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小説の中の色『猟銃』

小説の中には自分の知らない言葉がたくさん出てきます。聞いたこともない難しい言葉、未知の業界の専門用語、慣用句。小説はどれほど私の語彙を増やしてくれたかわかりません。

色の名前もそのひとつです。「プルシャン・ブルー」という青い色の名前を知ったのは井上靖の『猟銃』でした。

   ・・・灼(や)きつくように熱い胸の痛みをはがいじめにしながら、海の方へ
   降りて行こうか、駅の方へ行こうか、一寸ためらいました。そして一旦海
   への道を降りかけましたが、半町も行かないうちに又立ち止まりました。
   チューブから搾ってなすり附けたようなプルシャン・ブルーの、真冬の、陽
   に輝い
た海の一点を見詰めた儘立っていましたが、くるりとそれに背を向
   け、思い返して反対の駅の方へと道をとりました。

                                  『猟銃』井上靖 新潮文庫

『猟銃』は井上靖の最初の小説です。主人公の男性に宛てた3通の手紙から構成されていて、一通は愛人の娘から、二通目は妻(上記)から、三通目は愛人から(遺書)です。いずれの手紙も芦屋の上流階級の女性の上品な筆致で、しかも三人とも男性との別れを告げているという内容です。

引用した部分は、20歳の妻が熱海の海岸で夫と愛人の後姿を目撃してしまうシーンです。プルシャン・ブルーは濁りのない濃い青色。愛人というのが親しくしている自分の従姉であり、その衝撃と凍りつくような思いを象徴する色なのでしょう。

海の方へ行けば夫と従姉と対峙することになるのですが、彼女はその道をとらず、気づかないふりをして冷たく心を閉ざし芝居がかったその後の人生を送ることを選びます。

 19か20歳の頃に読んだ『猟銃』を今読み返してみて、人の持つ孤独を描いていながらどうも甘ったるいセンチメンタルな雰囲気が少女趣味にも思われました。そんな違いに気づかされるのが年月を経た再読の面白さでもあります。

それと、再読で気づいたことがもうひとつ。やはり青色系の色の名前が出てくること。

   直ぐ貴方の後からついていらしった丈高き美しい女人の、納戸に薊(あざみ)の
   花がぱあっと浮き出たお羽織が、なんと痛く目にしみた事で御座いましょう。

「納戸」というのは収納部屋のことを指すのではなくこれも色の名前で「納戸色」のこと。灰色がかった青、くすんだ藍色のことです。そこに薊の花は紫でしょうか赤紫でしょうか、どちらかというと地味な納戸色を背景に、浮き立つように立体的に見えたことでしょう。

当時、私は「納戸色」も知らず調べもしなかったのか、このシーンは「薊の花の羽織」としか記憶していませんでした。

この「納戸色の薊の柄の羽織」は三通の手紙それぞれに書かれ、妻の手紙ではこの後また重要な場面で登場することになります。


知らない色の名が出てきたとき、そのまま読み飛ばしてもストーリーを追う上では支障がないことがほとんどかもしれません。でも時には色を調べてみるのもいかがでしょうか?そのシーンが持つ映像的なイメージがぐーんと膨らむこともありますよ。

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今朝のウォーキング


最近はウィークデイがジョギング、週末は1時間~1時間半くらいウォーキング、というパターンが定着してきました。

いつもの川沿いを上流に行く日と、下流つまり海に行く日があり、今朝は海コース。
海辺を往復するのも気持ちいいし、行き当たりばったりで知らない細い道に入っていくのも楽しいです。

こんもりした小山に上っていくらしき階段を発見して足を踏み入れました。ちょっと上っただけで、「あ、これは無理」とわかる急坂です。つい帰りの下りのときを予想しちゃうんですよね。朽ちた祠のあるところまで登ってギブアップ。

夫はもうちょっと上まで見てきたいというので、しばし待つことに。
蝉がにぎやか。
というか、うるさい。
というか、蝉に乗り移られそうな合唱に囲まれて、怖い

そこに、唐突に人影が!ひぇっ

たぶんその男性も予想外だったらしく一瞬足が止まっていました。
驚くことにその方はこの石段を走って上っていくのでしたさすがに体脂肪も低そうだ

入れ替わりに倍ぐらい体脂肪のある人影が降りてきます。夫だ。



階段は・・・効きます・・・足に
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人気テンプレートは青系


gooブログの人気テンプレート、ブルー系が占めています。
夏だなぁ。

早くこれらのテンプレートのようにさっぱり晴れやかな空を見たいものです。
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自由な青


