。俳優陣の演技もいいけど、巧みに構成して編集をまとめた戸田彬弘監督をほめるべき映画だ。予想外によくできている。もっと評価されてもいい。
時間軸は小学校時代、高校生時代、そして現在と3つの時代をめぐっていく。
小学校時代にすでに母親(中村ゆり)はシングルマザーで、夜は飲み屋で働いている。市子は小学校時代から普通ではない。カネがないので万引きもしてしまう。同級の友人とのお付き合いで、仲良くなったり、ケンカしたりするエピソードに伏線を散りばめる。それがのちのちの謎解きにつながっていく。
高校時代からは、市子を杉咲花が自ら演じる。市子の付き合っている男、市子を慕う男子の同級生、母親のもとにたむろう男たちとの関わりが映し出される。シングルマザーの母親はいかにもという感じで男出入りが多い。そこからある事件につながっていく。
いくつもの時代を巡るエピソードで、少しづつ市子のこれまでの人生がわかっていく。市子はTVのニュースで白骨遺体が発見されたことに敏感に反応して家を飛び出す。でも、少しずつ謎が解けても肝心の市子が最終どうなっていくのかがわからない。どういう形でストーリーに区切りをつけるのかドキドキしながら追っていた。
杉咲花は身近にどこにでもいそうな女の子だ。高校生役を演じてもあまり不自然さはない。シングルマザーにまとわりつく変な男との微妙な関係を巧みに演じる。「法廷遊戯」でも殺人に絡んだが、むずかしいシリアスドラマを平気な顔をしてこなす。起用しやすいタイプなので来年も出番は多いだろう。
若葉竜也は現代若者の偶像を描くには欠かせない俳優だ。失踪して探していく中で、刑事だけでなくむかし市子が関わり合った同僚、同級生、市子の身内など色んな人と交わる。探す側なので出番がむしろ杉咲花より多いかもしれない。今泉力哉監督作品などで超絶長回しをこなしているので、演技には安定感がある。
特に中村ゆり演じる母親と会う場面がよく見えた。徳島の海辺の町での場面は、海辺のロケーションも含めて肝となるシーンだ。ここのところ、シングルマザーがでる映画が多く、人気女優が次々と堕落したシングルマザーを演じている中でも美形の中村ゆりに実際にいそうな水商売独特の匂いを感じる。杉咲花に漏らすあるセリフにドキッとする。
もともとは舞台劇として設定した「市子」とは言え、今回は登場人物が住む寂れたアパート、むかし市子が住んだ古めの団地、小学校校内、ベイサイドなどロケーションが主体でリアルな空気を感じさせる。
エンディングの前まで、結末がわからなかった。最後はディテールを語らずにある人物を映し出した。
これでいいのではないか。