goo

赤と緑その2

赤と緑はユニバーサルデザインでは必ずといっていいほど「組合せに注意する色」の例としてあげられます。大多数の人にとっては赤と緑の組合せはコントラストが強くはっきりした配色に感じられますが、色覚異常(いわゆる色弱とか色盲といわれる)の人にはとても似通った区別しにくい組み合わせだからです。

富士通のシミュレーションソフト「ColorDoctor」で見てみましょう。
                
        第一色覚(赤)異常           第二色覚(緑)異常
第一とか第二とかあるのは、色覚異常にもいろいろなタイプがありその中で多いとされているふたつです。でも、これはあくまでシミュレートしたもの、色覚異常の人全員がこのように見えているわけではありません。

細胞レベルで解明されていることがたくさんあっても、実際に他人の見ている世界を私たちは体験できないんですよね。視覚だけではない話ですが。嗅覚だって聴覚だって。

赤と緑に話を戻します。なぜこの組み合わせがユニバーサルではない例に用いられるかというと、同じような濃さ(あるいは薄さ)の赤と緑は明度も同じくらいになる=見分けにくいからです。赤と緑であっても濃さが違う組み合わせであれば明度も違ってくるので大丈夫なんですよ。おおざっぱにまとめると…。

    同じ濃さの赤と緑=明度も同じ=見分けにくい=ユニバーサルでない
    
    違う濃さの赤と緑=明度も違う=見分けられる=ユニバーサルである

明度って何?という方は冒頭の白黒写真を見てください。モノクロの世界は色の明るさ暗さだけで=明度だけでできています。このパッケージの場合濃い赤と、それより薄い緑の組合せだから、つまり明度が違うからモノクロでも色の違いが判別できますよね。

そして、下の2枚のシミュレーションと見比べていただくと、色覚(赤とか緑とかの色の区別)に異常があっても明度(明るい⇔暗いとか濃い⇔薄い)の感覚は変わらないことがわかります。だから明度差があるかどうかを重視するというわけです。

この配色はユニバーサル?と疑問を感じたらモノクロに置き換えて確認する、シンプルだけど確実な方法です。

実はこの陳列を見たときに「赤と緑だけどこれくらい明度さがあればまあ大丈夫かな」とちらりと頭をかすめたのです。facebookで関連するコメントをいただいたので、ちょっと固い話ですが書いてみました。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする