情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

東アジアでは、国家間の信頼醸成の素地はないのか?~自衛隊の幹部の論文への疑問

2009-01-07 20:53:38 | 有事法制関連
 ガザのことを思うにつけ、日本周辺で、日本が主導して、さらに平和な環境を確実なものにできないかなぁ、などと感じてしまう。そんなときに、我が国周辺地域の信頼醸成措置についての研究」というタイトルの論文を読む機会があった。

 これは、ある2等空佐(=旧・中佐)が、防衛研究所の平成19年度基礎研究成果報告書として書いたものだ。非常に重要なテーマなので、興味深く読んだ。しかし、結論ありきという感があり、ちょっとがっかりさせられた。

 この2等空佐は、欧州での信頼醸成を成功例として紹介しつつも、その成功の要因として、ストックホルム国際平和研究所のツィツィスロウ・ラコウエフスキー(Zdzislaw LACHOWSKI)さんの指摘だとして、次の5点を上げる。

① 当事国が対立する思想と政治軍事体制を有する2極のブロックに分かれていたこと。
② 東西欧州の政治的対立は、高度の軍事的緊張を伴うものであったが、軍事的緊張は対称的で安定しやすかったこと。
③ 欧州諸国は、本来対話を妨げるような歴史上での相互の敵意をもっていなかったこと。
④ 両ブロックは想定外の軍事衝突や核の応酬を避けることを望んでいたこと。
⑤ 交渉や実行の確認のための両ブロック間の政治的枠組みが創設されたこと。
⑥ 欧州諸国は相互理解を可能とする共通の価値観や目標を持っていたこと。

 そして、東アジアには、⑤のみ当てはまるので、難しいというような趣旨で書いている。

しかし、果たしてそうだろうか。この6つの要素について、ツィツィスロウ・ラコウエフスキーがどのような文脈で使ったのかは、分からない。まあ、その点はおくとしても、はたして、当てはまるのは⑤のみだろうか?


①は、基本的には、自由主義と共産主義に二分していたのではないだろうか。

②は、確かに対照的とは言えないが、ある程度安定はしていたのではないだろうか。

③も、欧州で、歴史的に敵意がないっていうなら、アジアだってないのでは?日本に対する思いはあるだろうが、それは、第二次大戦を経た欧州だって同じこと。ドイツは、軍隊を民主化させるなどして、周辺の信頼を得ている。日本にできないことはない。

④はあてはまるでしょう。どの国だって戦争は避けたいと思っている。

⑤は、二等空佐もあてはまると認めている。

⑥もそうでしょう。むしろ、強固な宗教が背景にないだけに、まとまりやすいのではないだろうか?

 
私はアジアでも十分に信頼醸成は可能だと思うんですけどね。

個人的には、民主主義が成熟していることが、重要だと思いますよ。民主主義が機能していれば、自分たちが死ぬことになる戦争を始めようということにはそうそうならないですからね。

ということで、日本が民主主義の権化と化して世の手本になろうっていうようなことから、始めるのが、アジア地域安定の要のように思いますが、どうですか?

電車の中ででも、ふらっと考えてみてください。

では、また。



【PR】




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。