2025/06/03 アワープラネット いわき出身の女性が追加提訴~甲状腺がん裁判
 https://www.ourplanet-tv.org/50989/

 福島原発事故後に甲状腺がんになった男女6人が東京電力を訴えている裁判で3日、いわき市出身の20代の女性が、新たに追加提訴した。原告は7人となった。

 女性は小学校6年生の時に原発事故に遭遇した。中学時代に受けた甲状腺検査1巡目では、「問題なし」との結果だったが、高校2年生の時に受けた検査で、1センチを超える結節が見つかり、高校3年生の時に手術を受けた。検査の時、医師からは、
 「甲状腺がんはゆっくり成長するため、ここまで大きくなるのは10年かかる。原発事故前からあったもの」
 と言われたため、自分のがんと原発事故の因果関係はないと考えていたという。
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 アマ註=福島県健康管理調査→県民健康調査
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E6%B0%91%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%AA%BF%E6%9F%BB 
 2011年6月から、福島県で、フクイチ事故時、18歳以下だった少年少女36万人を対象に、甲状腺癌検査が行われた。検査に応じたのは約30万人。
 検査の理由は、チェルノブイリ事故のとき、周辺住民の子供たち5000名に小児甲状腺癌が発症したというWHOの公式報告があったからだ。
 https://www.nihs.go.jp/hse/c-hazard/npp-ac/WHOFS_Chernobyl_200604.pdf

 事故から15年目の2025年現在、検査対象30万人中、約400名以上に甲状腺癌が確認された。当初、福島県や甲状腺学会は、
 【福島で小児甲状腺癌が発症した理由は、検査機器が進歩したことと、スクーリング効果にすぎない、実際には原発放射能被曝とは何の関係もない、見つけても無意味な軽症甲状腺癌を発見しただけだ。】
 と福島医大や福島医師会、福島県、健康調査座長の星北斗らが、「検査の意味など存在しない。やめるべきだ」と主張した。
 星北斗は辞任して、自民党から参院選に出馬し、当選した。
 https://synodos.jp/fukushima-report/23092/

 ところが、福島医大の甲状腺専門家の、鈴木眞一教授は、見つかった小児甲状腺癌の大半が悪性で、放置すればリンパ節や肺に転移し致死的になる疑いがあるとして、ほとんどで切除手術を行った。
 
 福島県の小児甲状腺ガン、悪性が400名に迫る 2024年11月15日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6176134.html

 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6199641.html

 原発建設前の1950年代の日本社会における小児甲状腺癌発症率は、100万人中、0.5名だった。ところが原発が稼働しはじめる1960年代になると100万人中、1~2名、福島第一原発事故後は、30万人中、悪性小児甲状腺癌が400名以上発見され、100万人換算では1300名、1950年代からは、実に2600倍になっている。

 原発は、事故を起こさなくとも、沸騰水型の場合は、核燃料被覆管のピンホールから80気圧の一次冷却水に放射能が混じってしまう。
 この放射能の成分は、大半がクリプトン85やキセノン133などの放射性希ガスだが、ヨウ素Xも希ガスに近い昇華性を持ってるので、一緒に出てくる。
 普通は、希ガスをタンクに貯めて、週に一度くらい早朝に環境放出する。
 これによって、原発周辺住民が通常運転であっても被曝を免れなくなる。

 甲状腺癌は、排出された放射能のうち、ヨウ素Xを甲状腺が選択的に吸収する性質を持っている。ヨウ素131は365KeVという細胞が吸収しやすいガンマ線を放出するため、甲状腺癌のイニシエーターとして強く疑われている。
 他に、セシウムXも細胞が吸収しやすいカリウムと同等の性質を持っていて、おそらく両者の複合的内部被曝が原因と考えられている。

 なおヨウ素131被曝は、甲状腺の病気すべて、そして内分泌系の免疫疾患である膠原病や多発性硬化症の原因としても疑われている。
 フクイチ事故後、関東では多発性硬化症が30倍に増えたと千葉大医学部が公表したが、なぜか直後に隠されてしまった。
 それは、東電や国による「補助金」の縛りと圧力が疑われている。
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 以下、冒頭の記事の続き

 しかし、甲状腺がんが見つかった頃から、心身の不調が続き、甲状腺がんの問題を考えようとすると、涙が出たり、体が固まるなどの症状が出た。
 甲状腺がんに罹患した当事者として、原発事故と甲状腺がんの問題に向き合ううちに、インターネットで甲状腺がん裁判のことを知った。

