カタール戦雑感-オシムがキレタ

2007-07-11 | サッカー日本代表

アジアカップグループリーグ第1戦
日本代表vsカタール代表       1-1
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気温は30度を超え、湿度も高かったという。
試合が止まる度に頻繁に給水をする選手達を見れば、
過酷な環境であったことは容易に想像がついた。
芝は見た目にも長く足は埋まり、ボールは思うように転ばない。
これはカタールにとっても同様に苛酷な環境であり、
両者ともに立ち上がりからスローペースで試合は進んでいた。
このような試合では後半勝負という展開が多く、
この試合でも前半は体力温存をしつつボールを回す時間が長く続いた。

カタールは前半のほぼ攻撃の姿勢を見せなかったが、
日本も長い芝に戸惑い細かいミスも見られたり、
やはり連携の部分で、
特に緩急を使った攻撃の際に受け手が感じていなかったり、
一人がボールを持つ時間が長すぎたりとリズムを掴みきれなかった。

特に目に付いたのは、後方での無駄な横パスが非常に多かったこと。
確かにカタールは引いていてスペースが無かったのは確かだが、
そこを打開していかなければ前へ運べない。
また視野が狭くフリーの選手がいてもわざわざ難しい方へ
パスをするというチグハグさも見られた。
判断力の鈍さなのか、まだまだ選手達お互いがそれぞれの動きの意図
理解しきれていないのか。
いずれにしてもこの状態のままでは、「走るサッカー」の実現には程遠い。

後半に入ると日本が主導権を握った。
左サイドを中心に攻撃を組みたてる。
先制点の場面はまさに左での展開から。
あれは決まってホントに良かったけど、気になったのはこのプレーの前。
ワンツーで俊輔からDF裏に通されたパスに遠藤が絡んだ場面。
同じ様なプレーが2度続いたが、いずれも時間が掛かりすぎて
相手DFにクリアされてしまった。
試合を決めるのはこのような場面でいかに得点に結びつけるかではないか。
相手はゴール前で日本のスピードに翻弄されていた。
シュートするのか、クロスを上げるのか。
判断力の遅さで折角のチャンスを逃してしまうのは今後への
攻撃における反省材料になるのではないだろうか。
守備的な今野はSB起用に戸惑っていたようだが、
その今野が素早くゴール前に送った勇気あるクロスが
先制点をアシストしたのは皮肉だった。

その後ややカタールが攻勢に出るものの、特にピンチには至らず。
追加点の欲しい日本も選手交代などで、攻撃の活性化を図るが、
大きな変化は起こらなかった。
終盤に入ると橋本を投入したに日本だが、
正直この交代の意図がよくわからなかった。
追加点を狙うのか、このまま守りきるのか、
チームの意識が曖昧だったと思う。

結局その直後に失点
阿部だけが責任を感じる事ではないが、ただ阿部の対応も悪かった。
後方にいた主審にはタックルで止めにいったとしか見えない。
試合を通して、しっかりファールを取っていた主審の癖を考慮し、
終盤の戦い方に活かせなかった。
FKの場面では、それまでにも何度かFKを蹴っていたセバスチャンの
球の質は十分にわかっていたはずだ。
にもかかわらず、日本の作った壁は中途半端だった。
緊張感の緩みか、ちょっとした判断ミスが同点弾を許してしまった。

失点直後の見事な攻撃は、「おっ入った」と思ったんだけどね・・・
結局日本の初戦はドロー。
もちろん勝ち点3は欲しかった。
が、個人的には意外な結果でもなかったかなと。
試合内容を見れば、両者には差があったし、
それをモノに出来なかった悔しさはある。
しかし初戦というものは何が起こってもおかしくない。
しかもこれはアジアカップだ。
アジアに関しては素人な監督も激高しているという報道があった。
一部の選手は相当落ち込んでいるという。
しかし大事なのはこれに顔を下げる事ではなくて、
同じ失敗を繰り返さない為にも経験を活かすということ。
経験豊かな選手達はその術を知っている。
精神的な部分からもグイグイチームを引っ張っていって欲しい。
ゴールを外したことも、失点の原因を作ったことも、全てが経験
特にオシムジャパンからの代表組にとっては。
寧ろ、初戦で国際大会の厳しさを体験できたことは、
今後へのプラス要素と考えたい。
苦しい状況の中にこそステップアアップのチャンスがあると思って、
全力を出しきって欲しいなあ。
そしてこの大会では監督には無条件で選手達の力を信じて欲しいぞ。
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