蕎麦屋の壁のタペストリーです。
涼やかです。

今日からテーマカラーは青。

青色は私たちにとって空の青、海の青を代表に身近な色のひとつです。
世界的にも好まれる色といわれています。

国旗に使われる青にはどんな意味が象徴とされているか、見てみました。

 海に関連する意味・・・海  水資源  太平洋
 空に関連する意味・・・空  澄んだ空  青空

多いですね、海と空。
 
そして、サモア、パラグアイ、フランスでは「自由」という意味を込めています。

                     参考 『色の本棚3』(株)視覚デザイン研究所

自然界の青色の広々したスケール感が「自由」という伸び伸びしたニュアンスに結びつくのでしょうか。

青は後退色といって遠くに見える色でもあります。
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赤い手ぬぐい

インテリアショップで「手ぬぐい祭」をやっていました。
和てぬぐい、染めの深い色がいいですね。目移りしながら、何枚か選びました。

伝統柄も魅力ですが、敢えて派手!な赤い手ぬぐいにしました。自転車柄が元気そうで気に入りました。

白いTシャツの首元にきりっと巻いたら楽しいかも、なんて。



                     
今日は海の日。海までウォーキングしました。朝からあっつーい

 
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ダブルレインボウ

夕方、虹を見ました。
しかも、ダブルレインボウ!
左の山の頂上付近↓から外側の虹がうっすらと見えますか?

虹は波長の長い赤が外側ですが、外側の虹はそれが逆転します。

虹を見るとテンション上がります!
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緑いろいろ

大好物をいただきました。おしゃれなボトルもきれい。
ごくごく飲んだりはしませんよ。オリーブオイルです。

緑系の色の名は「オリーブグリーン」のように植物からとられたものも多いですが、「萌葱色」というのもそのひとつ。特定の植物の葉の色という訳ではなく新緑の頃の草木の色を差すようです。「萌黄」「萌葱」「萌木」と、表記もいろいろありますが黄緑系の色とされています。

新緑、新茶のシーズンには新聞でも頻繁に目にする伝統色名で、茶所静岡の我々にとっては身近な名前といえるかな。

「緑青」は胴の錆から人工的に作ることができますが、天然のものは「マラカイトグリーン」と同様に鉱物が原料だそうです。
「マラカイトグリーン」といえばクレオパトラ
あの濃ゆーいアインラインはマラカイトグリーンで目を守るというおまじないです。

「ミストグリーン」は霧にけむるようなグレイッシュな緑です。
そうえいば最近静岡駅前の地下広場でミストが始まりました。愛知万博で使用されて話題になった、ヒートアイランド対策です。気温を2,3度下げる効果があるとか。「あ、涼しい!」と実感できる冷んやり感はありませんが、見た目の涼しげ効果がいい感じです。

「利休鼠」(りきゅうねず・りきゅうねずみ)は千利休が飼っていた鼠の色、ではなくてお茶つながりです。千利休といえば茶、だから利休とつければ緑系の色のイメージということです。

「利休鼠」といったら緑が混ざった灰色系、「利休茶」といったら緑が混ざった茶色系。
ちょっと安易な感じもするセンスですが、覚えやすく親しみやすいという点で優れたネーミングかもしれませんね。

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たとえばコアラの好きなユーカリ


色鉛筆を持っていますか?
何色セットですか?

これは500色の色えんぴつです。
通販で先月スタートした毎月25本ずつ届くという企画で、今月はグリーン系でした。

1セット1800円の定価を「友達割り」でKちゃん、Hさんを誘い、1セット1000円

Kちゃんは色鉛筆で絵手紙描いちゃったりするし、Hさんはプロのイラストレーターだし、で、私はっていうと、きれいなので並べておきたいだけ

微妙な色の1本1本に凝った名前がついています。
「古代の翡翠の曲玉」  (…これって勾玉じゃないの?)
「おばあちゃんの草餅」
「夢見る5月」

夏休みはお絵かきでもしてみましょうか。
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スロージョギング

すっかり更新が滞っていました。
最近のトピックスとしては、朝のジョギングを始めたこと!

元々は何を思ったか夫が急に朝ジョギングを始めたのです。朝も汗も苦手な私はまったく関心もなく。その頃、NHKの「ためしてガッテン」という番組で「スロージョギング」を見たのも、メタボ夫のために何か役立つかも、という感じでした。

スロージョギングについては、番組のサイトをどうぞ

私のアンテナに響いたのはこの一言「毛細血管が増える
えーっ血管て増えるの!?増えたら冷え性とか美容とかに良さそう!増やしたい!

始めてみると、もうこれが気持ち良くて

近所にはジョギングにぴったりな川沿いのコースがあります。朝の空気を深呼吸するだけでも身体の酸素が増える!スロージョギングは“無理なく”“楽しんで”が基本なので、ちょっときついと感じたら歩きます。そのゆるさが私に合っているのか1ヶ月とちょっと続いています。
30分くらい、距離にして2kmちょっとでしょうか。3ヶ月続けると身体も変わってくるとか

川といってももうすぐ海。潮の香りがたっぷりです。川沿いの歩道には200mおきにこんなプレートがあるんですよ。

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