映画とライフデザイン

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映画「フォードvsフェラーリ」 マット・デイモン&クリスチャン・ベール

2020-01-13 08:11:43 | 映画(自分好みベスト100)
映画「フォードvsフェラーリ」を映画館で観てきました。


「フォードvsフェラーリ」マット・デイモンとクリスチャン・ベールの超大物俳優の共演である。監督はジェームズ・マンゴールド。題材は60年代前半のモーターレース界で連勝を続けていたイタリアのフェラーリに対して、アメリカの自動車ビッグ3の一社フォードがルマン24時間レースで挑戦する話である。

大物二人はライバルでなく、フォードのレース優勝にむけて協力するという構図だ。レースシーン中心というわけでもなく、人間ドラマの要素も強い。実話ではあるが、緊迫したストーリー展開、レースを捉えるリアルなカメラアングル、60年代を彷彿させる音楽や音響効果すべてに優れた傑作が生まれた。

前作「バイス」では、大幅な体重増量でチェイニー副大統領を演じたクリスチャン・ベールが今度はまた大減量である。おいおい大丈夫かい?と言いたくなる役作りである。どちらかというと、ボクサーを演じたザ・ファイターの時に演じた役柄に性格的にも近い。マット・デイモンも悪くはないが、今回もクリスチャン・ベールの役作りにすごみを感じる。


1960年代半ば、全米きっての自動車メーカーフォード社では、若いユーザーに向けたマーケティング路線を模索していた。役員の一人リー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)はイタリアのフェラーリと合弁会社設立交渉にあたっていた。フェラーリは60年代前半ルマン24時間耐久レースで連勝していた。しかし、フェラーリのトップであるエンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)が反対してご破算となる。

これに怒ったフォード社のトップであるヘンリー・フォード二世(トレーシー・レッツ)はレースに勝つ車を作れと部下に厳命する。それをうけてアイアコッカはレーシングカーの開発をカーデザイナーであるキャロル・シェルビー(マット・デイモン)に依頼する。


シェルビーは1959年のルマン24時間耐久レースでアストンマーチン車に乗り優勝していた経歴を持つ。シェルビーはレーシングカーの開発にあたり、アメリカで自動車整備工場を営んでいたケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)をテストドライバーとして採用する。マイルズの整備工場は客あしらいが悪く、職人気質で気難しいためか経営不振で税務署に差し押さえをうけるところだった。でも直近のレースでも優勝するほどドライビングの腕は達者だった。

シェルビー社でフォードのマスタング車をレーシングカーに仕立てるためにマイルズが乗車してパーツの改善に当たっていた。しかし、マイルズはフォード社の幹部レオ・ビーブとのいさかいを起こし信用されていない。ルマン24時間耐久レースのメンバーに選ばれなかった。落胆するマイルズを尻目にチームはルマン24時間耐久レースに挑戦した。結果は惨敗。シェルビーに責任問題が浮上したのであるが。。。

1.出演者同士の葛藤
すぐれたドラマの基礎は葛藤だと言われる。まず、フォード対フェラーリという根本的な対立関係がある。しかし、レースの途中での競い合いのみである。どちらかというと、身内の争いが次から次へと起こる。

レース担当となったフォードの副社長とシェルビーとドライバーのマイルズとの葛藤が執拗に繰り返される。味方というよりむしろ敵である。ただ、ドラマには憎まれ役がつきものだ。この副社長もう生きていないと思うけど、ルマン24時間耐久レースまでいやな奴に徹したね。


シェルビーとマイルズの友情も映画のテーマである。でも2人の関係にも数々の葛藤がある。そこがストーリーをおもしろくする。

2.レースの臨場感と音響
人間関係を描いたドラマ的要素が大きいとはいえ、リアルなレーシングカーの動きを捉えた下からのカメラアングルに臨場感を感じる。作品情報によると、昔のルマン24時間耐久レースの会場と全く変化しているのでセットで作ったという。相当金がかかっていると思うけどさすがはハリウッド資本といったところか。高らかに鳴り響くわけでなく流れる音楽のセンスも抜群だ。


3.逸話の数々
逸話が多い映画である。それぞれのエピソードに意味があり効いている。
まずは、シェルビーが副社長を部屋に閉じ込めて、フォード2世をレーシングカーに乗せるシーン。元々レーサーだったシェルビーがトップスピードで車を走らせまくる。これだけのスピードで走ったら、普通だったら失禁してしまうという。走り終わってフォード2世が泣くとも笑うともなんともいえない表情になっているのをみながら、シェルビーがカーレースは我々に任せなきゃだめですよと言うシーンが好きだ。


マイルズを説得しようとシェルビーが待ち伏せして、自宅の前から連れ去っていくのをマイルズの奥さんがみる。翌日いつも好き勝手やっているマイルズを助手席に乗せて奥さんが大暴走する。全速力で走って前の車を抜いていく。あやうく正面衝突してもおかしくない。昨日何したのと問いただす。なかなか口を割らないマイルズにしゃべらそうとする。結局日当200ドルときいて奥さんがシェルビーと一緒に仕事をするのを承諾するシーンがいい感じだ。


こんな感じの話が盛りだくさんである。それだけにレースシーンもあり、長時間の映写時間だが全く飽きさせないところがすごい。
いきなり正月第二週で今年のナンバー1,2がでてしまったという印象を持つ。「パラサイト 半地下の家族」はすごい傑作だとは思うが、好きなのは「フォード&フェラーリ」だ。それにしても映画に映るこの時代のフェラーリってかっこいい!スポーツカーデザインのピークだね。
コメント
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