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哲学の科学

science of philosophy

坂の存在論(3)

2025-03-08 | その他


池上通りは、大森駅からJR京浜東北線を離れて、南西に進み池上駅に向かいます。大森から南ではJRは直進しますが、ここから武蔵野台地の崖線は(多摩川にさえぎられて)右にカーブして西へ向かい、さらに東急池上線に沿って、北に向かってUターンしていきます。つまり池上通りと池上線(の千鳥町駅まで)はこの台地の崖線に沿って作られている、といえます。
二〇二一年に池上駅がリニューアルしてきれいな駅ビルができた際に、大田区立池上図書館が移転して入居しました。移転前は歩いて五分ほどの池上本門寺山門前にありました。この寺の参道は長く急峻な石段になっていて、まさに武蔵野台地の端です。脇にあった図書館には小学生のころよく行っていました。図書館よりも裏の崖を上って蝉取りなどをしていた覚えがあります。
本門寺の崖の上は五重塔のあたりから平坦な台地になっていて墓地と森が広がっていました。樫の大木の幹にナイフで自分の名を刻みました。大人になってからふと心配になって見に行きました。薄い傷跡があるようですが、まったく読める跡には見えませんでした。
このあたりから武蔵野台地の崖線は多摩川の河岸段丘と重なって西から北に向かいます。千鳥町駅東側の崖まで池上線は武蔵野台地の西端を走りますが、ここから久が原駅に向かって北の高台に上っていきます。崖線のほうは池上線と別れて、左へカーブし、西へ進みます。崖に沿って進むと細い道が(東急多摩川線)鵜の木駅へ降りていきます。降りる道の坂上に、昔大きな空き地があって、雨が降ると泥でぬかるものの、ごく安い料金で近所の人に駐車させてくれていたので使っていました。新婚で借り家住まいの貧乏サラリーマンが、昭和時代の東京で車を所有できたのも、この空き地駐車場のおかげでした。
この空き地がある高台は、多摩川に沿って南下してきた国分寺崖線の南端といえます。武蔵野台地が東京湾に削られた突端です。駐車していた当時は、地形など興味もなく、車が崖のほうへずれ落ちないように気を付けていただけでした。今、グーグルストリートビューを見ると狭い坂道を主婦らしい人が上っていくところが写っています。
ここから北の国分寺崖線は、多摩川の東岸に切り立つ崖になって、尾山台まで平らな台地はありません。多摩川に接する高台になっている東急多摩川駅西の多摩川台公園は亀甲山古墳群が築かれています。古代人も多摩川を見下ろす眺望が気に入っていたのでしょう。東急多摩川駅東の崖は武蔵野台地特有の湧水が絶え間なく湧き出ています。ここは昔、多摩川園という子供には最高の遊園地で、小学生の筆者は、入場料を払わずに忍び込める裏柵の隙間を捜し歩きました。
尾山台西端を通る国分寺崖線は、野川が多摩川に合流する二子玉川のあたりまで多摩川に沿って武蔵野台地の西南崖線を作っていますが、喜多見あたりから北は、多摩川との間に大きな扇状台地を作っています。野川の源流は、武蔵国分寺史跡都立公園の北側日立中央研究所の湧水池です。ここから始まる野川は国分寺崖線にそって扇状台地の北端崖線の下を二子玉川に向かって流れています。国分寺崖上の借り家で長女の幼稚園、小中学時代の子育てをしていましたので、この周辺の野原を遊びに連れ歩いていました。





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