2012年のクリスマスイヴの昼下がり。
天皇誕生日の振替休日ということもあり、川口駅前は幸せそうなカップルや家族連れで溢れかえっています。
そんな幸福な時を過ごす可能性のない浦和の孤独なオヤジは、川口リリアのメインホールへと向かうのでした。(そう言えば、川口リリアって正式名称で言うと「川口総合文化センター」と言うんですね。)
私の大好きな川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団の演奏会に行くためです。
今回は、“イヴのクリスマスコンサート”と銘打ち、今まで見て来た演奏会とは趣が違うようですが、どんなパフォーマンスをみせてくれるか、非常に楽しみです。
[演奏] 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団
[指揮] 福本信太郎
【Ⅰ部】
● リバティ・ファンファーレ (J.ウィリアムズ/J.ボコック編)
● バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71aより
(P.I.チャイコフスキー/木村吉宏、M.ハインズレー編)
Ⅰ.小序曲
Ⅱ.行進曲
Ⅲ.金平糖の精の踊り
Ⅳ.ロシア舞曲 トレパーク
Ⅴ.葦笛の踊り
Ⅵ.花のワルツ
● エルサレム賛歌~アルメニアの復活祭の賛歌による変奏曲~ (A.リード)
( 休 憩 )
【Ⅱ部】
「アレンジの巨匠 真島俊夫の世界」
リベルテが贈る音楽のクリスマスプレゼント!
開演前や休憩中に、いつもはホワイエのところで、団員OBの方々が小編成アンサンブルでロビーコンサートをやっているのですが、今回はないようですね?
舞台上ではクリスマスツリーやイルミネーションが飾られており、クリスマスの雰囲気満載です。
会場は満員といっても良いほどのたくさんのお客さんで埋め尽くされていて、熱気ムンムンです。
さあ、開演の時間になりました。
前半のⅠ部は、純粋な楽曲演奏のステージです。
しかし、選曲は、やはりクリスマスを意識したものでした。
1曲目の「リバティ・ファンファーレ」。
(実は、この日から6日前に武蔵野音大の演奏を聴いています。)
さすが、リベルテ、いつもの素晴らしいサウンドです。
が、最初の曲であったためか、多少アンサンブルに違和感を感じました。
2曲目は、「くるみ割り人形」ですね。
クリスマスらしいステキな選曲です。
以前、ネットで、どなたかのブログに「吹奏楽の演奏でチャイコフスキーは鬼門だ。」と言う趣旨のことを書いてあるのを目にしたことがあります。
つまり、弦の表現力の豊かさを具現化できないからだということらしいのです。
しかし、私は弦楽器に対抗しようとするのが、土台無理なのであって、吹奏楽では、何か素晴らしい「別のモノ」を作り上げればよいのではないかと思うのです。
リベルテの演奏は、“素晴らしい「別のモノ」”を作り上げていました。
技術を超えた表現力に非常に魅力を感じます。
まるで、「くるみ割り人形」を題材にしたディズニーアニメを見ているかのようなひと時でした…。
Ⅰ部、最後の曲はの「エルサレム賛歌」。
時折、吹奏楽のコンサート等で聴かせて頂いてる巨匠アルフレッド・リードの名曲です。
会場を大いに盛り上げる熱演でした。
下手(しもて)側2階席に陣取ったバンダ(トランペット)の皆さんの演奏も効果的でした。
ここで、15分間の休憩。
Ⅱ部は、プログラムにアバウトな事しか書いてなくて、謎です。
真島先生特集だということですから、硬軟交えて、楽しいステージになることでしょう!
まさか、高校生の演奏会にありがちな学園祭ノリの演出はしないと思いますが…。
(真島俊夫先生といえば、吹奏楽のオリジナル曲の作曲はもちろん、吹奏楽のためにジャズやポピュラー音楽、映画音楽等、幅広いジャンルの吹奏楽アレンジをして下さっている巨匠です。現在、吹奏楽をやってる者、吹奏楽ファンで名前を知らない人間がいないと言っても過言ではない存在です。)
Ⅱ部の開演のベルが鳴り終わると同時に舞台、客席、ホール内の照明が消えていきます。
ただ、舞台上でクリスマスツリーのイルミネーションだけがきらびやかに輝いています。
しばらくすると、ホール内のあちこちの入り口から、蛍光スティック(正式には“ケミカルライト”というらしい。歌手のコンサート等で客が振ってるヤツ。)を持った人々が入場してきます。
どうやら、アンサンブルリベルテの団員の皆さんのようです。
そして、全員が舞台上に揃うと照明がつきました。
みると、皆さんクリスマスにちなんだ思い思いの格好をしています。
登場した福本先生もいろんなもの(ツリーのワッペンみたいなものとか…)を身体にくっつけていて楽しそうです。
いい演出です。
それからのステージはとても楽しませて頂きました。
小さい子から、お年寄りに至るまで楽しい時を過ごせたと思います。
Ⅱ部は5つのパートに分かれていて、クリスマスソングメドレー、ジブリメドレー、ディズニーメドレーやチック・コリアのジャズの名曲「スペイン」を演奏したりして聴きごたえがありました。
また、ただ演奏しているだけではなく、ミニーマウスの着ぐるみ(かぶりもの?)を着たトランペットソロとか随所にアットホームな演出があり、よかったですね。
しかも、その全ての曲が真島先生のアレンジによるものだとのことで、スゴイ!
うれしいことに、Ⅱ部なかばあたりで、来場されていた真島先生が壇上に上がり、福本先生のインタビューに色々なお話をして下さったも興味深い事でした。
特に「鳳凰が舞う」でフランスのクード・ヴァン国際交響吹奏楽作曲コンクールでグランプリを受賞なさった時のエピソードが面白かった。(「鳳凰が舞う」は実はアンサンブルリベルテの委嘱作品だったんですね。知らなかった。)
そして、その真島先生の委嘱作品で今年のアンサンブルコンテストに参加している打楽器パートの皆さんの演奏が圧巻でした!(委嘱作品の曲名は「きぼうのうみ」だったと思います。聞き書きなので間違っているかもしれませんし、漢字の表記もわかりません。悪しからず。)
アンコールはリベルテ恒例、指揮の福本信太郎先生のサックスソロです。(福本先生は本来はプロのサックス奏者なのです。)
曲名は、「ザ・クリスマスソング」。
福本先生の奏でる甘い調べに会場中が酔いしれました!
アンコール2曲目、そして、最後の曲は“スーザス・ホリデイ「星条旗よ永遠なれ」”。
ジャズテイストにアレンジしてある「星条旗~」です。
愉快な曲でした。
こうして、楽しいコンサートは終了しました。
何とⅡ部以降はアンコールの2曲にいたるまで、真島先生の手によるものでした。(特に「ザ・クリスマスソング」はアンサンブルリベルテの委嘱作品だそうです。)
ステキな“真島ワールド”を満喫させて頂きました。
演奏会が終わって、外に出てみると川口の街は夕方の風景にかわっていました。
寒風吹きすさぶ中、現実に引き戻された浦和のオヤジは家路を急ぐのでした。
それにしても、川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団。
ステキなイヴのひと時をありがとう!
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