昨年末に発表された、奨学金の返還滞納者について信用情報機関に報告する=いわゆるブラックリストに掲載する=という日本学生支援機構の方針に対し、反対の声が上がっている。25日には、東京と大阪でデモや集会が行われるという(下記参照)。
いやぁ、私自身、高校、大学と奨学金を使わせてもらったんですがね、もし、奨学金制度がなかったら、と考えると、人生がずいぶん違っただろうなと思わざる得ない。まぁ、それでも、親は何とかしてくれたかもしれないが、正直、大学を卒業することは難しかったかもしれない。
ほかにもそういう人は結構多いと思う。だから、利用者はこの制度の存在に感謝しているし、余裕があれば、返済するつもりはあると思う。
それにもかかわらず、「平成19年度末の返還状況について見ると、延滞分を含む要返還額3,175億円に対して、2,515億円が返還され未返還額は660億円となって」いるのが現状のようだ(日本学生支援機構ウェブサイト)。なぜ、これだけ滞納されているのかは分からないが、大変な額であることは間違いない。
日本学生支援機構は、独立行政法人化したことで回収もきっちり行うようにとの政府からの指導が行われるようになり、ブラックリスト化まで行うこととしたようだ。
まぁ、返すことができるのに返さない人がいるのだろうから、それは問題だが、信用情報機関への通報が、わずか、3ヶ月の滞納でなされてしまうというのも、ちょっと早すぎるようにも思う。
…な~んて考えつつ、下記の集会案内を読んでいたところ、そもそも「日本の学費が高い」という問題をスルーすることはできないと思い至った。
そう、素晴らしい学生を育てることは、その人だけでなく、社会全体にとってメリットがあることだから、学費を限りなくゼロに近くして、できるだけ、多くの人に大学で学んでもらうチャンスをもってもらうことは重要なことだ。
それなのに、日本は学費がどんどん高くなっていく。
そもそも、中学受験だなんだって、金持ち優遇社会になっている。それに加え、大学の学費まで高いというのは、かなり厳しい。経済的理由で、進学を断念する人も多いのではないだろうか。
もちろん、少子化によって、進学率そのものが低くなることはないのかもしれないが、もし、当たり前のように大学進学をするようになるのだとしたら、それこそ、無料にしたっておかしくないわけだ。
キーワードは、多様性。いまの学費では大学に進学できないような人も望めば大学に進学し、社会に役立つ人材となってもらう…そういうことで、多様な人材が育つことになる。
学費の高さは、「俺さえよければいい度」の高さを表しているように思う。そのことを私たちは恥じなければならないし、そのような情報を市民に伝えず、格差社会の維持を図ろうとしている政官財の連中には厳しい批判の目を注がなければならない。
そして、学費無料化に逆行する、学生支援機構の滞納者ブラックリスト化には、やはり反対せざる得ない。
※グラフは:http://www.dylj.or.jp/site/special/student/gakuhi_1.html
■■ シンポジウムのご案内 ■■
「ブラックリスト化反対!学費を無料に!」
2008年末、日本学生支援機構が「奨学金滞納者のブラックリスト化」を発表しました。
これは、奨学金返済が三ヵ月以上滞った人を金融機関に通報し、クレジットカードを作ることや銀行ローンを組むことを困難にするというものです。さらにこのようなリストが出まわれば、アパートを借りることすらままならなくなるでしょう。
そもそも大学生の半数が奨学金を借りているのは、学費が高いからです。日本にいるとついつい忘れがちですが、世界的には学費が無料でないことがおかしい。高等教育は誰でも受けられるはずのものです。
大学では教員ばかりでなく、学生も研究活動という仕事をしています。だから、ほんとうは学生が大学に学費を支払うのではなく、大学が学生に賃金を支払うべきです。
しかし日本学生支援機構は、奨学金によってこの不払い労働を是正するどころか、たんなる借金として返済をせまり、滞納者をブラックリスト化するとまで言っています。どこが「学生支援」なのでしょうか?
