特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第393話 オレンジ色の傘の女!

2008年03月28日 01時36分09秒 | Weblog
脚本 藤井邦夫、監督 松尾昭典

鉄工所を営む老父婦宅に強盗が押し入り、父親が殺され、母親も重傷を負った。病院に運び込まれた母親は、所轄署の刑事の「誰にやられた」との呼びかけに次男の名を口にする。長男の証言によれば、次男は両親との折り合いが悪く、最近も金の無心にきていたという。所轄署は次男を容疑者として逮捕。次男は犯行を否定し、同居中の女がアリバイを主張するが、所轄署は執拗な取調べを続ける。
所轄署を訪れた橘は、雨の中、傘を差してじっと立ち続ける女に気づく。殺到するマスコミから女を救い、詳しい事情を聞く橘。次男の無実を信じる女の言葉に真実を感じた橘は、独自に捜査を開始する。
父親の葬儀を訪れ、長男から事情を聞く橘。長男は次男の犯行と決め付け、女が元凶だと言い募る。それは、女がヤクザの娘であるがゆえの偏見だった。参列者に混じって手を合わせる女に気づく橘。親戚筋の女から「息子が結婚を控えているのに迷惑だ」と非難され、女は逃げるように立ち去る。
昏睡状態だった母親の呟きが、本当に犯人を名指ししたものかどうか、疑問を呈する橘。「最も心配する次男の名を、無意識に呼んだだけじゃないですかね・・・」だが、真実を語ることなく、昏睡状態のまま母親が死亡。次男の無実を証明する手段が消えてしまう。絶望した次男は、所轄署に犯行を認める。拘置所に送られる次男に「ずっと待っています」と呼びかける女だが、次男は「俺のことは忘れろ」と言い捨てる。それが次男なりの優しさだと知りつつも「そんな優しさより、信じて待っていろと言って欲しかった。やっぱり他人だったんですね、私たち・・・」と呟く女。次男との写真を引き裂き、海に流す女に、橘は「彼は、まだ君が本当の家族だと気づいてないだけだ。待っててやるんだ。必ず君のもとへ戻ってくる」と語りかける。
その後、父親の葬儀の香典から、血痕のついた紙幣から発見される。血痕が父親のものと断定され、強盗の真犯人が奪った金を香典に出したものと推測された。紙幣についた指紋をもとに、参列者のリストから真犯人を探す特命課。やがて、明らかになった真犯人は、結婚式を挙げたばかりの従兄弟だった。
事件解決を女に伝え、「君が彼を救ったんだよ」と勇気づける橘。だが、翌日、次男が釈放されたとき、女は姿を消していた。数日後、橘のもとに女からの手紙が届く。「引き裂かれた写真を繋ぎ合わせても、跡が残るように、一度二人の絆についた傷跡は、隠せはしないのです。お互いがもっと強くなるために、分かれるべきなのです・・・」雨の中、橘は傘を差したまま立っていた女の姿に思いを馳せるのだった。

今回から「女性の犯罪体験手記」シリーズとのことですが、一本目からなんとも微妙な仕上がり。朝倉陽子による「砂時計」なる挿入歌のせいもあって、「悪女の子守唄」シリーズの悪夢が甦ってきます。
何が微妙かといえば、ずばり女の演技です。あまりの棒読みっぷりに「ひょっとして、こういう演技スタイルなのか?」とも思いましたが、正直なところ、高校生の演芸部でももう少しましなのでは・・・ちなみに、次男役は丹波義隆。丹波哲郎の息子というより、スペードエースといったほうが通りがよい(のか?)。
演技はともかくとして、この女の言動もかなり微妙。まず、正式な籍を入れない理由を問われ「二人で夫婦としての実績を作って、ご両親に喜んでもらってから籍を入れるつもりだった」という理屈が意味不明。また、母親の死よりも、次男の無実を証明する手段が消えたことを嘆くあたりの非情さも興ざめです。極めつけは橘に宛てた手紙で語る分かれた理由です。何が言いたいのかさっぱり分かりません。
頭のおかしい女に毒されたのか、橘まで「強盗で奪った金を香典に出すという異常さは、結婚前に殺人を犯すという大胆さにつながります」と訳の分からん理由で従兄弟を真犯人と決め付ける始末です。あと、別にどうでもいいですけど、シリーズ名を普通に考えれば「犯罪を犯した女の体験記」を基にした脚本だと思うのですが、今回の場合、いったい誰の手記なのでしょうか?いろいろと疑問の残る一本でした。