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コンバージョンEVを探るー3.コンバージョンEVの課題

2011年02月14日 | 経営・オピニオン全般

 

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、コンバージョンEVビジネスを探るー3.コンバージョンEVの課題、です。

ガソリン車をEVに改造する作業自体は、さほど難しくない。高度な改造をしない限り
慣れることで解決できることが多い。

ビジネス化に向けての課題は、作業以外のところにある。
一つは、価格の問題である。軽自動車の新車が一台買えるほどの改造費では、
改造需要は高まらない。

趣味で今まで来たのもこうしたことが課題であったことは想像に難くない。
日本EVクラブを見てもそのことが見て取れる。旧車で希少価値があるクルマを
永く愛着を持って乗りたいオーナーが、EVに改造している。

一般のオーナーが100万円を超える改造費を、懐からそうやすやすとは出さない。
出すためには、50万円、できれば30万円台で改造できることだ必要だろう。

そのためにも改造キット全体を低価格化することと、新車EVに国(補助金=基準額の二分の一)や
地方自治体などからの補助金が受けられる、コンバージョンEVも同じような制度が必要だ。

新車を製造するには、CO2は嫌でも排出するが、保有車両は製造すみだからCO2は基本的に
「0」であるからして、新車よりもよほど環境にやさしい。こうしたことを十分に加味して、早く補助金
制度を設けてほしいものだ。

補助金の額を決めるのは、改造にかかる基準額を決めることと、補助率を決める
二つを解決しなければならないが、補助率はともかくとして、基準額を決めることが
難しいとは思うが、車種ごとに基準額を固定にすることもできるので、早く制度作りに動いてほしい。

改造キットで半分以上をバッテリーが占める。したがって、バッテリーの価格は絶対に下げる必要が
ある。これは、新車EVの普及などによって、大幅に下がると予想されているし、場合によっては
海外製品を使うことで対応できると思われる。

現に、国産では300万円以上するリチュームイオン電池が中国産では100万円を切る価格に
なっているという。品質がどの程度か分からないが、競争原理が働くだろうから、ここ数年、
遅くとも5年以内には相当低価格になるだろう。

次の課題は、対象車両だ。
現在多くの改造に使われているのが「MT車」、マニュアルミッション車なのだ。AT車でも
いいのではないかと思うが、これが難しい。

モーターの特性によるのだ。モーターは始動するとトルクがすぐに高くなるが、モーターの
回転が速くなってくると、回転と比例してトルクが下がってくる。

ところが、ATは回転が速くなるとシフトアップする。モーターの特性上、シフトアップしては困るのだ。
下り坂ならともかくも、少々の登り坂になると走らなくなってしまう。

では、ATを取り外してドライブシャフトと直結にしてしまうという発想もできるが、FF車はそれができない。
FR車であれば、改造できないこともないが、苦労する。

こうしたことの解決策としては、インホイールモーターを使う手がある。
しかし、今現在はこのモーターつ使ったキットが販売されていないこともあるし、内輪と外輪差を制御する
技術が難しく、改造に向くか疑問があるという。

次に、バッテリーの重要配分が課題になる。鉛バッテリーだと一個20kgもするものを8個から10個積み込む。
合計で160kgから200kgにもなる。なんと大人2.5人から3人強を積んで走ることになる。

これだけの重量をトランクに積めば、クルマの重量バランスが崩れて、ハンドル操作が難しくなる。
また、リヤの足回りを強化しなかればならないこともある。そうならないためには、バッテリーを積む
場所を考えて、改造しなければならない。当然、日頃のメンテナンスのことも考慮する必要がある。

改造車に軽の1BOX車が多いのは、バッテリーを積む込むスペースが確保しやすいために
選ばれているのだ。

もう一つ課題がある。これはバッテリーになるのだが、重量の面ではなく、バッテリー容量による
航続距離が課題なのだ。鉛バッテリーで8個積んでも、50km程度である。同じだけリチュームイオン電池を
にすると目が飛び出るほど高額なってしまう。価格のことを考えると「鉛バッテリー」が現実的である。

ヒーター、エアコンなどの快適ドライブに欠かせない電装品を使用して走行しすると、当然航続距離は
短くなってしまう。アイミーブでも、カタログ上の航続距離は160kmとなっているが、ヒーターなどを
使用しながら走行すると、80km程度しか走れないという。

まあ、幼稚園の送迎や日用品の買物などで使うには、80kmも走れれば御の字だと思う。
それでもいざとなったときのことを考えると、100kmは欲しいところだ。EVに関する意識調査では、
走行距離の短さよりも値段に関心が高いという結果もあり、50kmは、我慢の限界で許容範囲ともいえる。

CO2の排出量、燃料費では、EVは他のHVやPHVなどの次世代自動車の中では、抜群の優等生である。
したがって、EVはHV、PHVに代わって次世代自動車の主役になれるものと思う。

そうした時代を見据えて、今からコンバージョンEVの備えをしておくことが必要だろう。


株式会社ティオ
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