僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

バラ

2008-05-06 16:51:57 | 短歌・俳句


原文: 美知乃倍乃 宇万良能宇礼尓 波保麻米乃 可良麻流伎美乎 波可礼加由加牟
作者: 丈部鳥(はせつかべのとり)

よみ: 道の辺(へ)の、茨(うまら)のうれに、延(は)ほ豆の、からまる君(きみ)を、はかれか行かむ
意味: 道端のうまら(ノイバラ)の先に絡(から)みつく豆のように、私に絡みつく君をおいて別れゆく。。。。。

天平勝宝(てんぴょうしょうほう)7年(755)2月9日に、上総國(かずさのくに)の防人(さきもり)を引率する役人である茨田連沙弥麻呂(まむたのむらじさみまろ)が進上したとされる歌の一つです。

防人(さきもり)として選ばれた丈部鳥(はせつかべのとり)という人が、奥様との別れを惜しんで詠んだ歌です。「行かないで。」と絡みつく奥様の様子が痛ましく感じられます。

 上記のように、日本でバラが最初に記述されているのは「万葉集」で「うまら」、「うばら」とあります。両方とも、「野いばら」のことです。

 万葉では 「宇万良」でしたが、「薔薇」という言葉が、この漢字の 「さうび」という音訓で古今集から登場してきます。そして、この「さうび」は万葉集の 「宇万良」とは別品種で、その頃中国から渡って来た新種の蓄薇でした。
           
               
    我はけさうひにぞ見つる花の色をあだなる物といふべかりけり

 これは紀貫之の歌です。
 平安初期に中国から渡来して、貫之の歌に詠まれたこの「さうび」は庚申バラというバラで、日本の野茨系とは違う中国原産の四季咲きで、現代バラ改良の母胎といわれている種類だそうです。










海胆

2008-05-06 16:20:06 | Weblog
海胆のお寿司はなんともいえない海の香りと、ねっとりしたその食感が好きです。高価なので、専ら回転寿司でのみですが。
 後醍醐天皇の延喜時代(西暦930)の枕草子に、「名おそろしきもの、いにすし、それも名のみよらず見るもおそろし」とあります。このすしは、うにを使った鮨の名で記録にのこっています。
 当時としては、ものすごく怪しげな食べ物だったのでしょうね。