寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

英和辞典の売場本棚を新設した。

2010年06月07日 17時46分18秒 | オンライン古書店
英和辞典なんて学校を出てしまえば必要ないし、
どれも同じようで、取りあえず昔使った研究社の『UNION英和辞典』が一冊あれば事足りるなどと高を括っていたが、どうしてどうしてこの分野も奥が深い。巷では電子辞書が隆盛を極め、新刊書店の英和辞典コーナーでも重たい辞書なんかどんどん隅のほうに追いやられて活気がない。古書古本の買い取りにしても、辞書や辞典の類は厄介者でなるべくなら敬遠したいところだが、どっこいこの英和辞典なるものが最近気になって仕方がない。小説家がその生涯に小説を次々に書くように、一人の編者も5年、10年という長いスパンではあるが刷を重ね、改訂増補を経て、遂には版を新しくして次の1冊を世に送り出す。辞書1冊には編者以下何十人という制作に携わる人の魂が注がれている。その気の遠くなるような細かな作業は常人の想像をはるかに超越している。英語の神様と敬慕された岩崎民平はかって、「辞書は造られた日から古くなる」と言った。艱難辛苦の末に上梓したその瞬間からもう次の辞書に取り掛からねばならないのだ。使い古した辞書は二束三文で誰にも相手にされない。しかし寅の子文庫では、おちゃのこショップに新しく英和辞典のコーナーを設けた。新旧さまざまな辞書、一度使命を終えた辞書を甦らせたい。


◎研究社/新英和大辞典/第4版第1刷1960年/定価6000円
顧問・市河三喜/編集主幹・岩崎民平、河村重次郎
研究社の新英和大辞典は6版が最新版だが所謂、辞書好きにはこの4版が堪えられない。執筆陣を見れば語彙と語義を担当した河村重次郎は1964年、三省堂から『カレッジクラウン英和辞典』を世に送り、語原を執筆した中島文雄は1970年『岩波英和大辞典』の編集者の重責を担った。また、この頃東京外語大助教授であった竹林滋(現名誉教授)は1972年、恩師である岩崎民平喜寿の祝いに研究社から『UNION英和辞典』を発刊、その後ユニオン英和は『ライトハウス英和辞典』と改称して現在5版を重ね、高校生の間で一番人気の学習英和辞典に成長している。

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