浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

洗足学園音楽大学ブリティッシュブラス第39回定期演奏会~ブラスバンドによる英国とロシアの響き~

2014-07-06 23:19:14 | 吹奏楽

「ブラスバンド」って何でしょうか?
私にとって「ブラスバンド」と言えば、金管楽器+打楽器という認識を持っておりました。
じゃあ、どんな金管楽器で構成されているかと問われると“絶句”してしまうほどの曖昧な知識しか持っていません。
もともと、金管楽器の主材料である真鍮(しんちゅう)を英語ではbrass(ブラス)と言い、そのために金管楽器を主体とする楽団をブラスバンドと呼ぶようになったようです。
また、ブラスバンドと吹奏楽は、実際は違うものだと思うのですが、未だに混同している方も多いのが実情だと思います。
その中で正統派のブラスバンドが、「英国式ブラスバンド」ではないでしょうか?

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「英国式ブラスバンド」とは、サクソルン属の金管楽器とトロンボーン、打楽器で構成された金管バンドのこと。
サクソルンとは、サクソフォーンを開発した事でも知られる19世紀のベルギーの楽器製作者アドルフ・サックスが作った金管楽器群の総称です。
コルネット、ユーフォニアム、チューバ等の数多くの金管楽器がサクソルンから派生しているようですね。
また、これらの楽器を総称して“サクソルン属”と呼ぶようです。
学生の頃には金管楽器を吹いていた私ですが、このような奥深さが金管楽器にはあるなんて、ますます、正統派ブラスバンドの演奏に興味が湧いてきました…。

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2014年6月27日、金曜日。
何年振りでしょう、“この駅”に来たのは?
もう、10年以上来ていないような…。
この日は、洗足学園音楽大学の「ブリティッシュブラス第39回定期演奏会」に伺わせて頂くため“溝の口”に降り立ちました。
駅前もますます立派になっています。
南武線の線路沿い川崎駅方面にしばらく歩くと(洗足学園のHPを拝見しますと“徒歩6分”となってます)、程なくして、洗足学園音楽大学に到着。
大学の敷地内にある目的の「前田ホール」の場所は、知りませんでしたが、既に、“そこ”へ向かっているらしき人々の“列”が出来ています。

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前田ホール。
客席数1114、パイプオルガンも備えた堂々たるコンサートホールです。
HPでの説明によりますと日本で初めて建設された「シューボックス型」のホールだとの事。
『世界最高の音響と言われるウィーンのムジークフェラインスザール(ウィーン楽友協会ホール)を模範として設計』されたそうです。

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プログラムは、3つのパートにわかれており、第Ⅰ部が「基本編成」第Ⅱ部「中編成」第Ⅲ部「大編成」とステージが進むごとに演奏者が増えていくようですね。
(私は、ブリティッシュスタイルのブラスバンドのことは、よくわからないのですが、プラグラムにあるメンバーの欄を見てみると、基本編成が29名、中編成が103名、大編成が“基本”と“中”を合わせた数になっています。また、楽器編成も「Principal Cornet」「Solo Cornet」「Soprano Cornet」「2nd Cornet」「3rd Cornet」「Flugel Horn」「Solo Horn」「1st Horn」「2nd Horn」「1st Baritone」「2nd Baritone」「1st Trombone」「2nd Trombone」「Bass Trombone」「Principal Euphonium」「2nd Euphonium」「E♭ Bass」「B♭ Bass」「Percussion」と書いてあります。)

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指揮は、ロバート・チャイルズ博士と山本武雄氏。
チャイルズ博士は現在、英国ウェールズ大学でブラスバンドのディレクターをされている方で、“ブラスバンドの権威”として、多くの団体を指導され、輝かしい実績を残されています。
山本先生は、洗足学園音楽大学名誉教授で1972年日本初のブリティッシュスタイルの金管バンド「東京ブラスソサエティ」を創立されています。
英国ブラスバンド協会会員、指導者資格を持つ日本ブラスバンド界の“重鎮”です。

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そろそろ、時間のようです。
本格的なブリティッシュブラスの世界を楽しみましょう!

