国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

こんな寒い雪の夜には

2010年02月01日 | マスターの独り言(日々色々なこと)
外は深々と雪が降っている。
関東で雪が積もるのもひさしぶりのことである。
明後日が節分であることを考えると
随分と遅い雪であるが、全ての音を吸収していく雪の夜は静かである。

今日から2月ということで
「さぁ、何を聴こうか」と思えば、パーカーを手に取ってしまう。
一時期はパーカーばかりを聴いていたが、その凄みに毎日ふれるのは少々厳しい。
ここぞというときに取り出してこそジャズの深みを味わうことができる。
それなりに多くのアルバムを聴いてきたが、やはりパーカーは別格だ。
大きく包み込むような艶のあるアルトの音色と
それこそ息の継ぎ目も感じさせないタンギング。
ぐーっと脳天を引っ張っていくようなアドリブの飛翔度。
1947、48年のパーカーも徐々に衰え始めたころのサヴォイセッション。
「クラウンスタンス」や「バード・ゲッツ・ザ・ワーム」のような高速の演奏あり、
「バルバドス」や「アー・リュー・チャ」のような陽気でリラックスした演奏ありと
ここにパーカーの凄みを感じてしまう。

よくパーカーには歌心がないというようなことを本などで読むが、
僕は決してそうは思わない。
何もない空間に、まるで最初からラインがあったかのように紡ぎ出されるメロディーは、
今の音楽にありがちな分かりやすく、親しみやすいものではない。
だが聴く者を熱狂させ、耳の奥に深く沈み込むその演奏は、
まさに「バード」というあだ名に相応しく、優雅に飛び立つ大鷲のごとくである。
トランペッターのマイルスも徐々にパーカーとの演奏に慣れてきている時期であるが、
それでも必死に食らいつこうとしている様子が演奏からうかがえる。
のちの帝王でさえ、パーカーにはついていくことがやっとだったのだ。

静かな雪の夜にパーカーのアルトの音色は優しく溶け込み、時間は緩やかに流れていく。