僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

不思議な体験

2008-05-04 01:02:29 | 思い出
 わたしは大学生のとき東京にいまして、不思議な出来事を2度ほど経験しました。
1度は電車の中で、見ず知らずのおじさんから10個の小さい鶏の卵をもらった事です。ありがたく、アパートに戻って、調理していただきました。
 2度目はボーリング場の近くで、やはり見ず知らずの酔ったおじさんが、
「これで飲みにでもいけ」
とお金を2000円よこそうとしました。
その時は知人がおり、
「大事なお金なんだから、だめだよおじさん! 家族のために使わなきゃ」
と断って、気持ちだけいただきました。

 たぶん2つの不思議な出来事は、私の身なりが貧しくてお金がないように見えたのだろうと推測しています。まだ世俗にまみれておらず、純朴そうにも見えたのかも知れません。(自分で言うのもなんですが)

良覚僧正

2008-05-04 00:40:10 | Weblog
公世の二位のせうとに、良覚僧正と聞えしは、極めて腹あしき人なりけり。
坊の傍に、大きなる榎の木のありければ、人、「榎木僧正」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木を伐られにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正」とぞ言ひける。(徒然草四十五段)

昔、良覚僧正というお坊さんがいました。位は高いが、きわめて腹黒い人だったので、世の評判がよくありませんでした。そのような人を本名で呼びたくなかったのか、人々はもっぱら、榎木僧正というあだ名で呼んでいました。その寺に、1本の大きな榎(えのき)があったからです。
こう呼ばれる事がシャクに触ったので、この木を切らせてしまいました。しかし幹はなくなっても、切り株は残ったので、人々は切株僧正という新しいあだ名をつけてしまいました。
ちきしょうめ!それなら・・・というのでその切り株を掘り起こしてしまいました。すると大木であったため、その跡におおきな穴ができ、これに雨水がたまって池ができました。人々は堀池僧正というあだ名をまたつけて、これをもって呼んだということです。

人に好かれないことは不幸であるが、その不幸の因は自分にあるのだから、好かれたいなら自分を改めなさいという戒めのお話でした。

文豪シラーの感受性

2008-05-04 00:17:28 | 文学
ドイツの文豪シラーは、1759年11月10日に、ドイツ西南部にあるヴュルテンベルク公国の小さな田舎町マールバッハに生まれました。
1775年からは、ロココ風の作品で知られるクロップシュトックの作品をよく読み1776年、初の詩集『夜』を出版します。心理学の例として学んだシェイクスピアの『オセロー』やゲーテの『若きウェルテルの悩み』、シュトゥルム・ウント・ドラング(ドイツ疾風怒濤)時代の諸作品に触発され、処女作『群盗』執筆を開始したのは1776年、シラー18歳のときでありました。

(シラーの生家)

このシラーが8歳の時、友人のカールと森に遊びに行ったことがありました。おりしも夕日が沈もうとしていて、その光線が木々の枝や葉の間から細かく漏れ、森の中は一時言葉にも尽くせぬ美しさを呈しました。
少年シラーは感動のあまり、友に向かって叫びました。
「おお、カールよ。なんという美しさだろう!僕が持っているものは何でも捨ててしまえるが、この美しさだけは捨てることができない。」
さすが幼くして、もはや天才詩人の一端を垣間見る事ができます。
感動しようがしまいが、世俗的な利益は何もありませんが、美しい風景に感じ入る人は心が豊かであるといえるでしょう。