情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

陪審の持つ「法律を無視するパワー」…「アメリカ人弁護士が見た裁判員制度」より

2009-01-19 03:07:37 | メディア(知るための手段のあり方)
 最後発集団として、裁判員本を出版する予定の身としては、ほかの本を宣伝するのは共同執筆者に怒られるかな(笑)って思いつつ、さすがに陪審員の本場の国の制度は違うなってことで、ぜひ、「アメリカ人弁護士が見た裁判員制度」(コリン・P・A・ジョーンズ/平凡社新書)を手に取ってみてください、と言ってしまおう。

 いやぁ、いかに日本と米国で市民の権力観が違うかよ~く分かる。

 特に「陪審の持つ『法を無視するパワー』」は圧巻だ。

 簡単に言うと、権力が法を無視して、あるいは、法を利用して、市民に刑罰を押しつけようとするとき(=つまり、人権侵害が起きようとしているとき)には、陪審制なら、その人権侵害を止めることができるというのだ。

 なぜなら、陪審員は理由を告げることなく、有罪ではないという評決をすることができるから。

 英国では、馬泥棒には死刑が科されていたころ、ウサギ泥棒という認定をした陪審員たちがいたという。

 そして、米国では、奴隷制を持つ州が残っていたころ、他の州で奴隷の逃亡を助けた者に対して、有罪の認定はしなかったそうだし、ベトナムの良心的兵役拒否に対する裁判も有罪にならないことが多かったという。

 それに比べ日本はどうか?

 ビラまきをしただけで、何十日も拘束した挙げ句、罰金刑の有罪になったりしている。

 ビラまきをしただけで、ですよ。一日拘束すれば、もう十分懲りるでしょう。それ以上拘束したのだから、もう、それだけで刑罰としては過当であり、本当は無罪にするべきものであるはず。

 だって、そうしないと、今後も警察や検察は、平気で気に入らない奴を軽い罪で長期間拘束していじめ抜くことができる。

 米国では、こういう場合には、陪審員は無罪の評決をすることだろう。そして、無罪に対する控訴はできないため、直ちに身柄が解放される。

 それに引き替え、日本では、表現の自由といえども他の人の権利を侵すことはできない…なんて言って有罪だ。

 バランス感覚ってものがまったく感じられない。裁判所は、ビラ配りで、数十日も拘束されることの人権侵害性は、まったく感じないのだろうか?
 
…いや、ついつい興奮して判決批判の方へ流れてしまったが、陪審制度のすごさ、そして、裁判員制度の不十分さが分かる一冊。もうじき現代書館から発行される
「裁判員制度と知る権利(仮)」と併せて(笑)、お買い求めください。




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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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