大学のこと、学費のこと、奨学金のこと。ちゃんと話が聞きたい、しゃべりたいことがたくさんあるという皆さん、ぜひご参加ください。
[出演者]
入江公康:大学非常勤講師、著書に『眠られぬ労働者たち』(青土社)
岡山茂: 早稲田大学政治経済学部、アレゼール日本(高等教育と大学の現在を考える会)
矢部史郎:著述家、著書に『愛と暴力の現代思想』(青土社)他
[日時] 1月25日(日)、13:30(13時開場)
[場所] 早稲田大学26号館(大隈タワー)702号室
地図: http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
* 大隈講堂の隣にあるタワーです。
[主催] ブラックリストの会in東京
* 問い合わせは、栗原まで。(yasushi@ki.rim.or.jp)
* なお同日に、関西ではブラックリスト化に反対するデモと集会が行われています。
詳細はこちら → http://kanekaese2009.web.fc2.com/index.html
【PR】
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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いやぁ、私自身、高校、大学と奨学金を使わせてもらったんですがね、もし、奨学金制度がなかったら、と考えると、人生がずいぶん違っただろうなと思わざる得ない。まぁ、それでも、親は何とかしてくれたかもしれないが、正直、大学を卒業することは難しかったかもしれない。
ほかにもそういう人は結構多いと思う。だから、利用者はこの制度の存在に感謝しているし、余裕があれば、返済するつもりはあると思う。
それにもかかわらず、「平成19年度末の返還状況について見ると、延滞分を含む要返還額3,175億円に対して、2,515億円が返還され未返還額は660億円となって」いるのが現状のようだ(日本学生支援機構ウェブサイト)。なぜ、これだけ滞納されているのかは分からないが、大変な額であることは間違いない。
日本学生支援機構は、独立行政法人化したことで回収もきっちり行うようにとの政府からの指導が行われるようになり、ブラックリスト化まで行うこととしたようだ。
まぁ、返すことができるのに返さない人がいるのだろうから、それは問題だが、信用情報機関への通報が、わずか、3ヶ月の滞納でなされてしまうというのも、ちょっと早すぎるようにも思う。
…な~んて考えつつ、下記の集会案内を読んでいたところ、そもそも「日本の学費が高い」という問題をスルーすることはできないと思い至った。
そう、素晴らしい学生を育てることは、その人だけでなく、社会全体にとってメリットがあることだから、学費を限りなくゼロに近くして、できるだけ、多くの人に大学で学んでもらうチャンスをもってもらうことは重要なことだ。
それなのに、日本は学費がどんどん高くなっていく。
そもそも、中学受験だなんだって、金持ち優遇社会になっている。それに加え、大学の学費まで高いというのは、かなり厳しい。経済的理由で、進学を断念する人も多いのではないだろうか。
もちろん、少子化によって、進学率そのものが低くなることはないのかもしれないが、もし、当たり前のように大学進学をするようになるのだとしたら、それこそ、無料にしたっておかしくないわけだ。
キーワードは、多様性。いまの学費では大学に進学できないような人も望めば大学に進学し、社会に役立つ人材となってもらう…そういうことで、多様な人材が育つことになる。
学費の高さは、「俺さえよければいい度」の高さを表しているように思う。そのことを私たちは恥じなければならないし、そのような情報を市民に伝えず、格差社会の維持を図ろうとしている政官財の連中には厳しい批判の目を注がなければならない。
そして、学費無料化に逆行する、学生支援機構の滞納者ブラックリスト化には、やはり反対せざる得ない。
※グラフは:http://www.dylj.or.jp/site/special/student/gakuhi_1.html
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2008年末、日本学生支援機構が「奨学金滞納者のブラックリスト化」を発表しました。
これは、奨学金返済が三ヵ月以上滞った人を金融機関に通報し、クレジットカードを作ることや銀行ローンを組むことを困難にするというものです。さらにこのようなリストが出まわれば、アパートを借りることすらままならなくなるでしょう。
そもそも大学生の半数が奨学金を借りているのは、学費が高いからです。日本にいるとついつい忘れがちですが、世界的には学費が無料でないことがおかしい。高等教育は誰でも受けられるはずのものです。
大学では教員ばかりでなく、学生も研究活動という仕事をしています。だから、ほんとうは学生が大学に学費を支払うのではなく、大学が学生に賃金を支払うべきです。
しかし日本学生支援機構は、奨学金によってこの不払い労働を是正するどころか、たんなる借金として返済をせまり、滞納者をブラックリスト化するとまで言っています。どこが「学生支援」なのでしょうか?
大学のこと、学費のこと、奨学金のこと。ちゃんと話が聞きたい、しゃべりたいことがたくさんあるという皆さん、ぜひご参加ください。
[出演者]
入江公康:大学非常勤講師、著書に『眠られぬ労働者たち』(青土社)
岡山茂: 早稲田大学政治経済学部、アレゼール日本(高等教育と大学の現在を考える会)
矢部史郎:著述家、著書に『愛と暴力の現代思想』(青土社)他
[日時] 1月25日(日)、13:30(13時開場)
[場所] 早稲田大学26号館(大隈タワー)702号室
地図: http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html
* 大隈講堂の隣にあるタワーです。
[主催] ブラックリストの会in東京
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* なお同日に、関西ではブラックリスト化に反対するデモと集会が行われています。
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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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