 サイトで公開されている原告の意見陳述や訴状を読むうちに、自分には知らされてこなかったことがあると感じるようになり、今年3月に裁判を傍聴。提訴の意思を固めた。女性は裁判を通して、「事実が事実として認められること」を望むと訴えた。

 原告の会見の発言(全文)
 わたしは、高校2年生の時に甲状腺がんが見つかり、3年生で手術しました。
がんの告知を受けた時、「どうして癌になったのか」医師に聞きました。医師は私にこう説明しました。

 「甲状腺がんは、検査すれば必ず一定数見つかります。甲状腺がんはゆっくり大きくなるので、この大きさになるには10年以上かかります。従って、原発事故の前からもともとあったがんだと考えられます。」
 その時私は、医師の説明を信じました。だから私はずっと、自分の癌は原発事故が原因でできたものではないと思ってきました。

 高校生の時、まだ自分が甲状腺がんと告知される以前から、「甲状腺がんの子供」を反原発運動に利用する大人がいることに怒っていました。
 そのような大人たちにとって、「甲状腺がんの子ども」は可哀想であればあるほど、都合がいいことになります。政治的立場のために、大きな声で「甲状腺がんの子どもたちがかわいそうだ」と言っているけれど、甲状腺がんの当事者ひとりひとりの実態は置き去りされているように見えていました。

 がんの告知を受けて、私が、その「甲状腺がんの子ども」になりました。当時は過剰診断という言説も存在しなかったので、「甲状腺がん」と言えば、原発事故と結びつけて考えられるのが当然の風潮でした。
 ですから、お医者さんから、原発事故とは関係ないがんがたまたま見つかったと言われていても、社会からは、「原発事故の被害者である、甲状腺がんのこども」というレッテルを貼られることは、避けられないことでした。

 がんの告知を受けてからずっと、この社会で、「甲状腺がんの子ども」としてどう在ればいいのか悩んできました。

 まず、自分の尊厳を誰にも奪わせないと誓いました。他者の都合で、私自身の喜びや、悲しみも、人生も、コントロールさせない。「可哀想な子供」であることを押し付けられないために、何があっても幸せでいよう。そのように考えてきました。

 次に、手術のために自分の首に傷跡が残ったとして、周りの人からその傷が何か聞かれた時は、正しく説明できるようになろうと思っていました。正しい説明とは「福島で甲状腺がんの手術をしたけれど、原発事故の影響じゃなくて、もともとあったがんが見つかった」というものだと思っていました。自分の耳で聞いた、医療機関で説明されたことが本当のことだと信じていたからです。

 そのように考えると同時に、原発事故について正しく理解し、説明できるようになるために、どれだけの時間がかかるのだろう、と感じていました。

 原発事故という理不尽な状況の渦中にいて、それに怒りを感じていました。だけれど、いろんな人の激しい怒りや、根拠のない情報の溢れる中で、原発事故についてきちんと理解し、正しく怒りを表明するまで、一体何十年かかるのだろう。
 そう思うと、途方もない気持ちでした。 福島では取り返しのつかない悲しみや、怒りを抱え、より困難な人がたくさんいる中で、同じ福島に住む一人として、せめてそれを知らなくてはという自責の念もありました。

 でも、調べたり、本を読もうとすると、体が固まり、涙が出て、そこから先に進めないまま、手術から8年が経っていました。

 そんな中で、去年、甲状腺がんについてインターネットで検索し、この裁判のことを知りました。
 さらに1年経って、今年2月、裁判の団体に勇気を出してコンタクトを取りました。そして、この裁判の訴状を初めて読みました。すると、私が今まで目にしていた情報は、国や福島県の見解だけで、今まで知らされてこなかった事実が沢山あることがわかりました。

 決定的だったのは、小児甲状腺がんは、もともと100万人に年間1人から2人しか見つからない、希少な癌だということを知ったことです。
 さらに、その甲状腺がんが、福島県ではこの14年間に、400人ほど見つかっていることや、再発している人もいることを知り、驚きました。でも、やっと甲状腺がんを取り巻く状況を俯瞰することが叶ったのです。暗い海にひとり放り出されていたようなところから、島を見つけて陸に上がったような心境です。

