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哲学の科学

science of philosophy

絶滅する人々(5)

2015-11-14 | yy48絶滅する人々

女性に限らず男性も含めて、成人したばかりの若い人々が社会的経済的に安定できる位置を獲得しようとすることは、原始時代以来いつの時代でも同じだったでしょう。栄養供給システムの中心である集団に帰属し、その集団と運動を共鳴させる。それは人類の身体に埋め込まれた社会性であり、それによって原始人類は地球上ほとんどの地域で生存繁殖し、大発展を遂げてきました。それを結果的に、経済学的観点からみれば、生産活動の拠点への参加です。
狩猟採集時代は、それが狩猟の単位である大家族・への参加であり、農耕牧畜の時代は農村・都市国家への参加であり、それらの参加は婚姻を介して集団の単位である家族へ組み込まれることでした。生産拠点における生産の単位である家族とそれに埋め込まれた婚姻の内部で妊娠出産育児が行われ人口を維持する仕組みが働いていました。
それぞれの時代の生産活動が異なることから生産の拠点の形態も大きく異なっています
狩猟採集の時代であれば狩猟と採集の集団。農耕牧畜の時代であれば、農作業や道具製作の集団、武力活動の場合は軍隊。また百年前の近代先進国社会では、産業生産の拠点、すなわち企業、政府、学校、軍隊など組織機構への就職でしょう。
いずれの場合も、これら生産拠点は家庭を包含しそれを基礎単位として存立していました。その家庭には婚姻が埋め込まれ、婚姻の内部で妊娠出産育児のサイクルが稼働できるような、完結した生存繁殖システムとなっていました。

婚姻が埋め込まれている家族の機能は、社会の生産形態の変化に応じて変わってきました。狩猟採集の時代は、家族を包含する大家族集団が生産つまり食料獲得の基本単位でした。家族が集団で家の外に出ていき、食料を採取して家へ持ち帰る。食料は大家族の間で必要に応じて分配されたでしょう。この栄養供給システムにおいて最適な身体を保有する人類が発展し増殖して、今日の現生人類の祖先となったはずです。
農耕牧畜の時代にも家族は生産の基本単位であったでしょう。やはり家族は集団で生産し、交換で入手したものも含めて、食料は家族内で分配されました。
ところが前世紀ころまでに、先進国では、大多数の人々が都市労働者となって産業市場に参加する高度産業化時代となります。賃金あるいは貨幣を介して食料等必要物資を獲得する生活では、家族は消費の単位ではあっても生産の単位ではなくなります。
家族の生産によって供給されていた生活必要物資は、産業化にともなって、会社と市場を介して流れるように変化します。生産拠点のこの変化と婚姻の条件変化が関係しているのではないでしょうか?








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