国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

楽しいジャズを聴こう!

2010年04月27日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
ここのところ仕事で息つく暇もなく、
普段聴きのジャズもついつい知ったものばかり手に取ってしまい
それでほっと一息をついてしまう状況だ。

新しいアルバムを手に取るのは結構大変だ。
ジャズに限らず一回聴いただけでその全てが味わい尽くせるわけではない。
何度も繰り返し聴くことで
その曲やアルバムのうま味が耳の奥に染み渡ってくる。
聴いたことのないアルバムを初めて聴くということは
その作業の第一歩であり、
どっしりと音楽に対して構える必要もあるため
気分が向いていないとそのアルバムとの出会いも面白くないものになってしまう。
ましてセロニアス・モンクのようにちょっとクセのある
ジャズミュージシャンはそのうま味を味わうにも時間がかかる。

今日のアルバムはその名も『モンク』である。
白黒の写真で横顔が浮かび上がるようで、
タバコをくゆらせているちょっと渋いジャケットである。

ところがジャケットとは裏腹に結構聴きやすいアルバムである。
モンクは相変わらずのちょっと突っかかるようなピアノなのだが、
よくよく耳を向けると
それがきっちりとしたテクニックに裏付けられたものであることが分かる。
特にモンクがソロで演奏する4曲目の「アイ・ラヴ・ユー」では、
確かに独特のパッセージが出てくるのだが、
迷いなく鍵盤を叩くモンクのメロディーには曲のよどみが感じられない。
喜々としてメロディーを紡ぎ出すモンクの指は跳ねるように軽やかだ。

3曲目「チルドレンズ・ソング」では盟友のテナーマン、チャーリー・ラウズと
単純明快なメロディーを響かせる。
モンクに付き合うラウズのテナーもどこか楽しげで気負いがない。

モンクはつかみ所がないと感じたりもするが、
これは早く手に取ればよかったと後悔の1枚である。
聴くジャズはやっぱり楽しくないと。