 私は、いつの間にか原発事故を起こした加害者側に加担していたことに気づきました。
 「原発事故とは関係のない、もともとあったがんが見つかった」という説明は、医療機関での精密な検査の上での説明ではなく、国や福島県、東電が被害をなかったことにしようとするために用意した机上の空論だったと捉え直しました。「もともとあったがんだ」と周りに説明してきた私は、国や福島県、東電に都合の良い存在だったことがわかりました。

 「原発事故と甲状腺がんには因果関係がない」と信じていた私にとって、裁判の提訴に踏み切ることは大転換です。わたしは、最後の決断をするために、前回の口頭弁論に初めて傍聴に行きました。そして、実際に戦っている原告の方や、信念を持ってこの問題に関わっている方々の姿に接し、提訴を決めました。

 提訴が決まり、訴状の準備をする過程で、ショックなことがありました。医療情報のカルテ開示をして、医師の説明が虚偽だったとわかったことです。

 私は、二回目の甲状腺検査で癌が見つかりましたが、その2年前に受けた1回目の甲状腺検査結果には、「結節なし」と明記されていました。医師の言った「10年以上かけてゆっくり大きくなった」「原発事故前からもともとあったがん」というのは事実ではありませんでした。
 逆に、「原発事故以降にでき、2年間で急速に成長した癌」だということがはっきりしました。

 医療を信じていた私にとって、医療の場で虚偽の説明がなされたことは、絶望的な出来事でした。医療の現場で説明されたことが、事実かどうかわからない、あるいは事実かどうか疑う必要があるという状況は、異常だと感じます。
 特定の医師が嘘をついたと責めたいわけではありません。国や県、一企業の見解が医療機関の説明を歪めている構造そのものが、看過できないものではないでしょうか。

 この裁判を通して、甲状腺がん患者の命や人権が守られ、サポートや正しい情報にアクセスできる社会に変わることを願っています。それは甲状腺がん患者の救済にとどまらず、成熟した社会の実現の一歩になると思います。そのために、「事実が事実として認められること」を望んで、提訴します。
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 引用以上

 福島県による県民健康調査で、2011年の被曝当時、18歳以下だった少年少女に対して、大規模な「県民健康調査」つまり、集団甲状腺検査を福島県が実施したのだが、この検査を行った医師が、甲状腺癌が発見された人に対し、
「あなたの甲状腺癌は東電による被曝とは何の関係もない」
 とのウソの説明を続けていたことが、上に告発されている。

 実は、これは福島県だけではない。2012年ころ、東日本のヨウ素131汚染の疑いのある全域の医療機関に対し、当時の日本甲状腺学会会長の、山下俊一から、「甲状腺癌を被曝と結びつけるな…被曝が原因と診断した医師は、医師免許を剥奪する」
 という通達が行われたとの情報を我々は得ていた。

 日本甲状腺学会(会長山下俊一)から会員に送られた文書。画像では見にくいと思うので文字にしました。(ずっとウソだった) 
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/416.html
  赤かぶ 日時 2012 年 9 月 18 日

 日本甲状腺学会の理事長はご存知山下俊一氏。
http://www.japanthyroid.jp/public/introduction/greeting.html

 その日本甲状腺学会が会員に通知したという文書がFacebookに流れていたので、文章化して残しておきます。
 日本甲状腺学会の皆様へ
 福島県では、東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原発事故による放射能汚染を踏まえて、県民の「健康の見守り」事業である長期健康管理を目的として、全県民を対象とする福島県「県民健康管理調査」を行っております。

 そのなかで、震災時に0から18歳であった全県民を対象に、甲状腺の超音波検査を開始して参りました(県民への説明文書をご参照ください)。
 これまで、平成23年10月からの福島県立医科大学附属病院での土日祝日の実施、その後11月中旬からの学外各地域での平日の実施と、すでに1万5千人を超える方に対する一次検査が終了しています。

 このたび、学内外の専門委員会での協議を経て、その検査結果を順次ご本人のもとに郵送でお知らせする予定であり、ご支援をいただいている関係学会の先生方にも、この結果への対処につきご理解をいただきたくご連絡申し上げます。

 さて、一次の超音波検査で、二次検査が必要なものは5.1mm以上の結節(しこり)と20.1mm以上の嚢胞(充実性部分を含まない、コロイドなどの液体の貯留のみのもの)としております。したがって、異常所見を認めなかった方だけでなく、5mm以下の結節や20mm以下の嚢胞を有する所見者は、細胞診などの精査や治療の対象とならないものと判定しています。先生方にも、この結果に対して、保護者の皆様から問い合わせやご相談が少なからずあろうかと存じます。
 どうか、次回の検査を受けるまでの間に自覚症状等が出現しない限り、追加検査は必要がないことをご理解いただき、十分にご説明いただきたく存じます。

