腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



昨日、店主が贔屓にしている深夜ドラマ“SP”を見ていましたところ、犯人が中国人に変装(?)してホテルに宿泊するというシーンが出てきました。
そこで犯人らが(一応の)中国語で会話してましたが、これがいかにもオソマツ。アクセントも殆んどなく、いわゆる棒読み。
リアリティの欠片もない。

今までこのドラマの“好き好き度”は10段階で8~9だったのですが、昨日で一気に3にダウンしてしまった。

その点、タモリさんの4ヶ国語麻雀の中国語は意味は全く不明ですが、アクセントがパーフェクト。(意味不明なのにパーフェクトっておかしいですが...)

中国語(北京語)には4つのアクセント(四声と言います)と軽声の5つのアクセントで構成されています。(厳密に言うと5つだけではないのですが)

その主な4つのアクセントを文章の中で一箇所でも間違うと、全く違った意味になることもありますし、「は?」と容赦なくダメ出しされます。

昨日のドラマのように真っ平で抑揚のないセリフだと中国人には絶対に通じない。


数日前、ブランド品リサイクルショップに勤めている友人Kから「中国人のお客さんがROLEXの金無垢を買いたいと来店されていて、何か聞きたいことがあるらしいが、話が通じないので助けてくれ」と電話がありました。

もうかれこれ15年以上使っていない中国語だが果たして通用するのか!?

友人がそのお客さんと電話を代わると、お客さんは女性で30代か40代のようでした。


店主「何かお尋ねしたいことがあるようですが」

女性客「文字盤が別に付いているが、この文字盤も本物のROLEXか?」

店主「...? 文字盤が別に付いているとはどういう意味でしょう?ちょっと、男性従業員に代わって下さい」

友人「ごめん、言い忘れてたけど、このROLEX、今、青の文字盤が付いてるけど、予備にシャンパンゴールドで10ポイントの文字盤だけが別に付いてるねん」

店主「それを先に言えよ! その文字盤も本物かって聞いてるで」

筆談しているらしく、暫くゴニョゴニョ電話口から聞こえる...


再び女性客「このROLEXは何年に作られた?」

友人に代わってもらい、訳す。
S品番らしいので1993年製。これも筆談で済んだようだ。


女性客「保証はあるか?」
これも友人に伝えると、筆談で大丈夫。


女性客「ファンシュエイはあるか?」

店主「ファンシュエイ...? ファンシュエイって何でしょう?」

女性客「ファンシュエイ知らない? お風呂とか遊泳とか」

店主「あぁ、“防水”ね! 大丈夫。OK、OK」
(お風呂で使えないことは面倒くさかったので説明を省いた)


女性客「この時計は中国で使えるか?」

店主「何です? 中国でも使えるに決まってるでしょう。中国にもROLEX売ってるし」

女性客「でも、この時計、今、日本時間だから...」

店主「は? 何言うてますのん?中国の時間に合わせたら済む話ですやん」

この辺りから店主の中国語がヒートアップ。エンジンが温まってきたようです。(笑)

女性客「そんなことできるの?」

店主「没問題!(メイウェンティ!)」
(広東語ではモウマンタイと発音します。)

女性客「もうちょっとマケてよ」

店主「それは私に権限がない。従業員に代わって下さい」

友人に代わってもらい、今までの会話の内容を説明。

電話口で「チャイナ、オーケー!」と中学生が始めて英語習った時のような、文章と呼ぶには恥ずかしいセリフを友人が叫んでいるのが聞こえました。


で、現在の店頭価格が98万円。それを95万にまで下がったようですが、お客さんは90万にしてくれと言っているらしい。

今日決めてくれるなら、93万。それ以下は無理と言ってくれと友人。

店主「93万でどうですか?」

女性客「90万にはならんのか?」

店主「無理なようですよ」

女性客「人民元で払えるか?」

店主「人民元...恐らく無理と思いますが、彼に代わって下さい」

中国のお金で支払いできるか?と伝えると、友人はお客さんに向かって大声で









「ムリ!」


後日、その友人に会いに行ったら、そのお客さん1時間近くネバッて結局買わなかったそうな。


店主の中国語もまだまだ捨てたもんじゃないな(笑)


チャイナ、オーケーの腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。
いくらファンシュエイでもお風呂、温泉では使用できませんよ。


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