新・空と鷹と鉄の間に

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万葉の四季電車

2016-08-26 20:29:56 | 鉄道

和歌山駅に到着するとホームの反対側にこんな電車が停車していました。

万葉の四季電車です。奈良と高田の間を結ぶJR桜井線は万葉集に詠まれたゆかりの土地を走るのでJRになってから万葉まほろば線という愛称が付けられています。その桜井線を走る105系電車は吹田総合車両所日根野支所新在家派出に所属しており、桜井線と和歌山線で共通に運用されています。そのため和歌山線でも万葉の四季電車が走っています。
この万葉の四季電車は万葉集に詠まれた四季の歌をモチーフにしてラッピングがされており、2両で春夏秋冬の歌が楽しめるようになっています。それではここからは古文のお勉強です😁

春されば まづ咲く宿の 梅の花 独り見つつや 春日暮さむ   山上憶良
山上憶良は奈良時代初期の貴族・歌人で筑前守として大宰府にも着任していたことがあります。この歌はその大宰府での梅花宴の際に詠んだ歌です。

春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣乾したり 天の香具山   持統天皇
持統天皇は天武天皇の妃で第41代の天皇です。この歌は小倉百人一首にも収録されているので、耳覚えのある歌かと思われます。しかし若干百人一首と違うのは万葉集の時代には漢文を基とした万葉仮名が使われており、のちに仮名文字にする際に解釈の違いが出たものと思われます。

秋山の 黄葉を茂み 迷ひぬる 妹を求めむ 山道知らずも   柿本人麻呂
柿本人麻呂は飛鳥時代の歌人で三十六歌仙にも選ばれているほどこの時代を代表する歌人です。この歌は妻を亡くした悲しみを読んだ歌です。妹は古くは妻のことを指す語でもありました。

降る雪は あはにな降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに   穂積皇子
穂積皇子は天武天皇の第五皇子で知太政官事に任ぜられました。この歌はかつて愛し合った但馬皇女薨去後に降る雪の中、墓を見て悲しんで読んだ歌です。叶わぬ恋となったかつての恋人の墓の前で涙する男の悲哀がにじみ出る歌です。

万葉集に乗せられた四季の歌を見ながら反対側の先頭車に行くと、こんな顔をしています。東京に在住で、常磐線・地下鉄千代田線・中央総武線・地下鉄東西線を利用されていた方ならなんとなく見覚えのある顔だと思われます。元は地下鉄千代田線・常磐緩行線直通用に製造された103系1000番台車で、203系投入後に105系に改造されてこちらにやってきました。電動車は中間車から改造されたので新規運転台を取り付けていますが、制御車は種車のものを使っているのでこのように懐かしい顔に出会うことができます。


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