国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

脳内に麻薬のごとく染み渡る

2010年02月04日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
まず何から語ればいいのか…
とにかくそんな思いにとらわれ、昨日は全く書けなくなってしまった。
そもそもこれをジャズととらえるべきか否かという疑問まで浮かび、
結局「ジャズとはなんぞや?」という根本的問題にまで頭を悩ませてしまう。
だが一夜たち、再び聴いてみれば
そんな悩みなど全く必要ないものであることに気づいた。
だってもうひたすら気持ちがいいだけなんだもん。

高音も低音も炸裂し続けるアルトサックス
鋭くエッジの立ったギターの響き
もうワケなどないほどに燃え上がるドラム
一体どこから出しているのかと思う絶叫

それが26トラックもあれば、
いつの間にか「ジャズとは?」という疑問も取るに足らないものだと気づくだろう。
しかも26トラック全てが持っている音色が異なる。
ジャズかと思えば、ポップスに変わり、
荘厳で陰鬱なメロディーが流れれば、
次の瞬間にはコンピューターゲームか、キャッチホンで使われそうな電子音楽となる。
曲の途中でも平気で拍子やメロディーが変わり、どんなおもちゃ箱かといった具合だ。

1度目聴いたときはワケが分からず、
ジャケットのグロテスクさにやられて手に取るのもイヤになり、
2度目に聴いたときにはその迫力に圧倒され、
そして3度目の正直ではないが、随分と歩み寄ってしまった。

ジョン・ゾーンの『ネイキッド・シティ』
ジャズの紹介本にもロックの紹介本にもその姿を現す混沌とした1枚だ。
とにかく耳に突き刺さるように音に鋭さがある。
うるさいのではない。
騒々しいのではない。
エネルギーの塊が一気に襲いかかってくる感じだ。
ちょっとやそっとの音楽なら今の時代コンピューターが作ってくれる。
だが、これは全て人力で作り出した混沌なのだ。

そしてその混沌はやがて笑いへとつながる。
だって、「ジェームス・ポンドのテーマ」が出てきたときには
思わず笑っちゃうでしょ、誰だって。

これがジャズであるかどうかはひとまず置いておいて、
とにかくその渦の中に飛び込んで流されていくしかないだろう。