僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

思い出の扉

2010-12-02 16:27:30 | 思い出
師走に入ると、いよいよ今年も残り少なくなってきたという実感がする。近くの公園の紅葉が深紅から赤茶けた色に変貌してきたのを眺めていると、痛切に世の無常を思わざるを得ない。

O・Henryの「最後の一葉」では病気で気弱になっているジョンジーを救うため、老画家のベアマンが渾身の一枚の蔦の葉の絵を煉瓦の壁に描ききって亡くなってしまう。
絶対に落葉することのない蔦の葉を見て、ジョンジーは生きる勇気が芽生えてくるのだ。

ちびまる子ちゃんの「佐々木じいさんの孫の受験」では、受験で苛立っている佐々木さんの孫が葉っぱが落ちると縁起が悪いから木を切ってくれと佐々木のじいさんに憎まれ口を叩くシーンがある。 けれど木を大事にする佐々木のじいさんの思惑が、孫の大切な思い出を喚起して本来の優しさを取り戻す。

私の実家には私が小学生の時よじ登って遊んだモミジの木がある。木に登って得意げの表情の写真が今でも手元に残っている。そのモミジの木は私が帰省したとき必ず私を招きいれて幼子の昔体験した空気を吹き込んでくれるのだ。