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[演奏]
洗足学園音楽大学ブリティッシュ ブラス

【第Ⅰ部】
基本編成によるブラスバンドのオリジナル作品

[指揮]ロバート・チャイルズ
      ◆ Music of Spheres 宇宙の音楽
        Philip Sparke フィリップ・スパーク

【第Ⅱ部】
中編成によるサウンドの違い

[指揮]山本 武雄
   ◆ Summon the Dragon サモン・ザ・ドラゴン
      Peter Graham ピーター・グレイアム
  ◆ Cantilena for Brass Band カンティレーナ(陽はまた昇る)
       Philip Sparke フィリップ・スパーク
        ◆ Vitae Aerernum 永遠の生命
     Paul Lavatt Cooper ポール・ロヴァット=クーパー

【第Ⅲ部】
大編成によるチャイコフスキーの世界

[指揮]ロバート・チャイルズ
    ◆ Romeo and Juliet Overture 「ロミオとジュリエット」より序曲
   P.I.Tchaikovsky/arr.E.Hockridge P.I.チャイコフスキー(E.ホックリッジ編曲)
     ◆ Slavonic March,op.31 スラヴ行進曲
   P.I.Tchaikovsky/arr.R.Childs P.I.チャイコフスキー(R.チャイルズ編曲)

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最初のステージ、吹奏楽ファンなら、皆さんご存知のスパーク「宇宙の音楽」です。
以前Youtubeでブラスバンド版の演奏を聴いたことがあります。(どこのバンドだか覚えていませんが。)
もちろん、演奏も素晴らしかったのですが、それ以上に金管のサウンドの方が標題音楽であるこの曲に合っているんじゃないかと思いました。
その“確認”も含めて演奏を聴かせて頂きました。
そして…、ビックリするほど素晴らしかった!
「宇宙の音楽」は、ブラスバンドが最高です!
今まで、プロも含めて、さまざまな吹奏楽団の「Music of Spheres」を聴いてきましたが、この曲の良さを最大限に引き出せるのはブラスバンドであると確信しました!(“原曲”ですから、当たり前、でしょうけど。)
そして、洗足学園音大ブリティッシュブラスの演奏は、その良さを最高な形にして観客に届けて頂いたのに感謝です。

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1曲目から、興奮してしまいました。(笑)
僅か30名弱の人数でこのようなサウンドの広がりを表現できるなんて驚きです。
金管楽器恐るべし、です。

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さて、第Ⅱ部は演奏者がかなり増えますね。
1曲目は、「サモン・ザ・ドラゴン」。
華やかで明るい曲調がブラスバンドにものすごく合っています。
人数も増えて、ますますスケール感の増した演奏でした。
次は、人気の作曲家フィリップ・スパークが東日本大震災の犠牲者、被災者のために作曲した「陽はまた昇る」。
と言っても、この日、演奏された曲は、「陽はまた昇る」の原曲である「カンティレーナ」。
プログラムの解説によりますと、『2011年4月29日と30日にノルウェーのシェーエン(文豪イプセンの生地)で開催されたブラスバンドの選手権「グレンランド・インターナショナル・ブラス・フェスティバル2011」における「教会音楽の讃美歌課題曲」として作曲され』たそうです。
作曲された経緯から言っても、大震災への鎮魂の想いが、ものすごく伝わる曲ですね。
心に響く演奏でした。
第Ⅱ部、最後の曲は、「永遠の生命」。
ブラスバンドの可能性を引き立てている曲だと思いました。
ブラスバンドの色々な側面を見せて頂いたような気がして、あっという間の演奏時間でした。
この曲を第Ⅱ部のトリに持ってきた理由がわかるような気がしました…。

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最後は、第3部は大編成によるオーケストラ曲、チャイコフスキーの音楽です。
一般的に吹奏楽で管弦楽曲を編曲した演奏を聴くとガッカリしたり、物足りなく感じてしまうことが多々あります。(特にチャイコフスキーは、弦楽器の比重が大きいので、その傾向が顕著だと思います。)
でも、この日の演奏は、そんなことを微塵も感じさせませんでした。
特に私の若かりし頃、吹奏楽の世界で大いに流行った「スラヴ行進曲」には感じ入りました!
オーケストラの響きとは違う世界の新しい“響き”を感じました。
オケが良いとかブラスの方が良いとか、そんな世界じゃなくて、“ブラスバンド”と言う別個の世界を現出していました。
ブラヴォーです!

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素晴らしいアンコール3曲のあと、演奏会は終了しました。
期待以上の演奏会でした。
正直言って、ブラスバンドにあらためて、ハマってしまいそうです…。

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また、演奏会から10日経ってしまいました…。
ゴメンナサイ…。


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