昨年の今日、うちの定置網で獲れた謎なクロダイ属の魚。その日のうちに鹿児島大学へ持ち込んだものの、その場では同定できずに終わる。後日、魚ボラの先生が見て、その特徴的な顔つきに見覚えがあり、調べたところ日本ではまだ見つかっていないAcanthopagrus taiwanensis Iwatsuki and Carpenter, 2006と同定される。そして日本魚類学雑誌に論文が投稿され、標準和名をイワツキクロダイと提唱される。種名のイワツキとは魚類学者で宮崎大学教授の岩槻教授である。岩槻教授は魚ボラの先生の恩師である。またこの魚を新種記載したのも岩槻教授である。新種記載したのも岩槻教授であり、先生からの要望もあったので今回イワツキクロダイとなる。これで魚ボラの先生も恩師に恩返しができたのではないだろうか。魚ボラの先生には私もサクヤヒメジの学名やイトウオニヒラアジの標準和名に私の名を付けて頂いた。うちの網でこのイワツキクロダイを確保することができたので、私も魚ボラの先生に少しは恩返しができただろうか。今度は魚ボラの先生用にオニカサゴ属の未記載種もしくは未記録種を見つけ出し、学生に論文を書いてもらい、魚ボラの先生の名を付ける番である。それで学生達共々と恩返しをすることが一番の理想である。
上:イワツキクロダイ 下:クロダイ