熱が下がってくると急に退屈で時間が長く感じられる。図書室から借りている本があった。布団から出るとこっそりとランドセルのところに行って手にしたのが「ムーミン」。お母さんに見つかりませんように。夢中でよんでいるうち手足が冷たくなってきた。見つかったら叱られる、でもでもムーミン谷からどうしても抜け出ることができない。
という小学生の自分がいきなりよみがえってきました。
静岡市美術館で開催中の「フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活展」会場で、ムーミン読書コーナーで靴を脱いだ瞬間です。
挿絵も最小限で、カラーでもなく、その分想像力が働いたのでしょうか、アニメで知っているムーミンよりもはるかに面白く感じたのです。
絵画や歴史、ムーミンの原画、マリメッコのテキスタイル、イッタラの食器など知らないことからお馴染みのことまでフィンランドのさまざまな側面を見せてくれます。
その中で私は最後の部屋、現在のフィンランドのコーナーが一番楽しめました。スタイリッシュでいてユニバーサルな公共交通機関や、ピクトグラム、素敵です。ピクトグラムは意味がわからないのもあって(ほんとはわからないと困るものだけど)日本との表現の違いも面白い。
そして70年以上にわたって愛用されているスツールを回収して使われてきた物語をICチップにして取り付け、再販売して新しい持ち主の物語を加えていくという、Artek社による「2nd Cycle(セカンドサイクル)」という素晴らしいプロジェクト。
自国の環境と共に生活と文化を築いてきた歴史に敬意を払いたくなるひとときでした。