国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

美女に会うためには忍耐が必要だ!

2010年02月16日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
クリフォード・ブラウンの凄さはすぐに分かった。
名盤『バードランドの夜』を聴いて、
そのトランペットの響きに耳をとらわれない人はいないだろう。
生粋のジャズミュージシャンであり、
ヘタな小細工がなくともその音だけでしびれさせてくれる。
クリフォード・ブラウン、何てスゴイヤツだ。

だがクリフォード・ブラウンとマックス・ローチの双頭バンド
『クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ』は、全然ピンとこなかった。
あれほどクリフォード・ブラウンに惹かれていたのに、
このアルバムは聴いてもその凄みを感じることができなかった。

理由を考えてみれば1曲目の「デライラ」に問題があるように思えた。
サイドなど気にもしてなかったので
すぐにあのクリフォードのプルッと耳当たりの良いトランペットが
聴けると思っていたのに、どうも迫力に欠ける。
今になってサイドを確認してみれば、
どうもテナーのハロルド・ランドと聞き分けをちゃんとしていなかったようだ。
「ながら聴き」の良くないところがあらわになってしまった。
もう1つが演奏時間である。
8分少々の演奏は入門当所の僕には退屈であった。
「デライラ」で躓き、その後は済し崩しに聞き流していては
面白味などあったもんじゃない。

再びこのアルバムと出会ったのは「いーぐる」である。
「デライラ」の出だし、ジョージ・モロウのぶっといベース音が
オリエンタルな雰囲気をかもし出す。
重ねてエネルギー不足と感じられたハロルド・ランドのテナーが
リズムメロディーを奏でる。
そこへクリフォードがテーマで乗れば、「キター!」である。
旧約聖書の妖艶な美女「デライラ」が艶めかしくうごめく姿が見える。

オーディオのよさもあっただろうが、
やっぱりジャズは繰り返し聴くことと忍耐が必要だと分かった1枚である。