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S20年生、後期高齢ゾーン、人生最終コーナー「遊行期」の
徒然残日写真録

130623 瀬戸内寂聴著、「釈迦」を読む。煩悩、苦の根源は女にあり!!

2013年06月23日 | アフターセブンティ

 夫を捨て小説家の道を進み、色と金の俗世界を描き、女の生きざまを模索、子宮作家などと言われながらも小説を書き続け、金も地位も名声も男もわがものとした作家、瀬戸内寂聴。ほしいものはすべて手に入れた時、全てがむなしくなり50にして出家、仏の道にはいった寂聴さん。もう90歳。そんな住職にして作家の寂聴さんが80歳の時に80にして入滅された仏教の開祖、お釈迦様を描いた小説。なかなかおもしろかった。仏教のなんたるか、釈迦とはどんな人だったのか知るための格好の書物。釈迦の侍者として25年間ひたすら仕えたアーナンダの視点から釈迦入滅前の時点から過去を振り返る形で物語が展開されている。

 釈迦の説くこの世の中というのは3つある。一つは一切皆苦(この世はすべて苦)。徳川家康も同じことを言っていたね。二つは諸行無常(この世は移ろいゆくもの)平家物語の盛者必滅。三つは諸法無我(ひとりでは何もできない、すべてお陰様)。赤ちゃんはおギャーと苦しみながら生まれてきて、そして煩悩と苦の世界を死という必然の世界をめざして生きはじめる。しからばどうするか。執着を捨てれば涅槃寂静の澄んだ境地に到達できる。サッカーコンフェデ杯も結局3戦全敗。勝ちたい、勝つという執着心がザックジャパンには足りないという。まあ確かに負けてしゃあしゃあしていたら強くはならないだろうが。

 何も求めないことによる仏教の平静(ローリスクローリターン)か、何かを強く求める俗世界の苦悩(ハイリスクハイリターンか。戦後68年、ひたすらアメリカ流の豊かさを求め、24時間働き、テレビは消費をあおり、アメリカに次ぐ経済大国になり、確かに国民の生活は豊かになった。反面、パン食い競争で走者5人パン5個、誰も食いはぐれがないようにして軟弱な国民になった。アメリカの期待通りのニッポン。しかし格差やいじめや体罰や、無差別殺人、組織の不祥事や、それでも辞めないばかリーダーなどなど、心の豊かさは消失した。経済的にも中国に抜かれ、今世紀後半には人口も1億人をわり老人中小国家になりかねない。

 さて仏教。釈迦の教えは、人の苦しみは無明にあり、せんじ詰めれば肉欲という煩悩に絞られてしまう。肉欲の愛は喉が渇いたときに水をあがき求める渇愛であり、人の理性、知恵を焼きほろぼしてしまう。女のかぐわしき匂いと柔肌は男を狂わすが、それを女は武器として男をあやつる。2500年前、釈迦はインドネパール近郊のシャーカ族の王子として生まれ、結婚し、子供もできるが生老病死、愛別離苦、会者定離など心の安寧得られず出家、6年の苦行の末、悟りを開いたとされるが爾来ずっと女の出家は認めなかった。しかし唯一悟りを開いた世尊(釈迦)を生んだのは女性であるお母様でしょうとアーナンダにとかれしぶしぶ女の出家を認めた。しかしこのことで釈迦の仏道は500年その寿命をいじめるであろうと述懐している。面白い話だ。

日本に伝えられた大乗仏教は数千の宗派に分かれているらしいがその本旨は、自己を苦からいかに解脱せしめるか、悩める他者を苦悩から救済する慈悲の実践をいかに行うかであるとされる。現生を生きるか死ぬかの弱肉強食、共存共栄ではなく強存強栄と考えるなら、必死こいて弱者やライバルを蹴落としながら生きなければならない。がその執着心こそ苦の元、煩悩そのものであり、愛する家族にまで弊害をもたらし、自らにも害を及ぼす。

真理は中間にあり!!

 


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