今日の「お気に入り」。
「 だいぶ年をとってきた。スキーでは、急斜面も新雪でも転ばなかった僕が、けっして転ばない
ような緩斜面で転んで骨折した。単にドジだったわけではない。体力が衰えて、運動神経が少し
ずつにぶくなってきたのだ。これが年をとるということなんだろう。少しずつ死が近づいてきて
いると思う。
もしも、孫たちから『何で人は死ぬのか』と聞かれたら、僕はこう答える。
『生きているすべての命には限りがあるんだよ。秋になると木の葉は枯れるだろう。落葉は大地
に栄養を与える。季節が変わり、春に新しい緑を育てるために葉は散るんだよ』
夏が終わって秋がくれば、僕も葉を落とす。たんたんと、たんたんと、葉を落とす。
そうやって死んでいく。
僕が『がんばらない』という本に書いた言葉がある。
『今日は死ぬのに、とてもいい日だ』
死が近づいたときに、こんな言葉を言えたらいいなあと思っている。」
(鎌田實著「大・大往生」小学館刊 所収)
「 だいぶ年をとってきた。スキーでは、急斜面も新雪でも転ばなかった僕が、けっして転ばない
ような緩斜面で転んで骨折した。単にドジだったわけではない。体力が衰えて、運動神経が少し
ずつにぶくなってきたのだ。これが年をとるということなんだろう。少しずつ死が近づいてきて
いると思う。
もしも、孫たちから『何で人は死ぬのか』と聞かれたら、僕はこう答える。
『生きているすべての命には限りがあるんだよ。秋になると木の葉は枯れるだろう。落葉は大地
に栄養を与える。季節が変わり、春に新しい緑を育てるために葉は散るんだよ』
夏が終わって秋がくれば、僕も葉を落とす。たんたんと、たんたんと、葉を落とす。
そうやって死んでいく。
僕が『がんばらない』という本に書いた言葉がある。
『今日は死ぬのに、とてもいい日だ』
死が近づいたときに、こんな言葉を言えたらいいなあと思っている。」
(鎌田實著「大・大往生」小学館刊 所収)