映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

村上春樹 インタビュー

2010-07-24 05:17:23 | 
村上春樹が3日間にわたってロングインタビューを受けるという。
掲載されている雑誌「考える人」を読んだ。一通り読んだ後再読した。約100ページにわたるインタビュー記事であるが、「1Q84」の出版後だけあって内容のある記事であった。保存に値する素晴らしい内容である。

いくつか読んで気になったことを書いておく。
村上春樹が分析的描写や心理的描写が好きでないこと。作者の思いを登場人物のセリフの中にできるだけ描写を織り込んでいくというのが気になった。確かに村上春樹の小説では、平易な話し言葉だけれども、非常に練られたセリフで登場人物が話していることが多い。
むしろ小説に出てくる場面の情景をかなり詳細にわざと表現することで、会話の流れをいったんあえてとめることを心がけているとのこと。どうでもいいことを詳しく書いてしまうと。彼の文章が非常に丹念に書かれていると私は感じていた。それは会話が練られていることだけでなく、ときどき使う丹念な描写によるものなのであろう。
詳細にわたる心理描写が純文学のも持ち味という世間のコンセンサスが気に入らないようだ。三島由紀夫が好きでないというのは意外であった。

私の好きな映画監督には、言葉の思いをセリフで表現するよりも画像で表現するのがうまい人が多い。でもこれは上で述べた村上春樹の考えに近い気がする。妙に心理描写を詳細に表現するのも結構であるが、言葉でその思いを表現してくれたほうがむしろ平易で分かりやすくなる。映画において言葉で表わさずに画像という表現にすることとむしろ近いのではないか?私はそう考える。

あとは彼の日常である。
朝4時に起きて、パソコンに向かい原稿を書く。何があっても10枚書く。それ以上でなければ、それ以下でもない。そして書いたら、外へ出て10キロ走る。走り終わって翻訳をすることはあるが、小説を書くことはしない。音楽を聴いたり、買い物をしたりして、自分の好きなように時間を過ごして夜9時過ぎに寝る。そんな生活をしているようだ。毎日必ず10枚ともかく書いてしまうというルーティンさに驚いた。意外であった。

他にも驚かされることが多々あった。
何度か再読してもっと彼の言葉をかみしめたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする