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科学と美術

静岡科学館「るくる」、一度行ってみたいと思っていたんですよね。でもなんだか子供向け施設って感じで入りにくくて機会を作れずにいました。

でも、昨日から始まったのが「かがくの色あそび展」これは行くしかないでしょう。しかもこんなイベントまで発見!

静岡市美術館とのコラボ企画「日本の伝統色を探してみよう」

まず科学館で、日本人が使ってきた画材としての色を勉強してから、駅をはさんだ向こう側の静岡市美術館で開催中の「近江巡礼 祈りの至宝展」に移動、学芸員から作品の顔料の解説を聴きながら鑑賞、という魅力的な内容です。

冒頭の写真は、紫草で染色したもの。万葉集の「茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」の紫野は現在の滋賀県八日市市のあたりといわれているそうです。その本家、八日市市の紫草で染めた正統派(?)紫です。

         
↑紅花のブランド品山形県産「もがみべにばな」の染色見本 紅花の色素が黄と紅だということがよくわかります。

 
↑縄文時代から使われたといわれる赤色の顔料「辰砂」

 
現代の画家が各地の川で採取した石で作ったパステルですって!これは神奈川の相模川のもの。
左の奥に黒っぽく見えるのは「るくる」の職員さんたちで採取した大浜海岸の石。
人が彩色に使う色を手に入れるため、変わった色や濃い色の石を細かく砕いて顔料にした歴史を思わせてくれます。

染料にしても顔料にしてもこうして原材料を見ると、いかに色を手に入れるのが大変なことだったか、鮮やかな色がどんなに貴重だったか、改めて実感できます。

科学館「るくる」は撮影OKなんですよ

       → 
科学館でこんなふうに染料・顔料の基礎知識を教えていただいた後→美術館へ

渋い企画展…。でも今見てきたばかりの画材が使われている掛け軸や屏風を、専門家の解説付きで見ると面白いんです、これが!

科学館でも美術館でも、解説は特に子供向けにしているわけではなく、しかも美術館の展示内容は決して子供受けするものでもないのに、子供たちも意外に飽きずに参加していました。いつも最前列に陣取ってすごく集中している男の子もいたり。細かい理屈はわからなくても、色彩は人の気持ちをひきつけるのかなぁ。

とはいっても、今回の企画、もっと大人にもアピールしてたくさんの方に楽しんでもらったらいいのにと惜しい気がしました。同じ内容で27日(日)にも開催されるそうです。

来月は美術館でもコラボ企画として「色とは何か? ニュートンの色彩論から最新脳科学まで」というミュージアム・カフェ・トークのイベントがあるようです。

科学館と美術館のコラボ、とっても面白かった。これからも続けてほしい、期待します。

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エルメスの手袋とスリッパの裏

駿府博物館で始まった「ジュディ・オング倩玉木版画の世界展」に行きました。
 (倩はニンベンに青ですが変換できません)

ジュディ・オングさんがこんなに本格的な版画を作成していることも知りませんでした。本当に多才な方ですね。

日本家屋や寺社が描かれた作品が多く、サイズも大きいので迫力があります。当初の墨一色の版画から部分的に彩色した画に進化していって、その有彩色が効いています。カトレアやチューリップなどの花を題材にした作品よりも、大作の家屋や寺社の、緑や臙脂や弁柄などの暗めの赤をきかせた作品が私は好みでした。

特にポスター、チラシに使われている「銀閣瑞雪」は素晴らしい~!これも1174mm×1606mmの迫力サイズ。「瑞雪」は真っ白な雪をおめでたいものとしての美称という意味と、銀閣に降る雪は幸せだという意味と両方だと作者の解説がありました。銀閣にふりそそぐ雪は他のところに降る雪より幸せ。ああ、そうかもと思わせる美しさの画なんですよ。

すべて作者の文章で解説があって、それがまた面白いのです。「鳳凰迎祥」は平等院鳳凰堂を描いたものでこれも素晴らしいのですが、阿弥陀如来坐像のお顔を彫る際のエピソードが書かれていました。普段は手袋をして彫っている倩玉さん、このときだけは塩で清めた素手で彫ったそうです。

ふーん、軍手でもするのかなと思ったら、その手袋も展示してありました。エルメスの皮の手袋。芸能人は歯も手も命(?)普段から手指は大事にしているそうで、その普段使いの手袋がくたびれてきたら版画用にスライドするんですって。

すりきれて、元の色も形も定かでないくらい使いこまれた手袋を見ると、物を使い切るってこういうことかとも思わされます。

処女作の「椿」はごく小さな作品で凝ったものではないのですけど、すっきりした線が魅力です。なんとこの作品、バレンの代わりにスリッパの裏で刷り上げたんですって!!それくらい創作意欲が湧くままに道具なんてこだわらずに彫ったのでしょうね。描きたい、彫ってみよう、とわーっと気持ちが熱くなったのでしょうか。いいな、そういうの。

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謹賀新年

       穏やかな元旦をむかえました。
       今年もどうぞよろしくお願いします。


 夜明け前                  富士山もきれいなシルエット

  
海にせり出したベストポイント、さすがに風が強い。     すっぴんだから逆光でね


午後、また海辺に出かけました。
           
漁港の大漁旗がはためきます             海も澄んだ深い青

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