映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ハウスメイド  チョン・ドヨン

2012-04-11 19:15:05 | 映画(韓国映画)
映画「ハウスメイド」は2010年の韓国映画だ。
これもすごい。上流家庭に住み込みのメイドで働くことになった女性を描くサスペンス映画だ。
この映画を見て宮本輝が小説「錦繍」の中で語った「女の持っている最大の悪徳は愚痴と嫉妬の心」を思い出した。女性の持つ業のようなものがプンプンする映画である。韓国映画得意の暴力描写は女同士の本気ピンタが出てくる。やっぱり女は怖い。


上流階級の邸宅でメイドとして働くことになった主人公ウニ(チョン・ドヨン)の仕事は、家事全般と双子を妊娠中の妻ヘラ(ソウ)と6歳になる娘ナミの世話だ。幼児教育の学校に通っていた子供好きのウニは、利発な少女であるナミとすぐに仲良くなる。
先輩メイドのビョンシク(ユン・ヨジュン)は、この家のことは何でも把握していた。主人公を採用する前にわざわざ面接に出向いて主人公の無口で従順な性質を確認していた。
主人公は先輩メイドの厳しい指導のもと、懸命に働き始める。最初は横柄な態度だった奥さんも主人公がお腹の中の双子を心から大事に思っていることを感じ取り、彼女を信頼する。
ある日、主人のフン(イ・ジョンジェ)が妻に隠れて主人公の部屋へと忍び込む。浴室の掃除をしている時、背後から主人の熱い視線を感じていた主人公は驚かなかった。主人公は欲望に素直に身を任せ、家の主人と関係を持つ。


そんな中先輩メイドはうっすらと異変に感づいた。邸宅の中で密かに関係を持った二人の様子をドアの前で盗み聞きしていた。朝食を持っていった主人公は小切手を渡される。この家はすべて金で解決するのだ。
数週間後、主人公の身体の変化に気付いた先輩メイドは、彼女の妊娠を確信した。妻の母親のもとへ向かい、全てを報告する。妻の母親は、吹き抜けのシャンデリアを掃除していた主人公が乗った脚立にうっかりと見せかけてぶつかり、主人公は吹き抜けから転落してしまうのであるが。。。。

自分勝手なご主人様は一体何をするのかわからない。雇っているからというだけで、住み込みメイドも自分の持ち物のように手篭めにしてしまう。同じ話は実際にいくつも聞いたことがある。その昔の日本ではよくありそうな話なのかもしれない。
手篭めにするシーンでは主人公チョン・ドヨンが大胆だ。さすがカンヌ映画祭主演女優賞をとっただけある絶妙の演技。30歳半ば過ぎた女性の魅力をふんだんに途中から醸し出す。
住み込みのメイドというと「ゆりかごを揺らす手」だ。ハチャメチャになった。これは復讐劇であった。一か所だけ意識したと思われるシーンがある。主人公のメイドが生まれたばかりの奥さんの子供に乳を飲ませてあげるシーンだ。これ自体復讐の一種だ。



女の嫉妬、イジメそういう臭い要素を浮き彫りにさせるのが、妻とその母親だ。
韓国女優らしい整形の匂いがつよい美形の妻役ソウ、最初先輩メイドが会いに行った時「大奥様」といったので主人の父親の妾か何かと思わせたほどの若い妻の母親パク・ジヨンの2人だ。この2人のきつい顔がいい。妊娠が発覚してからのこの2人の表情の変化もこの映画の見せどころだ。
日本の「昼メロ」のような話だけど、韓国女性らしいどきついメイクが嫉妬心を増長して見せる。

上流家庭らしさを際立たせるのが、この自宅のセットだろう。この家はなかなか凄い。広い大理石張りの玄関ホールに豪華な階段がセットされる。ダイニングルームもサニタリールームも凄い。日本の上流社会でもなかなかここまでの家に住む人はそうはいない。それに合わせてリッチぶりを顕著に表わす絵画、ワイン、ピアノ、超豪華な食事などの小道具が効いている。家の主人である夫にピアノを弾かせる設定もちょっと違う。格差社会韓国を意識してセットもつくられたのがよくわかる。

傑作とまでは思わないが、典型的韓国映画としてなかなか楽しめる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする