国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

えっ、この人がこんな進化を…

2010年04月25日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
「まさか!」という人が急に目立ちだしたりすることがある。

昔あれだけのジャズ・ジャイアントが、1つの時代にかたまって出てきたのは
奇跡に類することだろう。
だが、その状況懐かしい昔の話。
確かにミュージシャンの技量は上昇傾向にあるのに、
そのジャズに一向に惹かれないのは一体何なのであろうか?

やっぱりぐぐいっとジャズを押し上げてくれるような人がいなくては
ジャズもただのムード音楽になっていってしまう。
そんな中で注目すべきミュージシャンがいた。
ポール・モチアンである。

「誰?」と思った人は正しい反応だろう。
「どこかで聞いたことがある名前だなぁ」と思った人はなかなかいい反応である。
「モチ屋? ジャズとモチが関係あるのか?」と思った人は
来年の正月が待ちきれない人だろう。
「あれ、エヴァンスとやってた人じゃない?」と思った人は正解である。

エヴァンスのファーストトリオでドラマーだった人である。
モチアンはキース・ジャレットとも共演をしており、
名だたるピアニストと演奏をしてきた人でもあるのだ。

そのモチアンが「あれ? ジャズ界をちょっと引っ張っちゃってるんじゃないの?」
という状況が生まれたのが、90年代に入ってからのことである。
古巣のヴィレッジ・バンガードでライブを行い、
それを定期的に忘れずにアルバムとして発売する。
エヴァンストリオ時代のイメージから遠く離れ、
エレキであれ、大人数であれ、ベース抜きであれ
何か新しいものを模索している様子が伝わってくる。

今をときめくビル・フリゼールと共演した『サウンド・オブ・ラヴ』
ふわぁ~んとした浮遊感漂う時代を象徴するようなジャズ。
ここには知らぬ間にジャズ界の「おふくろさん」となり、
若手を発掘しながら、新しいジャズを目指すモチアンの姿がある。