 なお、本検査は20歳に至るまでは、2年ごとに、その後は5年ごとの節目検査として長きにわたる甲状腺検査事業となり、全国拠点病院との連携が不可欠であり、今後広く県民へも周知広報される予定です。
 今後とも本検査へのご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 平成24年1月16日 福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター長  山下俊一
 同  上   臨床部門副部門長(甲状腺検査担当) 鈴木眞一
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引用以上

 2012年当時、我々(反原発派)は、山下俊一が甲状腺学会の名で、福島県の子供たちの甲状腺検査を行わないよう全国の甲状腺専門医に通達を出していたことを知った。
 福島県での小児甲状腺検査は、東電の息のかかった福島医大に集中させ、原発放射能が原因で発癌したという診断を行わせないという意味だった。
 それは、東電が甲状腺学会に巨額の資金援助を行っていて、その利権を守りたいということが前提だった。

 もしも、フクイチ事故が原因で、甲状腺癌になったと診断した医師がいたなら、医師免許を剥奪するという通知まで行ったという。
 だから、ヨウ素131汚染の強い疑いがある千葉や神奈川、埼玉の子供たちが、甲状腺学会傘下の病院に行っても診療を拒否された。

甲状腺複数病院検査拒否⇒良性結節と表参道有名病院診断⇒他病院が細胞診で甲状腺癌と診断、千葉30代女性。2013-05-18
  https://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/695606104c6e97b11671a78becb82c79

 山下俊一という人物は、長崎医大の教授だが、長崎医大(六大学医学部)は、731部隊の人脈を受け継いでいる。
  http://731butaiten.jp/BSL4.pdf

 チェルノブイリ事故後、長瀧重信とともに、山下はチェルノブイリ現地に飛び、小児甲状腺癌の調査に入った。
 実は、このとき、モスクワ大学在学中だった私の親族が通訳として山下と行動を共にしていた。彼の証言では、「とても人間的に親しみの持てる、良い人だった」と語っていた。

 当時は、山下俊一は「良い人」だったのだ。だが、帰国後、彼の人間性が豹変する。
 長崎医大には、原子力産業から巨額の支援金が入ったことで、原発を擁護する後援勢力となったのだ。長瀧重信も同じだった。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E4%BF%8A%E4%B8%80

 このチェルノブイリ小児甲状腺癌の研究成果によって、彼は日本甲状腺学会の会長になりあがり、今度は、東電フクイチ事故で、原発事故と小児甲状腺癌の関係を全否定する勢力の筆頭と変身してしまった。
 小児甲状腺癌の検査が、検査機器の精度向上とスクーリング効果による疑似結果にすぎないと決めつけたのも、山下俊一である。
 彼の姿勢は、以下のエピソードに見える。

 https://www.youtube.com/watch?v=NGuE9r4Bnj4
 「ニコニコしている人には放射能が来ない。クヨクヨしていれば放射能に被曝する。これは明確な動物実験で証明されている。」(2分30秒)
 これが医学者の発言なのか? ぶったまげるが、山下が甲状腺学会会長として、福島放射能汚染と小児甲状腺癌の因果関係を完全否定した論拠がこれなのだ。

 山下は、「100ミリシーベルト以下の被曝は何の危険もない」と声明を出したことでも知られる。上の動画参照。
 この山下大先生のご神託を受けて、日本産科学会までも、胎児に100ミリシーベルトを被曝させても何も起きないと公式発表した。
 https://www.jaog.or.jp/sep2012/News/2011/sinsai/fukusima_0319.pdf

 これも放射線医学の常識を真っ向から否定する驚愕の発言だった。
 広島長崎の被曝データを調査した米軍ABCC(現放影研)の報告書は、妊娠8~15週で胎児が5ミリシーベルト被曝すれば、4.4%に重度知的障害が起きると正式のレポートを出している。
 https://www.rerf.or.jp/programs/roadmap/health_effects/uteroexp/physment/

 私が、ツイッターでこれを紹介したとき、ある医師が、「4.4%に重度知的障害が起きるとは読めない」と反論したが、読めないのは彼の瞼に巨大な腫瘍ができているからで、彼以外の人はすべて読めると書いておいた。
 その腫瘍とは、医学者に対する100ミリシーベルト被曝無害論の洗脳である。