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整備士に育てるー3:整備作業の要領

2010年08月18日 | 生産・作業全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、整備士に育てる-3:整備作業の要領、です。

躾けができるようなったら、整備作業の要領を教え込むこと。

整備作業は、やり方によっては作業時間に大きく差が出る。要領の悪いメカニックは、車検作業に1時間もかかるが、要領のいいメカニックの場合は30分以下も可能だ。

その差は、準備段取りと作業手順にある。
要領の悪いメカニックは、作業指示書を渡されると、先ず作業ストールに行き、次に作業車をストールに搬入する。そしてリフトにセッティングしてリフトをすり切り状態にリフトアップして作業スタートを整える。

これが、間違いなのだ。まずやるべきことは、作業指示書を渡された時点で、交換部品を確認し部品庫から出庫する。その流れでテスターや交換機、共用工具などを用意して、ストールに持ち込むのだ。

次に、指示書の作業に必要な工具をキャディーからピックアップし、キャディーの天板(作業板)または一番上の引き出しに並べる。作業の都度工具を取り出すことがないようにするのだ。作業車の搬入はその後に行う。これが準備段取りというモノだ。

作業手順だが、一般的には一つの工具を持ったら、その工具を使いきることが効率的な作業と言われている。これは、間違いがないが整備作業の場合には、この方法が仇となることもある。

例えば、ブレーキの液漏れ点検で見てみる。インパクトレンチで一周して4輪のタイヤを外してからブレーキの液漏れ点検で、さらに一周して4輪を見る。一見すると効率的に見えるが、この作業だけでクルマの外周を2周している。

液漏れ点検が終われば、タイヤの取り付け、エヤー調整のために、さらに1周する。ブレーキ液漏れ点検だけで外周を3周することになる。

これを、F右タイヤ取り外し⇒ブレーキ液漏れ点検⇒タイヤ取り付け⇒エアー調整、R右タイヤ取り外し⇒ブレーキ液漏れ点検⇒タイヤ取付⇒エアー調整、と行っていけば外周を1周することで作業を終えることができる。

エアーホースとインパクトの取り付け・取り外しは回数は1回増えて、そのため数秒はプラス時間がかかるが、クルマの外周2周分の時間よりもはるかに少ない時間で済むこと。

こうした合理的な作業の要領をみっちりと教え込むことだ。また、点検の流れも、左から右、上から下に1回で終わるようにする。こうした作業要領も教える必要がある。

ある工場で実際にあったことだが、Aメカニックは作業確認のために。緩めて絞めてを3回行うのだ。これだと、新しいパッキンに付け替えた意味がないし、やる過ぎである。丁寧な作業は認めるがムダな作業であり時間なのだ。

作業要領でもう一つ重要なのが、キャディーの扱いだ。キャディーに使えきれないほどの工具を搭載すると、重くなってしまい、キャディーを動かすのが難儀になって、一か所に置いたまま必要な工具の取り置き歩行を繰り返す。これがムダな歩行になるのだ。

工具は必要最低限だけにさせて、同じ種類の工具を揃えて引き出し等に収納させる。できれば、吊り下げ式にして、見える状態にすることだ。そして、作業とともにキャディーを連れ歩きながら行う要領も教え込んでほしい。作業効率化には、とても重要な要件だからだ。

後は、後片付けを指導して欲しい。ごみの分別、ストールの清掃、工具の清掃・後始末、ここまで済んで作業完了である。これが整備作業の要領だ。

一歩一秒一円、これがコスト意識であり、このことを体で覚えこますこと。


株式会社ティオ
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